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その時間の体感時間は?

 


 作戦ガンマの終了と作戦デルタの開始宣言からちょうど一週間が経った。


 現在、俺は羊蹄山付近の森の木陰でタブレット端末を弄りながら、スポーツドリンク片手に休憩をしているところだった。

 画面には北海道の地図が詳しく表示されおり、その端から順に赤く色が付いていっている。主要都市付近には赤色ではなく、黄や緑、青のどれかの色で塗りつぶされていた。


 俺が持っているこれは、現時点で捜索および調査を終えた場所からリアルタイムで随時更新されていく、自衛隊配布のタブレット型最新捜索マップである。

 もちろんその色分けには意味がある。


 赤、一度ダンジョン難民の捜索を行った場所。

 黄、一度目、二度目に関わらず人員を割き、より詳細な捜索を行った場所。

 緑、二度以上の調査でダンジョン難民および魔獣の集団が確認されていないと指揮官より判断された場所。

 青、捜索はすでに終えており、人が住めるほどに安全を確保できた場所。


 要するに塗りつぶされた色が赤系統から青系統に変わるほど、その土地の作戦進行度が高いということだ。

 そんな中、俺は自分から志願して一人で函館の地から空を飛びながら徐々に北上を続けていた。

 現在俺が発見したダンジョン難民は26人。全員を無事に基地へと送り届けた。


 もちろん俺以外にもダンジョン冒険者の中から有志を集り、北海道の土地は徐々に赤色で埋まって来ていた。


 俺はNumber1として、このマップの空白の部分。いわゆる未捜索地区が無くなるまではこの北海道奪還作戦に参加するつもりだ。

 せめてこの作戦で俺が不要となるまでは、元ニートとしてではなく立派なダンジョン冒険者としてやり遂げようと思う。


 俺はちょうど飲み切ったペットボトルをゴミ箱に放り込んで、そのままアイテムボックスへと仕舞った。

 そして、クールタイムが終わった飛行スキルを起動し、再び空からダンジョン難民の捜索を開始したのであった。


「羊蹄山か……少し寄って行こう」


 目的変更。

 羊蹄山は俺の故郷、倶知安町の南南東にある山。


 真っすぐ北へ向かおうと羽ばたかせた羽を、少しだけ西の方向に切ることにした。


 そして、俺は初めて空から自分の田舎な故郷を見降ろしたのであった。


 見れば見るほど何もない田舎で静かな、俺の好きな故郷。

 そう感慨深く飛んでいると、ちょうど毎日ランニングしていたコースを見つけ、そこに降り立つことにした。

 そのままゆっくりと心の赴くまま歩き始めるのだった。


「懐かしいな」


 まだここを離れて二年と少ししか経ってはいなけれど、それでも懐かしいという感情が芽生えた。

 今までのように毎日規則正しくゲームライフを満喫していたならばこういう感情は芽生えなかったのかもしれない。


 こんなにも突拍子もない、漫画みたいなラノベみたいな……それでも現実として起こったダンジョンのあるこの世界の構造。

 俺はそこで一人、ダンジョンを進み続け、魔法を使えるようになり、攻略し、師匠と出会い、気づけばランキングシステムまで存在しランキング一位に、北海道奪還作戦では今までの人生で一番人と関り、この大地を縦横無尽に駆け回りながら奪還という偉業を成し遂げ…………。


 濃すぎる。

 俺の人生、想像していたよりも何倍も何千倍も濃くなった。


 もっと薄く普通に自由に生きていくのが俺の人生だったはず。


 どこから狂った?


