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プロローグ 1

初めて投稿しているので、拙い文ですが読んでいただければ幸いです。

元々、エクセルの縦書きで書いている物を横書きに直し、スマフォでも読みやすいように改行を増やしています。

却って読み辛いわ!だぼがぁ!という事であれば、感想に書いて頂けると嬉しいです。


1ページあたり、概ね3,000文字程度を予定しています。


プロローグ 1


 その日は、ひどい雨だった。至る所で地鳴り、恐らくは雨による地滑りであろうか。

 今もまた、山のどこかで土砂崩れが起きた様だ。自分で建てた小屋は屋根からは雨が漏れ、滝の中で生活しているのと左程の違いはない。


「はぁ、そろそろ新しく建て直さんとダメか」


 白髪、長身の男性。見た目は五十代、上に尖った特徴的な耳を持ち、長い犬歯がある。

 身長は百七十五センチ程度、やせ型で黒の髪に黒の瞳を持つ。

 彼は最後のドラキュラ。吸血鬼などと揶揄される種族であったが、実際に血をすする事はない。長い犬歯を持つが故に迫害を受け、人間によって滅ぼされてしまった。だが、彼、レイン・ドラキュリアは人間に復讐するつもりも、仇討(あだうち)をする気も無かった。


 なぜなら、あと十年もすれば彼の寿命も尽きる。この世界は人間(ヒューマ)対異形や亜人〈人間に似た姿を持ち、人ではあるが人間ではない種族〉との間で戦争をしており、ローレンシア大陸と呼ばれる故郷は荒廃してしまった。


 魔獣〈魔法を使うと呼ばれる獣の総称〉や、ゴブリン、オークなどの異形種が蔓延り、人の安全な場所など既に無い。彼の故郷も人間によって蹂躙された。だが、そこには既に人の姿はなく、居るのは異形種と、無念を残した者達の怨念やアンデッドのみ。

 荒廃したローレンシア大陸と、バルテカ大陸の中間にあるエレスト山脈が今の彼の住居だ。人里までは歩くと数日はかかるが、ドラキュラ族はエルフ族以上の魔法の使い手であり、空を飛んで行けば大した時間は掛からない。


「これは、明日にでも村の者に頼まんと。わし、冬が来たら凍死するな」


 ふと窓の外を眺めると、不思議な光が滝のように降る雨の中、遠くに見えた。

 それはかがり火にしては明るく、魔法の光にしても不自然な色をしていた。億劫に思いつつも、知的好奇心に負け外へと出ていく。

 そこには金色に輝く巨大な蛇が居た。


 それはまるで自分を待つかのように、佇み動くことなくレインを見据えている。

 ゆっくりとした足取りで蛇の側まで着くと、それは口から光の玉を産み、光の玉はレインの腕の中へゆらゆらと近寄り納まるそこには人間の赤ん坊が収まっていた。

 そして、頭の中に直接、男の声が響く。


『最後のヴァンパイアの王よ。我が名はレヴィアタン。そして、その子はバハムート。この世界を滅ぼすに足る力を持つ子だ。その子供を貴様の手で育てよ』


 レヴィアタン、またの名をリヴァイアサン。海神の名を持つ魔獣とも精霊とも伝わる。

 この世界のどこかに住むという事は、古文書に載っていた。だが、目の前に居るのはウミヘビではなく、大蛇だ。

 それに、怪しい・・・


「嫌だ」


 レインは即答した。

 レヴィアタンはまさか、神獣たる自分の願いが断られるとは思わなかったのだろう。かなりたじろいでいる。


「そもそも、本物のレヴィアタンである。という確証がない。まして、この子がかのバハムートであるなど、とても信じられぬ。バハムートは我々の信仰の対象ではあったが、そのお姿は牡牛とも魚の姿であるとも言われる。少なくとも、人の姿ではないはず」


 腕の中に納まる小さな女の子を見る。金髪、赤い両目、その瞳には蛇のように縦に線が入っている。

 どう見ても人間ではない。差別の激しい、人間の世界でこの見た目では生きていくのは難しいだろう。

 眼前のレヴィアタンは突然、聞いてもいないのに過去を話し始めた。

 先ほどから降り続く雨は、結界が張られており、彼らを避けるように降り注ぎ濡れてはいない。


『我は数千年もの時を寝て過ごし、暇を持て余していた。なので、バハムートの元へ遊びに行ったのだ。かつては力比べで地上が火の海に沈み、星が凍結した事もあったが、生物がほぼ死滅しようと、それは些細なことだ。その度に新しい生命が生まれるのだから』


