休暇①
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■こよみ視点
「一体何や、急に呼び出したりなんかして……」
昨日の木更津での技術部主任……怪人ガネホッグとの会談が終わって部屋に帰ると、突然司令本部から連絡があった。
『明日、重要な話があるから朝九時までに来てください』
松永秘書から一方的に告げられたその言葉に、ウチはちょっと腹立ったけど、とりあえず黙って了承した。
耕太くんも言うてたけど、このタイミングでこの連絡……大分怪しいで……。
ウチはモモを地下駐車場に停め、エレベーターに乗って司令本部に向かう。
中に入ると、今日もブルーが応接室のソファーでスマホを弄っとった。
「おう、ピンク。お前も呼ばれたのか?」
「うん……なあブルー、大事な話や言うて急に呼ばれたんやけど、何か知ってる?」
「いや? 俺もよく分かんねーんだよ」
「ほうか……」
とにかく、警戒するに越したことはないやろ。
「あーもう! 卒論仕上げなきゃなんないのに、なんだってんのよ!」
大声で文句を言いながら、バイオレットがブルーと向かいのソファーにドカッと座る。
「バイオレットも呼ばれたんかいな」
「そうよ! ホントにもう! これで卒論間に合わなくて留年になったら、どう責任取ってくれんのよ!」
そんな悪態を吐きつつ、バイオレットがチョイチョイ、とウチを手招きした。
「(昨日の件があっていきなりのこれでしょ? ピンクも警戒を……)」
「(分かっとる。耕太くんが最大限警戒しときって言うてた)」
「(そ。相変わらず上代くんは優秀ね。どう? 真剣に一週間私に……)」
「(アカン!)」
ホンマ……どさくさに紛れて何言うてんねん!
すると、松永秘書がやってきて、ウチ達を見回した後。
「全員揃っていますね。では司令室にお越しください」
そう言うや否や、すぐに踵を返してツカツカと戻って行く。
「かあー! 相変わらず愛想ねえなあ!」
「ホント、私、結構苦手なのよね……」
二人が松永秘書の背中を見ながら、口々に悪口を言う。
「それよりも、これで全員てどういう意味や?」
「そういえばそうね」
「アレじゃね? ブラックとイエローはもう司令室にいるんじゃね?」
「ま、そやな」
ウチ達はそれ以上は深く考えんと、司令室に向かった。
「「「失礼します」」」
「やあ、急にすまない」
司令室に入ると、高田司令がにこやかに応対してくれた。
「それで、大事な話いうんは……」
「ああ……ひょっとしたら気づいているかもしれないが、ブラックとイエロー……黒川軍馬と黄島戒はヴレイファイブを脱退した……」
「なんだって!」
苦虫を噛み潰した表情の高田司令から告げられた言葉に、ブルーは思わず叫ぶ。
「やっぱりこの前の怪人アリス=ヒュブリスとの一戦が……」
「はい。二人から正式に脱退願いを受理しました」
バイオレットの呟きを拾い、松永秘書が淡々と説明する。
でも、それやと……。
「な、なあ……聞きたいんやけど、辞めた二人は、その、どうなったんや……?」
ウチは以前から聞かされている、ヴレイファイブを辞めたら家族もろとも拘束されるっちゅう話があったはずや。
せやったら、あの二人も……。
「あの二人は現在治療中のため、司令本部が指定する医療機関に入院しています」
「「「入院!?」」」
ど、どういうことや!?
あの時一番ダメージ受けたはずのブルーかて、ここにおるねんで!?
「はい。先の戦闘で彼等の精神的な影響が大きく、このままでは危険な状況でしたので、閉鎖病棟に入院していただいています」
「そ、そうか……」
松永秘書の言葉に、ブルーは寂しそうに肩を落とす。
なんやかんや言うて、ブルーは仲間想いやもんなあ……。
ウチはこれまでのことがあったさかい、それほど感情もないし、バイオレットなんかまったく興味ないっちゅう顔しとるし。
「……司令、そしたら大事な話っちゅうのはそのことですか?」
「ああ、大きな話としては以上だ。で、次だが……」
……まだ何かあるんか?
「二人の脱退を受け、新たに二名の補充を行うために現在選抜を行っているんだが、決定と再編成までに一か月近く掛かりそうでな……」
なんや、つまりウチ達三人で切り盛りせえっちゅうことか。
「……それで、再編成されるまでの間、君達三人に休暇を与えることになった」
「「「…………………………ハア!?」」」
ウチ達は言うてる意味が飲み込めず、思わず叫んだ。
「きゅ、休暇やて!?」
「そうだ」
「い、一か月も!?」
「そうだ」
「そ、そう言って呼び出しするんじゃ……」
「それもない」
ど、どういうこっちゃ!?
そんな夢みたいな話、あるんかいな!
「これは司令本部としても苦渋の決断ではあるんだが……先の二人のこともあり、三人も同じ事態になりかねないと危惧していてな。ここで休暇を与えることにしたのだ」
「そ、そうっすけど、怪人が現れたらどうするんすか!?」
「ああ、そこは選抜中の者達を試験的に投入することとした。そしてその中で最も優れた者二名をヴレイファイブに編入する、ということだ」
つまり、怪人は選抜中の者達に任せて、試験も兼ねるっちゅうことか。
「せやけど、万が一のことがあったら……」
「心配には及びません」
すると、松永秘書がずい、と前に出る。
「選抜予定者達にも皆さんと同様、ヴレイスーツやヴレイシリーズの武器を全員に支給しますし、何より選抜者の数は五十人を超えますから」
でも、それて何かあっても捨て駒にするっちゅうことやないか。
「さ、さよか……それで、それを考えたんは誰なんや?」
「今回の件に関しては、私が司令に具申しました」
この松永秘書……血も涙もないんかいな。
「まあとにかく、色々と言いたいこともあるだろうが、気持ちを切り替えてリフレッシュしてくれ」
「「「は、はあ……」」」
ウチ達三人は、キツネにつままれたような気分で司令室を後にした。
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次話は明日の夜投稿予定です!
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