他人から仲間に
その時だった。
「やったー!」
背後から聞こえてきた歓声を、僕と鈴村さんは何事かと思い、即座に振り返った。
するとそこには、満面の笑顔で立っている楪凛、茂みの中から顔を出している悠馬、桃子の友達のあの女の子がいた。
「何してるの、あなたたち」
桃子が不審者たちを、厳しく鋭い目とともに問いただす。
「練習を始める前に、たまたま2人を見かけたものだから」
「琉生を追ってきたんだけど、邪魔しちゃいけない雰囲気で…」
「ごめんね、桃子ちゃん。2人がこうして見てたから…」
三者三様の理由だった。
話を詳しく聞くと、まず、グラウンドに出てきた凛が僕たちを見つけたらしい。
見つからないように大回りして、こっそりと僕たちの背後に回った。
その後、僕を探していた悠馬が僕たちを見つけたのだが、僕たちに近づこうとしたところ、その後ろにいた凛にものすごい視線を浴びされて止められ、観察者の仲間入り。
更に、近くのスーパーへ買い出しに行こうと通りかかった桃子の友達も、その光景に目を取られ、静かに加わったと言う。
「さっき集まったとは思えないチームワークだったね」
凛が言うその言葉をそっくりそのまま返したい。
子供というものは、こういうしょうもないことに全力を注ぎがちだ。
高校生にもなってやることではないと思うが。
「そんなことは置いといてさ、入ってくれるの!?鈴村さん」
凛が改めて桃子に訊く。
「それと、風早くんも」
誰が聞かずとも、もう決まり切っている。
青春の歯車は動き出したのだ。
「はい、お願いします」
「よろしく、凛」
「2人ともありがとーう!」
嬉しさのあまり、凛が僕たちに駆け寄ってくる。
ザザザッ
その時、凛が枝に足を滑らせた。
走ってきた勢いでダイブしてくる。
危ない!
と僕が思った時、ベンチを飛び越え、凛のその身体を抱くようにして庇ったのは桃子だった。
流石の運動神経だった。
「あ、ありがとう、鈴村さん。びっくりしたよぉ」
「桃子でいいわ。よろしくね、凛」
2人の距離が一気に縮まった。
体の距離も、そして、心の距離も。
「風早くんも!ほら!」
左腕は桃子を抱いたまま、凛の右腕が僕を迎えようとしている。
「やめろよ」
「ぶー」
口を尖らせて、僕の拒絶を凛は批難した。
「あ、あのー」
悠馬の隣で一連の光景を見ていた桃子の友達が口を開いた。
「私、古賀佳純って言います。私も陸上部に入れてください!」
頭を深々と下げて、入部を突然希望してきたその子に、その場にいた誰もが戸惑った。
彼女は確かバスケ部だったはず。
なぜ急に。




