その後、少女編
完結させようと思います。
結局、何故感情が戻ったのかは分からないまま退院する事になった。
戻ったという言葉には語弊があるかもしれない。
育まれた、若しくは生まれたと言う方が正しいのかもしれない。
それよりも、退院する事が決まってからが大変だった。
永らく会っていない家族と暮らさなければいけない。
感情が有る今、ほぼ無理だと言っても良いだろう。
いや、無理ではないのだが…嫌なのだ。
少女の心境を察した医師が出した結論は、病気が治る切っ掛けとなった少年の家で引き取ってもらうという事だった。
生活費などは国から出されるらしい。
これは正直に言うと、とても嬉しかった。
だが、少年の家族に迷惑がかかるのではな
いかと少年に聞いたことがあった。
少年は否定していたが。私はとても心配だ。
そして、今日が初めて少年の両親に会う日。
とても、緊張する。
少年が隣りに居てくれるのだが、緊張するのに変わりはない。
すると、少年が口を開いた。
「あくまで、引き取るだけで家族になる訳では無い。」
「…それは、説明された時に聞いた。」
そう。家族になる訳では無いのだ。
だって、私の家族は別に居るのだから。
でも、我が儘を言っても良いのなら。
少年と家族になりたかった。切っても切れない証のようなものが欲しかった。
窓から見えた、仲の良い家族という物に憧れるようになった。
…恋人が寄り添ってベンチに座っているような、仲の良い関係になりたかった。
黙って俯くと、少年は慌てたように付け足した。
「だから、俺は君と恋人同士になれる。」
「そうか。」
ん?
思わず普通に答えてしまったのだが、今、恋人同士になれると言ったのか?
恋人同士だと?何処からそんな発想になったのだ。
しかも、そうか。と私は言ってしまっている。
少年と、こ、恋人…同士のなれるのは嬉しい。
けど、いやあの、その…。
顔が赤くなっているのが分かる。とても、恥ずかしい。
そんな私の顔を見て少年は嬉しそうにしている。
少し腑に落ちないが、そういう事なら。
「わ、私も。こ、恋人、同士になりたい、です。」
湯気が出てるんじゃないかと思うぐらい顔が熱い。
そっと少年の顔を伺うとにっこり笑って抱き寄せられた。
これが幸せか。
その日、少女は恋と幸せを知ることになりましたとさ。
初めて連載で完結できた作品になりました。こんなシチュエーションがあったらいいなというのは、短編集のようなものを作っていこうと思います。