 それはあの日、ダンジョンに落ちた。

 俺の人生の分岐点は間違いなく、そこだった。


「このコンビニも久しく来ていないように感じる……」


 目の前には家から一番近いコンビニ。

 昔からランニングコースの目印であり、ゲームなどの支払いで散々お世話になった場所。

 ちょっと可愛くて、気になっていた店員さんがいた。


 その思いである場所が今は廃墟同然と化していた。

 何かに割られた窓に散乱する商品、血のこびりついた床。


 俺は長い時間立ち止まることをせず、そのまま歩き続けた。


「ここは……俺の人生の分岐点だな」


 そこは俺が落ちたと思われる、果てしなく続くダンジョンの入り口へと繋がる落とし穴。

 今、覗いてみても暗闇が続くだけで、何も見えなかった。


 俺はその場に、自衛隊から貰っていた立ち入り禁止の柵を取り出し、設置した。


 このダンジョンが今もなお動いているのか動いていないのか。

 それは分からない。


 ダンジョンはその管理者が死ぬことによって、そのほとんどの機能が消滅するとサリエス師匠がいた世界では言われていたらしい。

 というのも、ダンジョンによって完全に消滅する物や、攻略時点でリポップした魔獣だけは生き残ったり、次のダンジョン管理者を据えるような活発なダンジョンすらあるらしい。


 このダンジョンがどれに当てはまるのかは、俺もサリエス師匠ですらもわからない。


 もし完全消滅していなければ、誰かがここに落ちた時点で攻略するまでは帰ることができないこのダンジョン特有の仕様が残ったままということになる。

 それだけは何としてでも避けなければならない。


 俺は厳重に張り紙や柵をその場に設置し、再び歩き始めた。

 今はあの日のような冬ではないため、そのまま立ち往生することなく進み、ようやく目的地が見えた。


「ただいま」


 目の前には俺が高校生活を掛けて警備し続けた懐かしの家があった。


 こういう時は実家と言えばいいのだろうか。

 少し複雑だからよくわからない。


 俺はガタガタと鳴る重い扉を開け、中へと入る。

 そこは未だに埃っぽいままだった。

 歩くたびに埃が舞い靴下に付着する。


 俺はそこに長居することはしなかった。

 リビングから一枚の写真立てだけを持ち出し、アイテムボックスへと仕舞った。


「またすぐにひよりと帰ってくるからな。そしたら、大掃除だ」


 煩く響く扉を閉め、俺は再び空へと飛び立った。




 ******************************




 その後の北海道奪還作戦は順調そのものだった。


 ダンジョン冒険者の有志や自衛隊主導の下、少しづつ安全圏を広げていった。

 配属にはダンジョン対策機関には属さない、いわゆる普通の自衛隊員も少しづつ配置されていき、土地の奪還と同時に主要都市の復旧も開始されていった。


 この土地に残されたのは、未攻略のダンジョンが五個に魔獣の残党が少し。そして意欲溢れる日本人の素敵な姿だった。


 東西南北にある四か所の主要基地に関しては、徐々に設備や建物も充実化されていき、完全なる奪還に向けて万全の状態と言える状態だった。

 あとは時間が解決してくれることだろう。


 俺は空白部分がなくなったタブレット画面の北海道地図を見て、公園のベンチから腰を上げた。

 そして、一番近くにある西の留萌基地へと帰ることにしたのだった。


 現時点で北海道に残されたダンジョン難民221名の保護が完了し、東京へと迎え入れられた。

 彼らは世間から魔獣蔓延る大地で生き抜いてきた勇気あるものとして祝福される。そして、今後はメンタルケアから社会復帰までを政府が支援するそうだ。


 しかし、その世間の祝福ムードとは別に未だに北海道の行方不明者は一万人を優に超える。


 この数字を誰がどう思うかは分からない。


 何も知らない人たちがただ口で言うだけ、まだ探せと声を上げ続けるのか。


 よくわからない責任を取れなどと、行動すらせずにこの世界で生き続けるのか。


 希望が無くなり悲しみに打ちひしがれるのか。


 希望を捨てず行動に移すのか。


 感謝の気持ちを大にして言い続けるのか。


 ただ…………俺はこう思う。

 221人の人たちが生きててくれて良かった。


 そして、俺……本当にお疲れ。


 もう俺は一生分の働きをしたよね?

