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快感風味

なんなんだこの小説は!(半ギレ)

※快感を得られるかどうかはネット情報です。作者も本当かどうか確かめたことはないので信じないほうがよろしいかと思います。

「彼女ほしいな」

「あぁ、そうだな」

 学校の帰り道。いつものように裕也(ゆうや)と意味のない話とも言えるかどうかわからないことを呟きながら歩いていた。

「そういえば(はじめ)

 雲のない空を見上げたところで裕也が俺の名前を呼んだ。

「ん? どうした?」

 気だるげに顔を向けると裕也は、いつも以上に冷静な表情だった。


「死ぬときって、めちゃくちゃ気持ちいいらしいぞ」

 何がきても大丈夫なように構えといたんだけど……。大して興味もない話題だった。適当に頷いておこう。

「性行為の二百倍は気持ちいいらしいぞ」

「え、まじ!?」

「アドレナリンなどが分泌されて気持ちがいいそうだな」

 凄く興味深い話だった。死ぬと気持ちいいのか。まぁだからといって死ぬわけないけど。

 ……ん? てことは、もしかして……。

 頭に浮かんだ一つの疑問を物知り裕也に訊ねてみる。


「てことはさ、ラノベとかで死んで転生する主人公って……イッてたりするの?」

 実に知りたい出来事だった。イエスかノーで今後のラノベが十八禁になるかならないかの問題だ。

 顎に手を置き考察していた裕也は、考えがまとまったのか俺にアンサーを教えてくださる。

「そうだな……。イッてるかどうかはわからないが、アヘってる、または快感に満ちた顔をしているのは間違いないな」

 イエス! 答えはイエスだった!


「じゃあ異世界転生した主人公たちは女神様の前ではしたない顔をしてるのか!」

「そうなるな」

 俺のパトスがやばい。興奮状態だ。

「ラノベ作家今すぐ書き直せよ! 女神様と会った瞬間、エロ展開はいるように書き直せよ!」

「女主人公とかはやばそうだな」

「おぉ……。それはまじでやばいな、おい」


 想像しただけでエキサイティング状態だぜ。

 俺が跳びまわっているなか、裕也は平然としていた。元から表情に出さないタイプだったが、なんだか一人で喜んでるみたいで嫌だ。

「おい裕也も本当は嬉しいんだろ? な?」

 うざく肩に手をまわして訊ねると、裕也は冷静に口を開いた。

「だが、女神様の前でイッたりアヘったりしたら、天罰がくだされそうだな。チート能力など絶対貰えんだろう」

「え?」

「一、お前が神様になって考えてみてくれ。毎日毎日、死んでくる者達がアヘアヘイキイキしてるんだ。最初は嬉しいかもしれんが、俺ならノイローゼになって逝くな」

「……お、おぉ……。想像してみれば、確かにイキ地獄だな……。目の前で『あぁン』とか……きついわ……」


 こういうときでも動じず判断をくだせる裕也は凄いな。

 そう、関心した目で見ていると夕焼けに染まった空が視界に入った。風情だとかは思わないけど、綺麗だなとは思える空を裕也と二人で見上げる。

「一時の快感を得るために死んでしまうよりかは、案外長い人生で身近にある幸せを感じているほうが俺にはあってるな」

「……だな。じゃあ、その幸せを感じるために漫画買いに行こうぜ!」

「だな」

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