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実は左利きです

右手が切り落とされた

そこから大量の血が噴き出してきた

左手で止めようとしても止まらない

声が出なくなるほど痛い

「腕が・・くそっ」

赤髪は俺にとどめを刺そうと

手刀を頭めがけて振り下してきた

避けないと

体が動かない

誰かに押さえつけられてるようだ

「くそっ、放せ」

速く避けないと・・

あれ・・おかしいな

右手はないはずなのに

誰かに握られている感触がある

誰だ・・



気がつくと俺は

テニムの宿で寝ていた

「あれっ?」

やけに部屋が散らかってる

横ではチコが必死に

俺の右手と体を押さえていた

「チコ?お前何やってるんだ?」

チコと目が合うとチコは俺の体から離れた

「おぉ、目が覚めたか

 いや〜それにしてもひどい揺れだった」

部屋の向こうからテニムが現れた

「どうなってるの?」

「何が?」

「俺、赤い髪の奴と戦ってて」

「あぁ、おしかったな

 でもバイロが相手じゃ無理だったな

 あそこまでやるとは思わなかったよ」

その時、俺はそいつに右手を切られたことを思い出した

「そうだ、右手」

右手を見るとちゃんとそこには右手が付いていた

「あれ?」

「あぁ、右手はチコが治してくれたんだよ」

理解ができない

「あぁ覚えてない?もしかして」

「全く」

テニムは戦いの時の事を教えてくれた


俺が刀と右手を切られたあと

赤髪は俺を選手の入口まで蹴りで吹き飛ばし

それを見た審判が戦闘不能の合図を出し

試合は終了した

とにかく止血をしなくてはいけなかったが

どうやら俺は意識は失っていたが無意識のうちに

力を使って止血をしていた

宿まで運ぼうとすると

チコがいなくて

あたりを見回すと会場の方から

俺の右手を両手で抱えて

走ってるみたいだがトテトテとゆっくり

こっちに戻ってきた

そして俺の腕に右手を近づけ

力を使いくっつけたらしい

そのほかにも擦り傷なども治してくれたらしい



「そうだったのか

 ありがとうな、チコ」

すると、チコはぎこちない笑顔で

「が、頑張ったね・・」

そう言うとだんだんと顔が赤くなってきた

「え?今、喋った?」

なんで、俺ってこんな返事しかできないんだ

今回はビンタではなく

グーが飛んできた

そしてチコは部屋を飛び出し

一階へ降りて行った

「おぃ巧真、もっと気の利いた返事はできないのか」

「いや喋った事に驚いちゃって」

「チコは腕だけじゃなく

 刀も直してくれたんだからな」

「俺の刀、消えてないの?」

「あぁ、一階に置いてあるぞ」

「それにしてもやけに部屋が散らかってるな

 なんかあったの?」

「なに言ってやがる

 お前がやったんだぞ」

「俺?」

「巧真の力は

 どうやら俺達とは違って

 感情で左右されてるみたいだな

 お前がうなされてるとき

 勝手に力が発動したんだよ

 まったく地震が起きたかと思ったよ

 チコも何とか抑えようとして必死になって

 お前を押さえつけてたんだぜ」

「そうだったのかごめん」

「俺に謝るなよ

 チコにちゃんと謝ってきな

 腕は治してくれるしお前に抱きついてくれてたし」

「おぃ、表現が違うぞ」

テニムの目が突然笑い始めた

「それとお前の服の着替えも

 やってもらったからな」

「はっ?」

「あれ?知らなかった?