 休んでいいよね?

 引きこもっていいよね?

 ゲームしていいよね?

 声優ライブ行ってもいいよね?

 念願のコミケまだ開催してるのかな?


 欲望が留まることを知らなかった。


 一応、俺にはまだダンジョンに潜り続けなけらばならない目的もある。

 サリエス師匠が夢の中で言っていた裏側のダンジョンも気になる。それに台風島のダンジョンに、九州の奪還だってまだだ。


 でもまあ……数ヶ月くらい自由にしても誰にも文句は言われまい。


 俺は留萌基地にいる工藤さんに話を通し、北海道で頑張っている人たちよりも一足先に東京の家へと帰還したのであった。


 俺の家は超高層ビルの最上階。

 未だに慣れることのない長いエレベーターに乗り、家のドアを開けて言った。


「ただいまー」


 すると。


 ドタドタドタ。


 歩くのが下手な子の足音がリビングの方から聞こえてきた。


「おかえりなさいです、蛍さん! それよりそれより大変です! ギルド解散の危機ですっ!!」


 おっと。

 早速、問題が起こっているようだ。


 俺はすぐに自分の部屋に引きこもり、ゲーム画面へと没入したのであった。




 ******************************




 あれから4か月が経った。

 もうそろそろ年末特番がテレビで放送される時期に差し掛かり、リア充どもが浮かれ出す時期だ。


 その間、やりたかったことは大体やれた気がする。


 毎日のランニングやゲームはもちろん、ギルド運営や声優ライブに夏のコミケに行ったりもした。

 バイクの免許も取得し晴れて一人前の男だ。

 それに定期的に北海道の支援にも駆けつけていた。


 中々に充実した引きこもりライフをできたと自負できる。


 そんなある日、今日はひより主催のささやかなパーティーがお世話になった人に向けて開かれていた。

 最初はレストランでも行ってやりたいと言っていたが、俺が断固として拒否した。

 来てくれたのは、賢人に先輩、恵に恵パパとママ。あとはンパも一応いる。

 自衛隊の人も呼んだみたいだが、今は忙しくて誰も来てくれなかったそう。


 そうしてみんなが話している中、俺は一人テレビ前のこたつを独占し、鍋を突きながら笑ったら罰を食らう系の番組を見ていた。

 そんな時だった。


『それではこれより、首相官邸にいる卜部(とべ)首相の方から緊急会見が開かれる模様で、全生中継で放送致します』


 緊急ニュースとしていきなりテレビにフラッシュを浴びる現首相の卜部太郎が現れたのだった。

 俺は「今良いところだったのに」なんて思いながら、お替りをした。


『みなさん師走のお忙しい中、集まっていただきありがとうございます。本日は六か月前より継続していた北海道奪還作戦の進捗について報告させていただきます』


 卜部首相がそう言うと、カメラマンは待っていたとばかりにシャッターを押し始めた。


『昨日十六時〇〇分を持って、継続していた北海道奪還作戦が完了したことをここに報告いたします』


 卜部首相は一つ間を置いて、再び話し始めた。


『北海道全地域の捜索及び調査が完了し、地上の魔獣が掃討されたことを確認いたしました。ダンジョンの封鎖もすでに完了しており、主要都市の復興も着実に進んでおります。明日より随時、移住や支援に関する情報をホームページにて公開致しますので、今後ともよろしくお願い致します』


