単独行動は命がけ
レンガの中をくぐると
辺り一面霧で何も見えなかった
「うわっ視界ゼロだ」
「馬鹿、力を使え
少しだが気配は感じるようになる」
力を使うと
横にバイロがいるのを感じた
地面はまるで泥沼でうまく動きが取れない
「こんな所に本当にいるのかよ」
「あぁ、しばらく進むと
城が見えてくるはずだ」
「・・?
ここに来たことがあるの?」
「さぁ・・?
来たことはないと思うが
何でかな来たことがあるようなないような」
「??」
「とにかく、行くぞ
敵に見つからないようにな」
「わかった」
集中すると
辺りがよく見えてきた
遠くではカエルのような物が鳴いている
そのまま、進んでいくと
遠くで何か大きな翼を羽ばたく音が聞こえた
バイロはまだ気づいていない
「バイロ・・鳥だ、でかい鳥がこっちに向かってくる」
「鳥?何のことだ?」
「わからない、けど数が増えてきた
5、7、10
もっと来る、もしかして向こうにバレたんじゃないか?」
「それはないと思うが、巧真
刀を抜いておけ」
そう言ってバイロは炎とナイフを取り出した
俺も刀を取り出し
強く握った
しばらく、静けさと緊張状態が続いた
だんだんと翼の音は大きくなってくる
しだいにバイロにも聞こえてくるようになった
「確かに数は多いな・・
来たぞ」
霧でうまく見えないが
まるで翼を生やした鬼が目の前に
現れた
肌は霧に紛れるためか白く
頭には角を生やし
手足に鋭い爪のような物がついてる
声は高くキャーだかギャーだか叫んでる
「なんだ、あの生物?」
そんな事を言ってるうちに
バイロは鬼にめがけて
炎を飛ばした
鬼たちはヒラリと交わし
一斉に俺達に向かって急降下してきた
俺は鞘から刀を抜き
構えた
戦闘はしばらく続いた
巧真は相変わらず
敵の攻撃をかわし
その後に一撃を食らわす
大勢で来れば衝撃波を出して
数を減らす
バイロの方もナイフと炎
体術を巧みに使い
鬼の数減らしていった
最後の一匹を斬り
戦闘は終わった
「おしっ、終わり」
そう言って刀を鞘に戻そうとすると
誰かに足元を掴まれた
下を見ると
そこには人間が倒れていた
俺は驚いた
そいつは腹を切られていて
大量に出血していた
どう見ても刀の傷だ
多分、この傷じゃもぅ・・
ただ、まだ意識がハッキリしているようだった
「た、頼む・・この傷じゃ
もぅ助からない・・ら、楽にしてくれ」
俺はかなり動揺した
今まで俺は鬼のような生物を斬っていたはずだ
人間は斬っていない
「た、頼む・・」
そう言って俺の脚を強く握ってくる
「え・・え?・・」
俺は突然怖くなった
手や足が震えだし
刀も待っていられずその場に落とし
腰をついた
それを見ていたバイロがやってきて
俺をどかし
その人に向かって
「言っておきたいことはあるか?」
「最後に家族に会いたかった」
それを聞くと
そいつの胸にナイフを突き刺した
「ば、バイロ・・これどういうこと」
何とか、冷静を保とうと
必死だったが
目は焦点が合わない
呼吸は荒く何とか深呼吸をしたりしていた
霧が少し晴れて行くと
周りには鬼の死骸ではなく
人が大量に倒れていた
「どういうことだよ !!これ」
倒れている人は全員が刀傷などで倒れている
「お、俺、いままで人を斬ってたのか?」
「・・あぁそうだ」
「知ってたのか」
「薄々な体の一部を変形させる
能力者が侵入してきたんだ体全体を変形させる
奴がいたっておかしくはない」
「で、でも・・」
「・・斬ったのは初めてか」
「人だって・・し、知らなかった」
涙が大量にあふれてきて
俺は両手で顔を覆った
「落ち着け、斬らなきゃ
俺達がやられてた
それにあいつ等は人間じゃない」
「何を言ってる
どう見たって人間だろ」
「違う、そうじゃない
扉の向こうと同じだ
人間扱いはされない」
「なに言ってるんだ・・?」
「・・・」
「人を斬った・・」
動揺してる巧真を見て
「お前はここに残れ
足手まといになる」
そう言ってバイロは先を進もうとした
「なぁ、バイロ
この世界はもともとあったのか
俺が今まで知らなかっただけで」
「あぁそうだ
昔はこことも戦争をしていたんだ」
「戦争?そんな事知らないぞ」
「・・いや、俺も知らなかった」
「バイロ?」
