表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
駄作ラノベのヒロインに転生したようです  作者: きゃる
第三章 愛人にはなりません
33/60

まさかのふりだし 6

 ――「好きだよ」のすぐ後で、「兄のところにはいかないでほしい」?


 ……あ、わかっちゃった。

「好きだ」というのは建前で、本音は「嫌いになりたくない」。ロディは婚約者のいる兄に手を出すなと、私に警告したようだ。だったら私も、正直な気持ちを伝えなきゃ。


「私も貴方が好きよ。大丈夫、略奪なんて考えてもいないから」

「略奪? いや、その前に好きって――」


 目を見開いたロディが、私の両肩を掴んだ。私は金色の瞳を見ながら、にっこり微笑む。


「大好きよ。自国の王子を相手に、図々しいとは思うけど」


 姉として幼なじみとして、ロディのことが大好きだ。王城にいるうちは、彼を気遣い見守りたい。


「……大好き? 一応聞くけど、その好きは幼なじみとして? それとも男として?」

「もちろん、幼なじみとしてよ」


 私は胸を張って堂々と答えた。

 不純な気持ちはないし、妃の座を狙っているわけでもない。さっきのは私を助けるための演技だと、ちゃんとわかっている。迫ったりしないから、安心してほしい。

 けれど、続くロディの言葉を聞き、私は仰天する。


「このまま奪えば、君は僕のものになるのかな?」


 ど、どど、どーしたロディ?

 働き過ぎで頭がおかしくなっちゃった?

 あまりの爆弾発言に、私の思考は追いつかない。それどころか、突然起こった身体の震えを止めようと、胸の前で手首を握る。

 ――これは、ラノベのセリフと全く一緒だ!

 

 ロディが私に手を伸ばす。

 私はその手を避けようと、とっさにしゃがみこむ。彼が同じセリフを言ったからといって、意識するのはおかしい。私が心を強く持ち、応じなければいいのだ。

 ラノベのシルヴィエラはこの後、喉の奥でセクシーに笑う。第二王子にしなだれかかって首に両腕を回し、そして――


 それともこれは、ラノベ補正? 

 やっぱりストーリーに戻る運命?

 いきなり男女の関係は、私には無理だ。相手がロディっていうのも……

 

「冗談だよ、シルフィ。怖がらせてごめんね」


 (おだ)やかな声に、私は顔を上げた。

 私から一歩下がり、腕を組むロディ。

 良かった、いつもの彼だ。たまたま言った冗談が、ラノベと偶然(かぶ)ったのだろう。

 からかわれただけだと知り、私はホッと息を吐く。立ち上がって服の(すそ)を整え、視線を合わせた。ロディは困ったように笑うと、私に手を伸ばす。


「赤くなっている……っと、ごめん。僕に触られるのは嫌なんだっけ」


 届く前に、彼は腕を脇に下ろした。

 私の手首は義兄に強く掴まれたため、赤い跡がついている。彼が言ったのはそのことで、何日か後には赤黒く変色するのだろう。

 手首よりも気になるのは、ロディの表情だ。彼は端整な顔を苦しそうに歪め、こちらを見ている。ただの冗談に大げさに反応した私が悪く、たぶん彼を傷つけた。だいたい姉弟みたいに育ったロディが、私を女性として見るはずがない!


「違うの。()けたのは、びっくりしただけだから。ごめんなさい」

「そう……良かった」


 ロディに身体を奪われるかと一瞬でも考えるなんて、私ったら自意識過剰……

 いやいや、ないから。

 別にまったく全然。

 そんなこと思っちゃダメだってば。

 大好きなロディの未来を潰してどうするの!


 暑くなった顔を冷まそうと、私は両手を頬に当てる。ロディはそのことには何も触れず、落ち着いた声を出す。


「ところで、君の義兄と義妹だけど……」


 まさか、ここでクビ!?

 今までのは前振りで、本題はここから?


「あれで諦めるとは思えない。君を男爵家に取り戻そうと、必死に迫ってくるだろう。あるいは……いや、そこまでひどいことはしないはずだが……」


 非常に気になる言葉だ。

 ひどいことって何?

 頬の熱が一気に冷めた私に向かい、ロディが綺麗な顔で笑った。


「ねえ、シルフィ。君の安全のためにも、このまま僕と恋人のフリを続けてみてはどうだろう?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