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駄作ラノベのヒロインに転生したようです  作者: きゃる
第二章 ラノベ化しません
18/60

ヒロインよりも 3

 大人のロディは困った顔でも(さま)になる。前髪をかき上げる仕草は、色気さえ漂うような……

 いや、変な考えを起こしちゃダメでしょう。

 ラノベのシルヴィエラはダメ、絶対!

 

 だけどそれって、どういう意味だろう?

 気を遣わないからこそ、ここで働きたいと願い出たのに。


「女官がそんなに嫌?」

「嫌というよりいきなり女官では、ひんしゅくを買うと申しますか……」


 修道院にいた私でさえ「王族は全員美形だ」という噂を知っていた。独身の王子達の(そば)にいたい女性を全員雇っていたら、ここは女官だらけになってしまう。王城で女官となるには、厳しい採用試験に合格しなければならないと聞く。知識も技能も経験もなく、まして中途採用の私は下働きの方が気が楽だ。ローランド王子の提案に乗っかれば、確実に敵を作る。


 前世に置き換えると、社長の知り合いだから入社試験はパス。新人で何もできないけど、主任からスタートでいいよね? といったところだろうか。

 まあ、実際には就職したことがないので、よくわからないけれど。


「僕では君の助けにならない?」

「いいえ、十分助けていただいておりますわ。貴方はただ、いてくださるだけでいいんです」


 王城に……だって王子だから。

 採用はありがたいけど、下手に手を回されたら、職場の人間関係が気まずくなると思う。


 王子が口元を手で(おお)い、急に黙り込む。なぜか耳が赤いけど、照れているのだとしたら、今のどこにその要素があったのだろう? 助けていただいたと言われて、嬉しかったのかな?

 じっと見つめていたところ、彼は私の手を握り、甲に口づけた。


「わかったよ、それなら『女官見習い』でいい。女官長には話を通しておこう」


 契約するたびこれだとしたら、女官希望者が殺到するのも納得できる。昔のロディを知る私からすれば、くすぐったいだけだけど。下働きにはなれなかったが、正式な女官ではない。見習いって、なんかいい響きだ! もちろんコネ採用であることは、内緒にするつもり。




 そして今、私はさっぱりして気分がいい。

 ローランド王子は「着替えたい」という私の話を覚えていて、早速叶えてくれたのだ。用意された湯につかり、身体の汚れを落とした私は、女官の制服に(そで)を通している。それは、紺色の生地に(えり)と袖口だけが白い服で、さらに白の帽子を(かぶ)る。エプロンはなかったため省略し、珍しい銀色の髪は一つに編んで帽子の中に押し込めた。ヒロインを降りたい私としては、目立つわけにはいかない。


 ちなみに、はじめに渡されたのは、見たこともないほど豪華な淡い桃色のドレスだった。サイズはまあまあだけど、誰のものかもわからない。そのため、謹んでお断りさせていただいた。代わりにこうして、女官の制服を用意してもらったというわけだ。

 けれど、ここにいる女官達も明日からは私の上司となる。自分から「見習いになりたい」と申告しておきながら、偉そうな態度はいただけない。そう思って手伝いを断り、自分一人で着替えている。

 

 鏡で全身を確かめていたところ、ノックの後でローランド王子が入室してきた。彼は濃い青に金色の刺繍(ししゅう)(ほどこ)された立派な上着を(まと)い、シャツとトラウザーズは白、ブーツは黒でクラバットを大きな宝石で留めている。王子は私を見て驚くと、側にいた年配の女官に問いかけるような視線を向けた。女官は肩を(すく)め、悲しそうに首を横に振る。

 

 ――あれ、なんかダメだった?


「シルフィ。どんな恰好でも似合うけど、さすがにこれは……」


 王子はまたもや困った表情だ。

 女官は明日からなのにって、言いたいのかな?


「時間がない。そのままでいいから、こちらへ」


 そう言われて、王子について行く。女官長に挨拶に行くのかと思いきや、通されたのはとんでもない場所だった。ここって――



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