 おまえ二日間も寝てたんだぜ

 チコって頼んだら断れない体質だからさ

 頼んどいたんだよ」

顔が熱くなってくるのを俺は感じた

「ははっ冗談だよ、そんな事頼まないから」

「本当だろうな?」

「さぁ、どうだか・・」

テニムの顔もニタニタしてきた

「とにかく、ちゃんと

 謝ってこい色々とご迷惑をおかけしましたってな」

「あぁ、わかった」

そう言って部屋を出て行こうとしたが

テニムがまだニヤケているから立ち去り際に

「本当に着替えはさせてないんだろうな?」

「大丈夫、大丈夫」



下に降りると

階段にチコが座っていた

「チコ」

そう言って横に座った

相変わらず無表情のままだった

「いや、悪かったな

 気の利かない返事なんかしちゃって」

「別に、期待してなかった」

「・・・・」

落ち着け喋った事に違和感を持つんじゃない

そこには触れないように話を進めていくんだ

「う、腕だけじゃなくて

 刀まで直してくれたんだってな

 ありがとう」

「直すのに腕も刀も関係ない

 どちらも同じようなこと」

「そ、そうか・・

 あと俺がうなされてる時に・・」

その続きを言おうとすると

チコの顔がだんだんと赤くなってきた

「どうした?顔が赤くなってきたぞ」

「別に何でもない」

その時、テニムがやけにニヤニヤしてた事を

思い出した

「もしかして、うなされてる時に

 俺何かやらかしたのか?」

「別に・・ない」

そう言って小刻みに震えてきた

「いや、本当の事言ってくれ

 何をしたのか全く知らないんだ教えてくれ」

「だ・・」

「だ?」

しばらく止まっていたが

突然、俺に顔を向け

なんともまぁ、乙女チックな顔と大声で

「抱きついてきた !!」

「なにぃ━━?」

それを階段の上で話を聞いていたのか

テニムが大爆笑する声が聞こえる

「ど、どういうこと

 なぇ誰が誰を?チコ教えてくれ」

チコは口を開こうとはしなかった

「巧真、俺が説明してやる」

笑いすぎたのか

涙を拭いながらテニムが階段を降りてきた




巧真を闘技場から宿へ運び終わった後

テニムは夕飯の支度をするため

一階の台所にいた

しばらくすると突然、地面が揺れだし

皿が飛び出したり

とても立っていられる状態じゃなかった

ところが、地面の揺れが突然収まり

宙に浮いていた皿は地面に

たたきつけられて割れた


これはただ事じゃない

宿が崩れるかもしれないと思い

巧真達を非難させようと

二階に上がりドアを開けると

巧真がチコを思いっきり抱きしめていた

「はぁっ?何だよそれ意味わかんないし」

「話はちゃんと最後まで聞け」


テニムも一瞬、何が何だか分からなく

その場でフリーズしてしまった

ただ、チコが

恥ずかしかったのか

息ができなくて苦しかったのか

どぢらかはわからんが

顔を真っ赤にして

巧真の背中を必死にタップしていた

「それは、明らかに苦しかったからだろ」

「話の途中に首を突っ込むな !!」


で、何とか巧真から

チコをはがし終えたんだが

何があったのかチコに聞いても

何も言ってくれないから

ここからはテニムの勝手な推測なんだが

巧真が突然、布団の中でうなされだした

それを心配になったチコは様子を見に行き

巧真の枕元まで行くと

突如、地面が揺れだした

この宿、ボロいから崩れるかもしれない

そう思ったチコは

「自分の宿、あっさりとボロいって

 言っちゃったぞこの人」

「うるさいチコが思った事を代弁してるんだ」


ボロ宿が崩れるかもしれない

そう思ったチコは

巧真を連れて外に出ようと思った

そして、何とか巧真の

上半身を起こすことに成功した

あとはお姫様だっこで・・

「おぃ、やめてくれ普通逆だろそれ」

「うるさ〜い !!」


そう思った瞬間

突然、巧真がチコを力強く抱きしめてきた

何が何だか分からないが

嬉しいような、理解ができないような

混乱と興奮のなか

揺れがピタリと収まった

だが巧真は全く離そうとはしない

だんだん息苦しくなり

顔も赤くなり

いや、もともと赤くなっていたが

より一層赤くなり

声を出し助けを呼ぼうとしても

声が出ず

ただひたすら巧真の背中を

タップし続けてる所に

急いで階段を駆け上がってきたテニムが登場した




「そうなのか?チコ」

チコはコクリと頷いた

「俺、そんな事をしていたのか」

かなり落ち込んでいると

テニムが何とか話を変えようと

一階に置いてあった

刀を拾い眺めながら

「しかし、本当に見たことが無い武器だな」

「へぇそぉ・・」

「おぃいつまで落ち込んでやがる

 ほら、俺にこの武器について教えてくれ

 扉の向こう側の武器なのか?」

「いや、俺の国の武器だよ

 日本刀って言うんだ詳しい事は知らないけど」

「変な名前だな」

「そうか?俺はしっくりくると思うけど」

「まぁ、頑丈そうだな」

「そう言えば、赤髪の奴

 テニムの事、知ってるようなこと言ってたぞ」

「そうだよ俺の友達だバイロって言うんだ」

「え?」

「ただ、あいつは上の階の住人だから

 下の階に下りてくるだなんて思いもしなかったよ」

「上の階?」

「あぁ、そうか知らないか実は」

そう言いかけた時

宿に誰かがやってきた

「よぉ、テニム久しぶり」

そう言ってバイロがやってきた



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