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幻影慕嬢

作者: 黒宮杳騏

一度火がついてしまえば

あとはもう溶けるだけ


私は「蝋人形(アニマ)


あなたの理想(カタチ)に合わせて

夜毎 溶かされ

夜毎 造られる


四散した手足は

あなたに拾われ

どうすることもできない


嗚呼 溶ける

奥まで溶かされて

嗚呼 もっと

芯まで溶かされたい


着せ替えて 華奢なドレスに

キスをして 艶やかな人毛(かみ)

抱き上げて 優しい腕で

埋め込まれた眼球(ガラス)には

あなただけを映すように目隠しをして

あなたの幻想 総てを注いで


そうして毎夜

幻影(カタチ)を変えて

あなたに燃やされる


私は夢の掃き溜め(蝋人形)

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