始まり始まり
空は青い
周りには、草花や林が見える
呼吸もできる
ここは、地球か?
いや、地球とは何か違う
今、俺が見上げている空に
大きな物体が空を飛んでいる
その物体を何かに例えるなら
そうだな・・
どっかのおとぎ話に出てくる龍だ
でも、俺の創造していた龍ではない
なぜなら、今、空を飛んでいる
龍は半透明でゲル状それに薄い青色が混ざっている
だが、鮮明に見える
危害は加えてこないだろう
なんとなくわかる
「ここは、どこだ?」
気がつくと、俺はここにあおむけで倒れてた
手足はしっかり動く
視野も良好
思考も・・多分大丈夫だろう
起き上がると、目の前に
女性が立っていた
「あ、あなたは?」
女性は何も言わなかった
髪は短く、細見で身長は俺より低い
気品もあるように見える
瞳は輝いていて美しかった
けど、その瞳の中に・・
「・・・・」
「え?」
何かよくわからない言葉言って女性は
俺の視界をふさぐように手を置いた
その瞬間、誰かに後ろに引っ張られる感じがした
「ま、待って」
彼女の手をどけて
その場に踏み止まろうとしたが
周りの風景がどんどん俺から離れていった
俺が、誰かに引っ張られてるわけじゃない
ここの世界が俺を拒絶して
追い出そうとしてる
あっという間に
俺の周りには何もなくなった
光もない、色もない
声も出してみるが、音もない
ただ俺の体はちゃんとある
触ってみても、その感覚は、ある
何もなくなると
闇が支配すると思っていたが
黒などの色すらない
白もない
なんて考えてるだなんて
意外と冷静だなと思ったがそうでもない
俺は助けを求めて泣きながら叫んでいた
だが、声は聞こえない
のどがダメになるまで叫んでいた
そうだ、涙は見えるのか?
そう思い手で涙をぬぐい見てみる
そしたら水滴もないが手も消え始めていた
足も消え始めていた
今、俺の顔があるのかはわからない
ただ
消えてくない !!
そう叫んでいた
ただとにかく叫んだ
でも俺の体は消えていく
「嫌だ━━ !!」
気がつくと、俺は自分の部屋のベットから跳ね上がっていた
手と足があるか確認する
しっかりある
音があるのか声を出してみる
「あ、あー、もしもし」
聞こえる
そして、俺はある事に気づく
「また、あの夢か・・」
そして、俺は今見た夢の事を
枕元に置いてあるメモ帳に書き写す
「これで、六か月連続・・」
はじめは偶然だろうと思っていた
だが、一か月連続で同じ夢を見た時は
さすがにヤバいと思い
精神科に行った
医者の診断では、
仕事場でのストレスが原因だと言った
一か月を過ぎると俺は不眠症になり
睡眠薬なしでは寝れなくなった
医者に見た夢を忘れないうちにメモを
取るように言われてから
メモを取るようにした
夢の内容は
はじめはぼんやりとだったが
最近では鮮明になってきていた
洗面台に向かい
顔を洗って鏡で自分の顔を見ると
頬は痩せこけ
目には隈ができ
まるで、死んだ人間の目をしていた
睡眠薬が無くなった
取りに行かなくては
「巧真さん、私は二週間分の
薬を渡したはずですよ
どうしてたったの
七日で無くなるんですか?」
「一回に二日分の薬を飲まないと
寝れないから」
「どうして、そんな無茶をするんですか?」
「先生がもっと強力な
薬をくれないから」
「ですから、これ以上きつくしますと
心身に異常をきたす恐れがあるから
できないんですよ」
「もう、十分異常でしょ」
「・・で、どうですか
まだ夢は見ますか?」
「はい」
「今回はどんな夢でした?」
「いつもと、変りないです」
「内容は?」
「メモに書いてあります」
「何か変わったところは?」
「夢がだんだん鮮明になってきました
もぅ、どっちが現実か分からなくなって
しまうぐらい」
「そう、ですか・・」
そう言って医者は何かを紙に書いている
「あと、女性が出てきました」
「女性ですか・・」
「それ以外は特に」
「巧真さん、入院してみてはどうです」
その後の話は覚えてない
入院は断ったのは確かだ
病院は家から遠いのが困る
だからと言ってバスにも乗りたくない
歩く方が楽だ
街中を歩くと人がたくさんいる
どれも同じように見える
同じスピードで、
同じ方向に歩き、
同じような格好をしている
学校もそうだ
同じ方向を見て
同じようにノートをとり
同じ時間にみんな帰る
毎日、毎日
何も変わらない
何も感じない
俺もその中の一人
だけど、俺は、周りの人間がうらやましい
どうやったら、
そんなに必死に生きれるのか
俺には分からない
だからと言って
自殺するのは怖いから無理
けど、生きるには金が必要
だから、適当に仕事を見つけて
適当に働いて給料をもらう
仕事が生きがいの奴もいる
家族が生きがいの奴もいる
貯金が生きがいの奴もいる
そんな奴の気持ち
俺にはさっぱりわからない
この世界で生きる意味が分からない
俺の存在理由は何だ?
