表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/13

11話 影の薄いダンジョンマスターがやっと働き始めました。

 「と、言う訳で私も参戦しようと思う!」

 「最初からそうしてくれ」

 思わずツッコミを入れずにはいられなかったのか、井上が言う。

 ダンジョンマスターは基本自分で直接的な攻撃ができないらしい。

 働きたくないだけだろ、と思うが。

 そもそもこの間はしばらくダンジョンを留守にしてたらしい。

 ていうか、ダンジョンマスター解雇クビだろ。

 だが、今回の件で流石に思い立ったらしい。

 直接戦闘はしなくても、罠などで応戦がしたいと。

 

 それで廊下に来ていた。

 「私にはこの便利スキル『罠設置』があるから」

 といい、そこら辺に手をかざすと、

 「はい!罠完成」

 別になんの変化もない廊下の床。

 「何も…ないですわよ」

 「そう見えるでしょ!?陸、ちょっとここ踏んでみて」

 俺は仕方なく、先程真希が手をかざしていた床を踏む。

 その瞬間――――!

 俺の体に鞭を打つような激しい痛みが襲う。

 「ウギャッ――――っ!何だこれ」

 思わず声を上げてしまう。

 そういえば、ラーニルの時は仕方なかったが、声を出すことすっかりが増えてしまった。少しは自重(?)せねば。

 「特製痺れ罠だよ!ドラゴンでも動けなくなるぐらいの」

 おい、少しは俺を尊重しろ。


 「お次はこれっ!」 

 また床に手をかざすが、やはり見た目状の変化は無い。

 「はい、陸お願い!」

 嫌だよ。俺だって学習能力はある。

 「ハア〜。仕方ないな〜」

 そう言うと、『転移魔法』で俺の後ろに転移し、

 俺をまるで冗談かのように、罠の方へ放り投げた。

 軽々と宙を舞う俺の身体。

 地面に叩きつけられるとほぼ同時に、床が消える。

 下に落下していく俺。

 畜生―――――っ!落とし穴かよ―――っ!

 そして、俺はさらにさらに下の地面へ叩きつけられる。

 が、痛みが全く無い。

 どうやら下にクッション的なものがあった。

 真希の奴、まさかこんなに人道的な罠を作ったのか。

 落とし穴の上から俺を見下ろす女性陣も、驚きで…

 いや、俺を見て、目を隠す。

 それを見て、俺は今相当ヤバイ状態になってるのがわかった。

 「これは私特製。敵を落とし、武器や装備を溶かせる罠」

 おおおおおい―――――!装備どころか服まで溶けてるううう!

 そもそも冒険者達の装備を売って生活費にしている俺達。

 装備溶かしちまったら生活できねぇだろうが!

 「キャ――――――――――――――――――っ!《炎神よ 愚かなる者を灰と化せ》」

 全裸にされた上に、理不尽に焼かれる可哀想な俺であった。




    



 数日後、既にラーニルの怪我は完治していた。

 「ラーニル。本当にここに残るのか?ここは危ないぞ」 

 井上が心配そうに言う。 

 ラーニルを外へ送る日であったが、ラーニルがここに残りたいと言い出したのだ。

 「はい、危ないのは重々承知です。ですが、皆様のところから離れたくないです」

 「ですけど…」

 「特にリン様。貴方は私に寝るときに沢山お話させてくれました」

 以外だ。只のお嬢様でしかないこいつがそんな事を…

 鈴原は記憶を失い心の拠り所が無くなったラーニルの依存対象になったらしい。

 「それに、私の精霊術なら、きっとお役に立てると思います」

 自分は精霊術が使える。

 ラーニルが名前以外に覚えていたもう一つの記憶だった。

 「俺がお前を命をかけて守る」

 これは償いという意味だけではない。

 ラーニル。俺達を信じてくれた少女へのお礼。

 俺は心に誓った。 

  

ポイント評価、ブックマークお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