エネルギーと感情
感情が分からない少女と不思議な少年のお話し。
これは、熱エネルギーは循環しないという生物的な知識から思いついた作品です。
未来では、人が動くことによって発生する熱エネルギーを、別のエネルギーに変えることができる技術がある。
人だけでなく、熱エネルギーならどんな物でもいいのだ。
そこで、ある科学者は思いついた。
これが出来れば、無駄な戦争や争いなどが無くなるのではないか?
人の感情をも別のエネルギーに変換しようと考えたのだ。
別のエネルギーではなくとも、人同士で感情を共有したり、分け与えたりできるのではないか?
今ではその技術は完成され、一般にも普及している。
しかし、人同士で感情を分け合う場合にだけ、不適合者が現れるのだ。
人の感情はとても複雑で繊細。
不適合者だと知らなかった人達は、感情に纏わるものを失ってしまった。
感情そのものが乏しくなってしまったり、感情に繋がる器官が機能しなくなったりするのだ。
それは、世界から色彩が失われたり。
それは、世界から音色が失われたり。
それは、世界を感じることが出来なくなったり。
そして、それは遺伝してしまうこともある。
これは、産まれた時から感情が無い少女と不思議な少年のお話し。




