表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Link  作者: ステレイ
すべての出会いは運命である
6/9

しゃぼん玉の色



手続きを済ませ、少年が指定した庭に来た。

辺りを見回し、少年を見つける。

少年はベンチに座り、何かを紙に書いていた。


少年が少女の病室に迷い込む原因にもなった、あの紙と同じ物だと少女は考えた。


「…………。」


無言で少年の隣に座り、少し考えてから紙を覗き込んでみた。


「……。」


音符。少年の傍らに置いてあるのはスケッチブックと色鉛筆。そして本は数学。なんとも統一感の無い物たちだ。


「……。」


少女は暫く少年が書く音符を眺めていた。

その音符は綺麗な音を作ることも理解していた。


でも、それが何を意味するかは分からなかった。


ふわりと風が吹いて少女の長い髪をさらった。

すると、少年は少女に気付いた。


「…教えてくれれば良かったのに。」


「こういうものは邪魔するわけにはいかないと考えた。」


「…ごめん。」


「大丈夫だ。」


少女はずっと引っかかっていた事を聞こうと決めた。


「…聞きたいことがある。」


「なんだ?」


「…………逆、とはどういう事だ?」


「そのままの意味だ。」


「私が、今まで聞いた中では私以外の人達は感情を持っている。君が感情を持っていることは…」


「そうじゃない。」


「どういう事だ。」


「俺は、音に、色や形が見える。他にも、人の色とか…。」


「…共感覚か。なるほど。」


「知ってるのか?」


「ああ、知っている。」


「そうか。」


「そうだ。」


「…逆だと言った意味は分かったか?」


「ああ、分かった。」


少しの沈黙の後、少年は少女を見て言った。


「君は、白かった。」


「白?」


「そう、白。

流れてきた。

俺のところに。

儚げなようで、絶対に掻き消えたりしない。

そんな白。」


「そうか。」


「それで、君の白で曲を作った。そしたら、風で楽譜が飛ばされて…君に会った。」


「そうか。」


「でも、初めに会った君は…透明になって消えるかと思った。綺麗だったけど、怖かった。」


「そうか。」


「そうだ。」


また、沈黙が続いた。

先に口を開いたのは少女だった。


「……それなら、今はどうだ?どんな色に見える?」


少年は少し息を吐いて、


「────────。」


少女は目を閉じて口角を上げた。


「そうか。」


___そうか、これが。




パキンッ───


少年は目を見開いて、少女を見つめた。


少女はそんな少年を見つめ返して───微笑んだ。


その日を境に、世界から感情が無い少女は消えた。


ようやくお話が終わりました。

その後を出来れば投稿していきたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