少年曰く
「…そうか。」
「うん。」
「「……」」
少女のコミュニケーション能力では話が続かなかった。
少年は少年で無口な性格なので会話をしようにも何を言ったらいいのか分からなかった。
それでも、少年は少女から目を逸らさない。
「…なんだ?」
ずっと見られると気になる。
どこか怒らせる要素でもあったのだろうか。それとも自分が何かおかしいのだろうか。
…嗚呼。そういえば私がオカシイのは当り前だったな。
自己分析していると、少年が口を開いた。
「…君はとても綺麗だと思った。だから、見とれていた。」
正直に言うと、少女は何と返せばいいのか分からなかった。
今までは綺麗なんて言われたこと無かったからだ。
気味が悪い。気持ち悪い。ロボットかよ。可哀想に。こっち見るなよ。…などは言われてきた。
それが綺麗ときた。なんて返せばいいか分からなくなって当然だろう。
今までは謝ってきた。でも、今のは褒められるという事だ。
これはお礼を言うのが無難だろう。
少女は長考の末にお礼を言うことにした。
「…ありがとう。」
「…よかった。」
それを聞いた少年はほっとした表情でそう言
った。
「…?」
少女が不思議そうな顔をすると少年は理由を説明してくれた。
つまりは、返答が無くなり、無言で何か考え込んでるから怒らせてしまったのかと思ったという事らしい。
「…褒めてくれた人に、そんな事しない。…あと、怒りという感情が分からない。だから、どちらにせよ怒らない。」




