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スープは熱いのでお気を付け下さい

「どうして?

 未来を創るだなんていい能力じゃないか?」

「本当にそう思う?

 はじめは確かにいいかもしれない

 でも、人に話しかけても

 自分の思ってる返事しか返ってこない

 闘技場で戦ってる人も

 どちらが勝つかまでわかってしまう

 そんなのつまらないと思わない?」

「確かに・・」

「それがやになって

 彼女はここに引き込もる様になった

 そして私が生まれた

 この能力を自分以外の人に渡したかった

 でも渡すこともできない

 そして考えた結果、私を生み出した」

「多重人格とはそうやって生まれるものなのか?」

「知らないわよ、そんなの

 ただ私はそうやって生まれた」

「ふ〜ん」


「ちょっと、何でもかんでも受け入れすぎよ

 少しは否定しなさいよ」

「俺この世界に来てから

 何が起こっても全て受け入れようと思ってさ」

「変なの、普通なら帰りたいとか思わないの?」

「どこに?」

「日本によ

 少なくとも甘次郎さんは

 今でも帰りたいと思ってるはずよ」

「帰る方法はないのか?」

「わからないわ

 やっぱり帰りたい?」

「いや、全然そうは思わないな

 この世界結構面白いし」

「向こうの世界に未練はないの?」

「さぁ、どうだろ

 ところで、これからどうすればいいんだ?」

「どうして私に聞くの?」

「そんなの決まってるだろ

 俺一人がどうこうしたって

 世界の全体的な未来が変わるわけでもない

 でも、もし俺が影響を与えてしまったら

 またトカゲや洪水が起こるかもしれない

 俺も影響を及ぼさないようにしたいんだ

 だから

 そこら辺には近づくな、とかあったら教えてくれ」

「別にないわ」

「そっか、なら俺帰るわ

 あぁあと俺もぅ侵入者じゃないだろうな?」

「大丈夫よ

 そんな大げさなことには

 ならなかったことにしてるから」

「よかった、あんな状態だったら

 俺あそこに帰りずらかったよ」

「ちゃんと帰れる?」

「あぁ、わからない

 帰り道どっち?」

「ずっと真っすぐ歩いて行きなさい

 そしたら階段があって出口もあるから

 階段本当なら一個しかないはずなのに

 勝手に作っちゃうんだもん」

「いいじゃん、創られた未来以外のものが

 見れたんだろ?

 それじゃぁな、あぁバイロをちゃんと

 採用してやってくれよ」

そういって俺は城をでた

警備員的な人達は俺を見ると

「どうも、お疲れ様です」

なんて言ってくるようになっていた

どうやら本当に侵入者ではなくなっているようだ

「ねぇ、出口ってどこ?」

「目の前にあるじゃないですか

 あの階段ですよ」

「あぁ、ありがとう」

明らかに年上の人に敬語を使われると言うのは

何となく違和感がある


もぅ、日も暮れていて

周りが薄暗かった

階段を降りるとチコが階段の横で座っていた

「うわっ、チコ

 何やってるんだこんな所で」

「迎えにきた」

「へ?」

「方向音痴」

「そ、そうだったな」

「それに私だけこの中入れてない

 使者の人、私を連れて行ってくれなかった」

「テニム達は?」

「バイロとリムは城の中

 テニムは宿で夕飯の支度してる」

「そっか、なら帰るか」

チコはコクリと頷き歩きだした


城を離れていくと

だんだんと力が衰えていくような気がした


「おぉ、二人ともお帰り

 夕飯できてるぞ」

「テニム」

「ん?なんだ」

「俺ってなんで城に行ったんだっけ?」

「はぁ、何言ってるんだ?