バイロの様子を見ると
何かを思い出してるのか
片手で頭を押さえしばらく固まっていた
「・・そう言うことか」
「バイロ?」
「思い出した」
「なにを?」
「立て、悪いが
お前も連れて行かないといけなくなった」
巧真の肩を掴み無理やり立たせた
「バイロ、どうしたんだよ」
「そうだ、俺達はここと戦争をしてたんだ
俺達の立場を守るために
あと少しで俺達の勝利が確定するところだった」
「バイロ?」
「そこに神が現れたんだ
そして、俺達に線を引いた
記憶も書き換えて」
「何を言ってるんだ・・・」
「これも想定済みってことか」
「バイロ・・もしかして」
「行くぞ、巧真
お前が鍵なんだからな」
「物語が見えているのか」
「・・・そうなのかもしれないな」
「この後は何が待ってるんだ」
「・・さぁ、よく見えないから
わからないな
ただ言えることは自分を受け入れるって事だ」
「何を?」
「全てを、今やったこと
これから起こることその全てをだ」
「・・・」
「もぅ落ち着いただろ
行くぞ」
「あぁ・・わかった」
そう言って巧真は刀をその場に置き
バイロの後を追った
進んでいくと
霧がだんだんと晴れてきて
城が見えてきた
「リムがいるのは
地下だ」
「見張りがいるんじゃないか?」
「大丈夫だ、バレないようになってる
だからいいか、俺の言うとおりに動けよ」
リムは牢獄に入れられていた
手足は縛られ
目隠しをされ
能力を使える状態ではなかった
何とか、目隠しが取れればどこかに
移動ができるかもしれないと
外そうと必死にもがいてた
見回りの奴に怒られようが関係なくもがいた
しびれを切らした見回りが
牢獄の扉の鍵を外し扉を開けた
その時、鈍い音が聞こえ
扉を開いた見回りの奴が倒れた
リムは状況が理解できず
ただひたすらもがき続けた
すると目隠しが外され
そこには巧真がいた
「リム、大丈夫?
助けに来たんだ早く逃げよう
バイロも来てる」
「ど、どうして
神が許すはずがない」
「俺達の単独行動
さぁ、早く」
そう言って牢獄から脱出した
廊下で見張りをしていた
バイロと合流し
城から脱出しようとした
だが、広間まで来ると
そこには敵が待ち伏せしていた
「諦めろ悪いようにはしない」
向こうは降伏を要求し
俺達を囲い始めた
後ろではバイロがリムに説明をしている
出口は向かい側にある
バイロの合図で
そこまでリムの力で移動しようと言うことになった
敵はジリジリと近寄って来た
「今だ」
その合図で
リムの肩を掴むと
一瞬にして出口まで移動した
だが、それを読まれてたらしく
上から大男が降ってきた
直撃はなかったが
バイロが深手を負い
その場に倒れた
背中を肩から腰に掛けてバッサリと切られた
追い打ちをかけようとする大男に
リムが力を使い
敵のいる方へ大男を移動させた
俺はバイロの方に近寄り
「バイロ、しっかり
なんで避けなかったんだよ」
バイロは意識がしっかりとしていなかった
「くそっ、チコはどうやって
傷を治してたんだよ・・」
「い・・・行け」
「駄目だ、バイロも」
「こ、これで・・いいんだ」
「・・?」
すると、リムが俺の首を掴み
力を使って移動しようとしていた
「待って、リム
駄目だ、放して・・放してくれ」
そう言ってるうちにリムと俺は
城の外に脱出した
それを見計らってか
バイロの体から大量の炎が吹き出し
敵の足止めをしていた
「バイロを助けないと」
「駄目、巧真
落ち着いてあれじゃもぅ助からない
バイロもそれをわかっててこうしたの」
「でも・・」
そう言いかけた時
炎が突然止んだ
敵がバイロの胸に剣を突き刺していた
そして敵がたくさんこっちに押し寄せてきた
俺は悲しさと
助けれなかった悔しさが
入り混じり言葉にならない
声を叫びながらその場に崩れた
そして感情が高ぶり
力の制御が利かなくなっていた
そんな中
巧真の頭の中に何か音が鳴り始めた
すると敵やリムが突然
頭を押さえながら叫び、もがき苦しみはじめた
苦しさの余り気を失うものもいた
その状態はしばらく続き
頭の中でブチッという音とともに
巧真は気を失い
倒れた
相変わらず、敵は苦しんでいるが
そんな中、リムは苦しみながらも
倒れてる巧真を背負い
この世界から脱出した




