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少年登場
ふわりとカーテンが揺れる、真っ白な病室。
ベットには少女が上半身を起こして座っている。
何をするわけでもなく、ただ無機質に存在するだけ。
もしかしたら、呼吸さえしていないのかと錯覚してしまうほどに。
少女の表情は無い。
ぶわぁっと風が吹いた。長く光沢のある黒髪が顔にまとわり付いても、彼女は動かない。
そんな少女の病室に、紙が舞い込んできた。
いや、紙と一緒に少年も飛び込んできた。
ドサッと音を立てて少女のベットに転がった少年。
「……」
「……」
お互いに沈黙が続いた。
「…ごめん。」
少年が口を開いた。
少女は首を傾げながらも頷いた。
「…それなに。」
次に口を開いたのは少女だった。
特に何も思わなかったのだが、知識として他人の病室に入る事は失礼に当たるという事は知っている。
つまり、少年は失礼な事をしてまで紙を無くしたくなかったのだ。
感情を知るためにも聞いといて損は無いだろう。そして、その理由を聞くぐらいは支障は無いだろう。
そう考えた結果の質問であった。
「誰かに見られたら、恥ずかしいから。」
「…そうなのか。」
これがはじめての出会いだった。




