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あの日地球にダンジョンが出現した(~ニート × ファンタジーは最強です~)  作者: 笠鳴小雨
【第7章】7年の空白~閑話短編集~

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モネのおじさん冒険者

【ちょこっと告知】

◆本日(11/25)より、ピッコマ様にてSMARTOON連載が始まります!

 タイトルは『俺だけ隠しダンジョン制覇のランカー』へ変更となります。

 URLは活動報告と下のランキングタグに掲載しておきますので、ぜひ読んでください!!

 


「「夜も夜とて、秋とリリィ――今夜もスタート!」」


 二人の女神が声を合わせてカメラにそう言った。

 番組のオープニングを飾る二人の神声は俺の耳を優しく包み込む。


 さて、なんて言えばいいんだ俺。

 まじで何にも考えてなかった、秋様可愛い。


 そんな秋様がカンペの文字を読むと、ほんの一瞬俺の方に目配せをしてきた。


「今夜はなんとゴールデン! 番組史上、一番と言っても過言ではないほどのスペシャルゲストとともにダンジョン撮影に挑戦です」


 秋様に続いて、リリィ様が俺に目線をくれた。

 ドキッと胸が高鳴ったが、ここで失敗するわけにはいかないと冷静を装う。


「みなさんにはこうお伝えしたほうがいいでしょう。今宵のゲストは――Number1!!」

「世界を救った英雄がテレビ初登場です!」


 二人とスタッフたちの拍手、それに大袈裟すぎるほどのスモークが焚かれる。

 おそらく編集で壮大な音楽でも流しているのだろう、そんなことを想像して俺は若干楽しくなっていた。


 狐の面を着け、俺はスモークの中を歩いていく。

 そうして女神二人の間に入り込むように俺は地面のバミリに両足を合わせた。


 やばい、今日一番の動悸が。


 早まる心臓を抑えるためにもンパの方を見る。なんか口をパクパクしているが気にしない。いつも通りだ。餌を与えられた鯉のようにンパは大体口をパクパクしている。

 不意にカンペを見ると、自己紹介をお願いしますと汚く雑な文字で書かれていた。


 あ、なんて言おう。


「あ、ども。Number1です」


 やっちゃった。

 どっからどうみても不愛想な人間に見えちゃった。


 こうして俺ははじめての番組収録のオープニング失敗を経験するのだった。

 まあ女神二人が上手く盛り上げてくれたから現場の空気なんて関係ない。


 ********************


 番組の構図はこうだ。


 新城秋様と仲瀬リリィ様がメインMCを務め、スペシャルゲストとして俺ともう一人のおじさんダンジョン冒険者が参加する。顔も名前も知らないけどタイガー事務所所属らしい。どうもはじめまして。


 最初はインタビューからスタート。

 その後実践と称して、名もなきタイガー事務所の橘くんが戦闘を行い俺が二人へ解説をする。次に俺が戦闘を行い、名もなき橘くんが解説を務める――とまあざっくりこんなところだ。


「橘ですわ、よろしゅぅ! いやぁカメラで撮られ慣れてないんでやっぱり緊張しますわぁ。それに別品さん、別品さん、一個飛ばして、世界を救った英雄さんって!! ……これ、ワイここにいちゃあかんのでは?」


 そんな感じで名もなき橘さんめっちゃおしゃべりだわ。さすがタイガー事務所所属。

 俺の出番ほぼゼロ、この番組もどちらかというと初心者向けの内容を放送したいようでダンジョン冒険者としての基礎やイロハをインタビューされている感じだ。


 うん、俺に基礎とかイロハとかあるわけないじゃん。


 全部自己流だよ?

 ダンジョン冒険者たちのマナーとか型とかまったく当てはまらない。むしろ名もなきおじさんが答える内容に女神二人と一緒になって「へぇ」とか言っちゃてるもん。


「――Number1は自分よりも強いと感じた魔獣を目の前にしたらどうすることが多いんですか?」


 流れでリリィ様が俺に話を振ってくれた。

 優しい、可愛い、本当は名前で呼んでほしい――という欲望を抑えて俺は冷静に答える。


「うーん、前提として自分より強い魔獣をほとんど見たことがないんですが――」


「「ですよねぇ」」

「んな馬鹿な!? 発言がエリートすぎるやろ!」


「ちょっと特殊なスキルを持ってまして。まあでも最初の頃は若干自分よりも強い魔獣と接敵したことはありますよ、ダンジョン潜ったばかりの頃ですね」


「ほんまかいな!」


「とはいっても俺の場合は最初から水魔法とか諸々使えたんで、その環境と能力をフル活用すればなんてことなかったですけど。あとは強い魔獣イコール経験値豊富だからやる気には満ち溢れてましたね。あとそこ周回すればめっちゃ強くなった。逆に橘さんはどうするんですか?」


「普通の人は逃げるに限る! まじでこれを見ている視聴者の人はNumber1の真似をしたらあかんで! この人ちょっと普通じゃなさすぎるわ! 考えが脳筋!!」


「ダンジョン冒険者なんて大体脳筋じゃないですか」


「んな阿呆な! 命がかかってるときに周回なんてゲーム的感覚で戦えませんって」


「んな馬鹿な。良経験値の塊なのに」


 なんだか俺は自分の異常さを再認識させられた。

 名もなきおじさんみたいにごく平凡なダンジョン冒険者は良くも悪くも冒険をしないし、安全策ばかりを講じようとする。まあ当たり前の考え方だろう。

 たぶん俺はそこのネジがごっそりと外れている。んでそのネジがない人たちがたぶんランカーとして世界に名を轟かせている人たちなのだろう。


「では次のコーナーに参りましょう! 秋とリリィ、ダンジョン実践編です。ここからは実際にダンジョンへと入場してみたいと思います」


 実践編が始まろうとしていた。

 ンパ、頼むからうずうずしないでくれ。レーザーカノンぶっ放したそうな顔するなよ。


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