表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
109/186

休暇③

ご覧いただき、ありがとうございます!

「こよみさん、準備できました?」

「あ、うん、もうちょっと待って!」


 僕はふすま越しに寝室にいるこよみさんに声を掛けると、そんな返事が返ってきた。


 うん、女性の身支度はどうしても時間が掛かってしまうし、それに、荷物も多くなってしまうから、仕方ないよね。


 ……新幹線の切符、時間変更しとこう。


 僕はスマホを取り出し、切符予約のサイトを開いて時間変更の手続きを行う。


 元々予約していた時間の一時間後でいいかな……よし、変更完了。


「耕太くんごめん! お待たせ!」

「おお……!」


 今日のこよみさんは白黒チェックのブラウスに、デニムのホットパンツ、黒のストッキングに、アクセントとしてサスペンダーを使用している。


 その顔も、うっすら化粧していて、唇の淡いピンクのルージュがこよみさんの可愛さをより強調していた。


 うん、これはこよみさんが悪いな。


「はわ……ん……ちゅ……」


 僕は我慢できなくなり、こよみさんを抱きしめると、そのままキスをした。


「ぷぁ……もう……」

「すいません」

「悪いと思ってへんくせに……」


 少し怒った仕草をしながら、こよみさんが僕に抱きついてきた。


「嬉しい……」

「僕もです」


 もっとこのまま抱き合っていたいけど。


「こよみさん……そろそろ行きましょうか……」

「あう……うん……」


 こよみさんは名残惜しそうに僕から離れ……ずに、僕の服をつまんでいた。


「あはは、じゃあ行きましょう」

「うん!」


 僕達はようやく部屋を出て、一路駅へと向かう。


 ここから品川駅に出て新幹線で京都まで向かう行程だ。


「えへへ……耕太くん、ありがとね」


 手を繋ぎながら歩いている途中で、こよみさんがそんなことを言った。


「ええと、何がですか?」

「あ、うん……ウチの両親に会うてくれるんて、その……」


 こよみさんがもじもじしながら、上目遣いで僕を見る。

 その瞳は、少し潤んで輝いていた。


「はい……も、もちろんその、こよみさんにも正式には、まだ、なんで……あれですが……」

「うん……」

「だ、大学を卒業したら、その……ですからそれまで、待っていて、くれ、ますか……?」

「は、はい……!」


 すると、こよみさんは僕に抱きつく。


「ウチ……ウチ……嬉しい、よお……!」

「僕もです……」


 僕達は、住宅街の道端で、ただ抱き合っていた。


 出逢いも雨の中の住宅街だったので、僕達らしい……かな。


 ◇


「こよみさん……こよみさん……」


 僕は、隣で眠るこよみさんの身体をゆすりながら声を掛ける。


「ふみゅ……ん……」

「そろそろ京都ですよ」

「ふあ……あ……ふうん……」


 ダメだ、熟睡してしまって起きてくれない……。


 ……仕方ない。ちょっと恥ずかしいけど……。


「……はむ」


 僕はこよみさんに顔を近づけ、こよみさんの耳たぶを甘噛みした。


「ん……んう……!? はわわわわわわわわわわ!?」


 こよみさんは驚きのあまり、顔を真っ赤にしながら飛び上がった。


「お、おはようございます……」


 ちょっとやり過ぎたかなあ……。

 で、でも、こよみさんの甘い声……ど、どうしよう、理性が……!


「は、はわわ……こ、耕太くん、おはよ……」

「は、はい……その……もうすぐ京都、です……」

「う、うん……」


 それから僕達はお互い無言のまま、新幹線を降りた。


「さささあて、ほほほほな行こか!?」

「そそそうですね、いい行きましょうか!?」


 だけど、まだ時間が少しあるな……。


「ねね、ねえこよみさん」

「なな、なんや耕太くん」

「ま、まだ時間があるので、その観光なんてどうですか?」

「あ、う、うん! 行く! 行きたい!」

「よし、じゃあ行きましょう!」

「うん!」


 うん、観光に意識を向けたら、こよみさんも正常に戻ったぞ。


 という訳で、僕達は観光を楽しんだ。


 ……途中、思わぬ事態に出くわしたけど。


 観光? を終えた僕達は私鉄に乗ると、奈良の橿原神宮がある駅まで向かう、


「あはは、結構遠いやろ?」


 ようやく落ち着きを取り戻したこよみさんが、はにかみながらそんなことを言った。


「いえ、こういった電車旅ってあまりしたことがありませんから、すごく新鮮です」

「ホンマ?」

「はい。それに……こよみさんと一緒ですし……」

「はわ……もう……やっと落ち着いたトコやのに……」


 そう言うと、こよみさんはピト、と身体を合わせた。


「こよみさん……僕、幸せです……」

「ん……ウチも……」


 寄り添い合いながら、僕達は目的の駅を目指した。


 ◇


「着いたー!」


 こよみさんが両手を突き上げて伸びをする。


「ここがこよみさんの故郷……」


 僕は駅の周辺をまじまじと見る。


 マンションが建っていたりビルがあったり、意外と栄えてるところだった。


「はわー、しばらく見いひんうちに、大分栄えとるなあ」


 こよみさんの口ぶりからすると、どうやら最近開発されてきたみたいだな。


「ここからは車で移動なんでしたっけ?」

「そや。せやからタクシーに乗って向かうんや」


 ということで、僕達はタクシー乗り場へと移動したんだけど。


「え!? お父ちゃん!?」

「おー! おかえりこよみ!」


 そこにいたのは、こよみさんのお父さんだった。


挿絵(By みてみん)

お読みいただき、ありがとうございました!


なお、明日は同じく作家のGOMさんとの作品「僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜」(https://ncode.syosetu.com/n3313gb/)とコラボした番外編を夕方18時に投稿します!

GOMさんの作品もぜひぜひ!


少しでも面白い! 続きが気になる! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キネティックノベルス様から8/30発売!
どうぞよろしくお願いします!


【戦隊ヒロインのこよみさんは、いつもごはんを邪魔される!】
― 新着の感想 ―
[一言] なるほど、思わぬ事態という事で、ああなるんですね お砂糖たっぷりで、皆様が糖尿病にならない様にしましょう では、明日宜しくお願いしますね
[一言] 思わぬ事態?説明がないということは… 明日わかるんですね?! コラボ、面白そうです!楽しみ~
[良い点] また砂糖回!! 尊みな粒子になりそうです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