 神様に呼ばれたとかで勝手に入って行ったんだろ」

「そうなの」

「そうだよ、あれから大変だったんだぞ

 侵入者が出たとかで

 下は大騒ぎになったんだから

 でも、神がなんとか誤報だとか説明して

 静まったんだけどさ

 はぃ、スープ」

「どうも、それより俺の潜在能力は神クラスだったさ」

「はぁ?何言ってるんだ

 んな訳ないだろ

 確かに入れたかもしれないけど」

「本当だって城の中で姿だって消せたんだぜ」

「はぃはぃ、わかったから

 冷めちまうぞスープ」

「あぁ、信じてないな

 見てろ」

そう言って俺は立ち上がり力を込めた



「巧真、これ以上はダメだやめとけ」

「え?なんで」

そう言って、自分の姿を見ると

見事に服だけが消えていた

「あれ・・?」

しばらくフリーズしていた

チコがハッと我に戻り

俺に向かって熱いスープを投げてきた

「危なっ」

そう言って避けれたが

投げたスープの行先は

宿に偶然入ってきたバイロの顔面に直撃した

「あぁっつ !!何これあっつっっ」

遅れて入ってきた

リムは状況を理解したのか

やけに冷静だった

「まぁ、立派なものぶら下げちゃって」

「いや、これはちょっと・・」

そんな弁解をしようとしているうちに

チコの第二攻撃が俺のあれに直撃した

「はぁぁぁ・・チコ・・貴様・・

 名前の間に『ン』を入れたら・・」

続きを言う前にまた花瓶が俺の顔面に直撃した

そんな大騒ぎの中

テニムはふろ場からタオルを持ってきてくれた



何とか収拾がつき

落着きを取り戻した

「まったく宿に着いたら

 スープが飛んでくるとは思わなかったよ」

「なぇ、なんで俺はまだタオル一枚なの

 寒いんですけど」

「バイロが突然叫びだすから

 何事かと思ったら、いや〜面白い物を見たね」

「俺、これ顔に水膨れ起きるんじゃないか?」

「いや、バイロそんなこと言わないでくれ

 そしたら俺はあそこが水膨れだぞ」

「お前は自業自得だ、俺は被害者だぞ」

「俺はあれを女性二人に見られたんだぞ

 結構ショックだぞ」

「はぁ?何言ってるの?」

「え?何が?」

「あっ、そう言うことか」

??


「リム説明してやれ」

「何??」

「巧真君、私こんななりをしているけど

 実は私は男だ」

頭の中で『私は男だ』が何回も繰り返されている

俺だけではなくおそらくチコもなっている

顔が動いていない

いや元々無表情だけどそうじゃなくってさ、わかるでしょ?

それを見てテニム達が笑っている

「いや〜毎回毎回この表情を見るのが面白いね」

「まったくだ、ここ最近見てなかったしな」


「嘘だ、絶対に嘘だ

 リムが男のわけがない

 確かに胸はないかもしれない

 でも、チコよりは・・じゃなくて

 髪も長いし

 身長も俺より高いし

 肩幅もがっしりしていて・・

 胴周りも腕回りも・・」

やけにしっかりしてるな

男かぁ・・


「なんで、そんな格好してるの

 俺の第一印象は

 ひどくても若造りしたきれいなおばさんだったのに・・」

「ん〜趣味かな」

「巧真、無理もない

 俺とテニムもガキの頃はしばらくの間

 リムは女だと思ってた

 男だってわかってから俺は一週間寝込んだ」

「どうして、男だってわかったの?」

「それは・・まぁな色々と・・」

「若気の至りってやつだ

 バイロの奴リムに告ったんだ」

「テニムてめぇこの野郎なに言ってるんだよ

 あぁ、もうこれ絶交だ、絶交」

「いいじゃないか本当の事なんだし」

「そうだよ、バイロ

 私に告白して真実を知った瞬間

 赤いくせに青ざめて行くのは見物だったわ」

「だぁぁ、くそっせっかく記憶を

 消去しようとしてたのにぶり返してきた

 しかもやけに鮮明だよ」


これはしばらく立ち直れないかも

「俺、ちょうどタオル一枚出し

 風呂入ってくるわ」

そう言って、立ち上がり風呂場に向かおうとすると

何かにぶつかった

「痛っ」 「キャッ」

小さくだが誰かの声が聞こえたような気が

目の前に何かいる

そう思ったが

何となく誰かわかった

俺は何か見えない物を掴み

二階へ上がった

「どうした巧真?」

「なんでもない気にしないで」


部屋に入ると扉を閉めた

「何やってるんだ?神様」

すると、目の前に神様が姿を現した


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