 その後もよくわからない難しい話を話す首相。


 逆に俺たちは静まり返っていた。

 みんな一様に何を言えばいいのか分からないと言った様子だった。


 そこを俺が切り開いた。


「ひより、家行ってみるか?」


 俺はただそう一言言った。


「行く」


「わかった。次の土曜日な」


「うん」


 この会話に入ってくる者はいなかった。


 ひよりの過去を知っているからだろう。

 わざわざ両親が死んだ近くの土地に行って思い出す行為。

 もちろん俺もそうだが、詳しい場所は知らない。


 それでも行く価値はある。


 俺も今度こそ、本当に向き合わなければならない。

 今まで逃げていた現実に。


 知らなければならない。

 聞かなければならない。


 それが俺の進むべき一歩だ。




 ******************************




 次の土曜日、東京のとある駐屯地へと妹のひよりと二人で来ていた。


 最初の考えではバイクで青森まで行って、そこから実家まで飛んで行けばいいなんて甘い考えでいた。

 というのを、賢人に話したところいつの間にか話がどんどんと大きくなっていき、果てには自衛隊にヘリコプターで送り迎えしてもらう。

 なんてところまで行ってしまった。


 そういうことで今、ひよりと共にヘリコプターに乗り込んだところ。

 ヘッドホンとマイク付きのヘルメットを付けるように教えられ、ゆっくりと装着した。


 すると、早速ヘッドホンから声が聞こえてきた。


『初めまして雨川蛍さん、本日の操縦士を務める暁芽々(あかつきめめ)と申します。陸上自衛隊所属の一等陸尉です。私は主にダンジョン冒険者のみなさんのアッシーですので、大いに扱き使ってくださいね。はぁ、はぁ……。雨川さんは長瀬局長より、北海道奪還作戦にも参加するほどの将来有望な方だと聞き及んでいますので、最大限の注意を持って操縦させていただきます。では、短い時間ではありますが倶知安駐屯地までの短い空の旅をお楽しみください。はぁ、はぁ……』


 俺は隣のひよりの顔をゆっくりと見た。

 すると、ひよりも同じように苦笑いしながら俺の方を見てきた。


 恐らくひよりも俺と同じことを考えていたようだ。

 操縦士の暁さんは俺の正体を知らないようだ。

 恐らく工藤さんか長瀬局長辺りが適当な身分を取り繕って説明したのだろう。

 まあ、今日はひよりも一緒だったからお面を付けて欺く必要がないから素顔のままである。


『では、出発致します。何かありましたら近くにいる隊員か私にご連絡ください。緊急でしたので、荷物があり狭いかとは思いますが、ごゆっくりとしてください』


 再び無線から暁さんが丁寧に話しかけてきた。


 何というか、自衛隊ってもっと殺伐としたイメージがあったけど、案外普通な感じなんだな。


 ただ一つ……俺は突っ込まないぞ。

 なぜかたまに鼻息荒くなっていたけれど、俺には何も聞こえなかった。


 すると、ヘリコプターのローターが回り始め徐々に耳に入ってくる音の情報が多くなってきた。

 俺は外の景色を楽しみながら再び地元倶知安町へと向かったのであった。





 無事に倶知安駐屯地へと到着し、次に自分のバイクで家の方向へと走り始める。

 ちなみにバイクはアイテムボックスに入るので特に持ち運びに苦労しない。

 まあ、アイテムボックスってのは色々と犯罪にも使われることが多いみたいであまりこういう使い方が良くないってことは内緒。


 自慢のこのシノビというメーカーのバイクの後部座席に乗るのはもちろん妹のひよりだ。

 先輩曰く、シノビにするならやっぱり緑、ということで緑だけはやめておいた。

 青にした、先輩のセンスを信じてはダメというのが俺が学んだことだからだ。


 そのまま整備されつつある道路を走ることニ十分、徐々に道路が荒れ始めそろそろバイクでの移動がきつくなってきたので、そこからは徒歩に変更。


 しかし、ひよりの足取りは重かった。


 一歩、歩くたびに周りを確認し、びくびくしている様子だった。


「大丈夫か?」


「ごめんごめん、お兄ちゃん。魔獣がいないってことは分かってるんだけど、何故か思うように体が言うこと聞かなくって……」


 それもそうだ。

 ひよりが目の前で魔獣にされたことを考えると。


「大丈夫、ゆっくり行こう。時間が掛かるようなら、賢人に学校休むことを連絡してもらうから」


 ひよりは何故か小さくため息をついた。


「お兄ちゃん、今だから言うけど。そろそろ賢人くん離れしたらどう? そこは普通「俺が連絡するから心配するな」でしょ。もし賢人くんが友達止めるって言ったらどうするの?」