俺は何のために生きている?
そんな事をいつも
自分に問いただしている
聞いても答えが返ってくるわけじゃないが
人混みをようやく抜けれた
あたりは夕暮れ時を迎えていた
住宅街を歩いていると
小さな公園があった
ここら辺にはもう子供はいないらしく
公園で遊んでいる子供はいない
通り過ぎようとしたら
何かに呼ばれたような気がして
振り返る
誰もいないはずの公園に
女性が一人立っていた
ただ、その女性は夢に出てきた女性にそっくりだった
これは、夢か?
彼女は口を開き何か話している
だけど、俺にはラジオの雑音のような物しか
聞こえない
「なんだって?」
そう聞き返すと
彼女は手招きをしてきた
俺はそれに従い彼女の方に向かった
すると、突然彼女の足元を境に地面が崩れた
俺はその崩れた地面と一緒に落ちていった
気がつくとそこは病院のベットの上だった
「気がつきましたか?」
「え?」
「ちょっと待っててくださいね」
そう言って看護師はどこか行ってしまった
しばらくすると医者が現れ今までの事を話してくれた
俺は公園で倒れていた
それを発見した誰かが通報し
病院に送られて来たらしい
「とにかく、明日精密検査をするので
今日は泊まっていってください」
そう言って医者は出ていった
気がつくと俺はまた夢の中にいた
どうも理解ができない
さっきまで病院にいたはずだ
「え?え?」
目の前には彼女といつもなら空を飛んでるはずの
ゲル状の龍が彼女の横にいた
彼女は手を差し出してきた
俺はそれに手をのばそうとすると
また風景が俺から離れていった
俺はまた何もない世界に来てしまった
「くそ、消えてたまるか」
何かないかとあたりを見回しても
やはり何もなかった
脚が消え始めた
やだ、いやだ、消えたくない
俺はそう思い必死に手を伸ばした
だが何もない
消えたくない、消えてたまるか
消えてたまるものか !!
するとゲル状のものが俺を包んだ
完全に包まれると消えていたはずの
脚も元に戻っていた
ただ、そのゲルの中はとても居心地がいい
何かから解放されたようだ
そして俺はゲルの中で眠りについた
気がつくとそこは病院のベットではなく
草原に寝っ転がっていた
「どうなってるんだ?」
上半身を起こし周りを見ても
どこをどう見ても夢の中に出てきた
あの草原だ
ただ違うのは草の感触や日の光が夢ではなく
現実のように感じることだ
そして向こうからあの彼女ではなく
白髪の交じったおじさんがやってきた
「ど、どうも」
そう言うとおじさんは突然
俺の顔めがけて薪を投げてきた
「え?」
薪は俺の顔に見事に命中した
「うん、異端者じゃないみたいだな」
そして、笑いながら俺を起こしてくれた
「大丈夫かい?」
「頭が痛いです」
「いや〜すまん、すまん
どこから来たんだ?」
「わからないんです」
「ほう、そうか家はどこだい?」
「さ、さぁ・・」
「うん、なら我が家に来るといいさ」
「じゃぁ、そうさせていただきます」
やけにすんなりと俺も受け入れてしまった
「うん、じゃぁついて来な」
そう言っておじさんはさっさと歩き始めた
俺はただそれになにも疑問を持たずついて行った
しばらくすると小さな村が見えてきた
その村ではいままで
見たことのないような野菜が並んであった
野菜だけではなく
全身体毛で覆われた豚みたいな家畜や
でかい鶏に乗っている人などがいた
人があまりに多すぎてうまく
人混みを抜けれないのに
おじさんはどんどん進んでいく
俺はただ一生懸命おじさんの後を追いかけていった
最後まで読んでいただいてありがとうございます
これから話が進むので
あっ、これはつまらないなとか思わないでくださいね
感想や意見お待ちしております。