「スケールが大きすぎて、言いたい事がさっぱりわからん」

『まぁ、聞くがよい』


 話しはまだ続くらしい。

 寝る時間はとうに過ぎており眠くなってきた。腕の子供は既に寝ている。


『先日、バハムートのヤツが「今の姿も()()()。そろそろ転生する」と言い出したのだ。我らは魂のみが転生し、永遠を生きているに過ぎない。我のこの肉体もいつかは朽ちるだろう。

その時代によって、呼び名が変わるのはそういう理屈だ。だが、記憶を引き継ぐ訳ではない。両方が同時に転生してしまうと再び敵対しかねん。なので、転生する時はどちらかだけ、というルールを用いていたのだ』


「はぁ。それで、転生したバハムートがこの子という証拠は?」

『それは簡単な事だ。魂はバハムートで間違いないからな。お主らには見えんだろうが。

 だが、それは問題ではない。今まで様々な生命に転生してきたが、人になることは無かった』


「はぁ。ですが、見た目は人間ではないですが、人に見えますが?」


 レインは気の抜けた返事をしながら、レヴィアタンに尋ねた。


『どうやら、バハムートの魂がその子の魂と融合し、人間の体に宿ったようだな。恐らく、狙ってのことだろう。あやつの事だからな』

「つまり、この子供の魂はバハムートで、肉体は人間ということですか」

『まぁ、そういう事だ。魂と肉体は表裏一体。既にその子供の肉体は人間ではない。だが、肉体は人間を超越してはいても、人であることに変わりはない。蛇である我が育てるのは難しかろう』


 レヴィアタンは、レインの腕の子供をジッと見ていた。


「そういえば、この子の両親はどうしたのですかな?」

『それが問題だ。その子の両親は赤く蛇のような眼を恐れ、川に捨てたのだ』


 レインは空を仰ぎ見る。

 大雨は降り続き、深夜に近い為に上空に何も見えはしないが。


「なんということだ。見た目が異なるだけで、我が子を捨てるとは。だが、それならば孤児院でも良かったのでは。どうしてわしの元へ?」

『孤児院に預けた所で、奴隷として売られるだけであろう。強い力を持っていても、その力の使い方を知らねば()()()()は務まらぬ』


 それが本音か。


「つまり、この子をわしに鍛えさせ、レヴィアタン様の相手が出来るように育てよ。という事ですかな?」


 眼前のレヴィアタンは、頷いた。


『そうだ。ただ、それだけではない。バハムートの考えは分からぬが、恐らく人間として生活したかったのだろう。様々な種族を見たが、人型の生命は面白い。自らの力で破滅に向かった時など、二人で大笑いをしたものだ』

「わしの世界は既に滅んでおります」

『そうだな。貴様には復讐を成すだけの力も、その時間も最早残されてはいない。であれば、その子供を貴様の好きなように育ててみる。というのはどうだ?』

「ほう、ですが、普通に人間として育てるかもしれませんぞ? それこそ、人間として。」

『それはそれでよい。いつかは我の元へと辿り着くだろう。それまで我は深い眠りにつき、待つとしよう』

「分かりました。わしはこの子を育てます。ですが、この子が人間にわしの代わりに復讐をするかは、この子に任せるつもりです」


 レヴィアタンは、楽しそうに体を揺らしていた。


『それでよい。そうでなければ楽しめぬ。我は夢の中でその子や世界を視るとしよう。出来れば、百年以内に辿り着いて欲しいものだな』


 レヴィアタンはレインの家を見て、何事かを呟いた。

 すると、周囲の木々が消え、小さくボロ屋だった家が立派な戸建て住宅に変わった。


『まぁ、このくらいのサービスはしといてやる』

「ありがたい。二人で住むには狭かったですからな」

『楽しみにしておるぞ。レイン・ドラキュリア。ドラキュラ族、最後の王よ。では、さらばだ』

 そう告げると、レヴィアタンは空へと消えて行った。


自分が読みたくなるような、純粋なファンタジー物を書きたい。そう思って書き始めました。


週1回更新くらいを目標にガンバリマス。

コメント頂けると嬉しいです。

☆もジャブジャブ入れて欲しいっす。☆1でいいです。



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