「それは困る」


 俺の即答が余程気に入ったのか、ひよりは少しだけ笑った。


「ははっ、本当にニートのその自信はどこから来るんだろうね」


「いや、俺はニートじゃないから。元って言葉をちゃんとつけて、元ニートだから」


「はいはい、元ニートさん。いつもご苦労様です」


「苦しゅうない」


 この会話の後、少しだけひよりの足取りが軽くなった。

 それでもまだこの道に覚えがあるのか、顔に影が落ちることが多々あった。


 そして、俺達は家の前へと到着した。

 ひよりの小さな手が俺の手をギュッと強く握ってきた。


「大丈夫か?」


「ちょっと待ってね。もう少しだけ」


「おう」


 そうして数分の間ひよりはずっと家の扉を見つめていた。


「よしっ、入ろうお兄ちゃん」


「よし、きた」


 俺は扉に手を掛け、空けた。


 ギギィィィ。


 長年使われず、錆びたような鈍い音が扉から鳴る。

 その音にびっくりするひより。


 二人同時に扉の敷居を超えた。


 ひよりは目を閉じていたが、すぐに目を開けホッと溜息をついた。


「ん、意外と大丈夫みたい」


 そうか、それは良かった。


 俺はその後、ひよりに連れられるままリビング、キッチン、バスルーム、二階……全ての部屋を回った。


「変わらないね。ちょっと埃っぽいけど」


「そうだな。おっと、何故か俺の手の中に掃除道具が……」


 ワザとらしくアイテムボックスから事前に準備していた大掃除道具を取り出す。


「なにそれ。めちゃくちゃ準備してきてるじゃん。『スベスベスベールくん』とか逆にどこで買ってきたのさ」


「百均」


「安上りですなぁ」


「そう簡単に貧乏性ってのは抜けないんだよ。こういうのは百均で十分、というか今あんまりお金ないし」


 そう、俺が手に入れ賢人が捌いたドロップ品で荒稼ぎしたお金。

 そのほとんどを北海道の復旧支援金として復旧口座に匿名で振り込んだ。

 いや、正確には匿名ではなく「みんなが愛するギルド団長」って名義にした。嘘は言ってない。


 何かそれがニュースにもなっていたらしいが、俺の知る由ではない。


「まあ、賢人くんがまた稼いでくれるって。それじゃあ、ちゃちゃっと掃除しちゃおうか!」


 ひよりはそう言って、俺の手から掃除道具を取り、掃除を開始した。

 窓を全部開け、埃を掃き、床を雑巾で拭き…………それから二時間ぐらい掃除をしただろうか。

 俺は額の汗をぬぐい取り、ふうっと息を吐く。

 すると、外の方がなにやら騒がしい様子だった。


 というか、いつの間にか俺一人で掃除してるんだけど。

 ひよりどこ行った。

 あの野郎さぼりやがったな。


 そう思いながら、俺も休憩がてら外の様子を確認しに行く。


 靴を履こうとした時だった。


「わんわん! わんわんっ!!」


 え?


「よしよしよし。いい子だぁ。わ、分かったからもう顔舐めないでって! こら! ポチ!」


 扉越しに外からひよりの声が聞こえてきた。


 俺は靴すら履かずに外へと飛び出た。


 そこにはひよりを嬉しさのあまり押し倒す、ポチの元気な姿があった。

 そして、俺の姿を見たポチは……。


「わんっ!」


 尻尾を振りながら、思いっきり俺の胸の中へとジャンプしてきた。

 俺はそれを受け止める。


「ただいま、ポチ!」


「わんっ!」


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― 新着の感想 ―
ポチ! ……何か不思議な力とかある?
[良い点] ポチ生きててよかった。 ずっと気になっていた。
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