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神から人への罰
「…どちらにせよ、怒らない。」
そう言った少女。
…これはあまり他人に話してはいけない事だった。
感情がない。それは特例だったのだ。
色彩を失う、音色が聞こえないという。病気がポピュラーなのだ。
まず色彩を失うとは、風景や人などは見えるのだ。視力に問題は無い。
だが、モノクロなのだ。世界から色が失われているのだ。
そして、音色が聞こえないという病気。どういう訳か常に一定の音に聞こえるのだ。
音楽を聞くにせよ、会話をするにせよ、抑揚が付いたり、高低音があるからこそ感情が揺さぶられるのだ。しかし、すべてが機械のように一定なのだ。
これらは、人が自分達が超えるべきではない一線を超えてしまった事に対する神からの罰のように思える。
「…治らないのか?」
唐突に少年が話しかけてきた。
何故かは知らないが、少女はこの少年になら話してもいいと思った。
「…今の技術では。治療方法でさえ分からない。それに、感情そのものが無い事は特例中の特例だ。」
「…そうか。」




