第8話 Field-5《リビング》2
「今更だけど、俺が雇い主って事で、ルールを決めたいと思います」
[都合悪い時は皆敬語(笑)]
1:不法侵入であろうと命は奪わない
2:能力の使用は必要最小限に留める
3:問題が発生した場合は全員協力の許、解決する
4:全ての事象は雇い主の意思が最優先される
5:存在する為の条件を満たす場合は最小限に留める
6:上記内容は現雇い主の生存中のみ有効
「主殿、不逞の輩を何故斬ってはならんのだ?」
「出来たら記憶を消してお返ししてくれ。妙な噂が立つと屋敷自体取り壊しに成り兼ね無い。居場所が無くなると困るだろ」
「何で能力使っちゃ駄目なのぉ?」
「…皆の能力は人の世には大き過ぎるのさ。過信し、能力に溺れればどうなるか…それは人間を見れば解るだろ?」
「存在の条件って…何なのですよ?」
「黒羽の場合、血を吸い過ぎないでね…って事かな?」
「ぁぅ…お腹ペコペコは嫌なのですよ」
それぞれの疑問に答え、一応納得してくれたが、魔妃だけが難しい顔をしていた。
「旦那様、最後の現雇い主が生存中のみ有効…なのですが、そのまま受け取って宜しいのですか?」
流石は一番理知的な妖狐だ。裏の意味を感じ取ったらしい。
「そうだよ、生きている間だけ。つまり俺を主人として我慢出来無ければ殺してくれて構わないという事さ」
「そ…そんな…」
四人のメイド達の顔が一斉に蒼褪める。
「主殿、自分が何を言ってるのか解っておられるのか?」
「そうだよ、誰もそんな事望んで無いのですよ」
「契約は一方にのみ都合の良い物であってはならないからね」
大きく息を吸い込み、魔妃が皆を征する。
「承知しました。それは旦那様のご意思…なのですね?」
「ああ、でも俺もそうならない様努力するつもりだ。まだ死にたくないしね…」
メイド達が失態を犯した場合のペナルティには触れていない。だが、それが逆に彼女達にもプレッシャーとなった。
「それではワタクシ共も命懸けでお仕えせねばなりませんね」
ニコリと笑い、恭しく頭を下げた。他の三人も理解したのだろう、魔妃に倣い頭を下げた。
一同が笑顔を交わす中、裏庭ではある異変が起こっていた。
次回更新は未定です