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ハコニワRPG  作者: 式神
6/17

第6話 Save Point-1《YES》

これで主要メンバーがそろいましたが、いいのかなコレで

 

 魔妃が僅かでも力を抜けばその瞬間、霞の牙が僕の首を食い破っているだろう。

 立会人の下した判定、その理由が僕にも解らなかった。


「木刀、折られたわよね…」

「向こうも砕けている!」

「寝転んだ状態でぇお腹、見せちゃいました(服従の証)よねぇ」

「それは…」

「マーキング(キス)もされちゃってたですよ」

「……グッ」


 妖かしとはいえ、彼女達にとって自然界のルールは絶対だった。月が雲に被われ、その光を失うと共に霞は力無くうなだれ、その場に座り込んでしまった。


「……という事で宜しいですわね。おめでとうございます旦那様、流石ですわ」

「や〜い、負け犬ぅ」


 ヘナヘナと力の抜けた僕を支える様に抱きしめる魔妃と、ここぞとばかりに敗者に追い討ちをかける沙美。そういえばもう一人居た筈だ。


「良かったね、お兄ちゃん」


 そうだ、この声の主だ。辺りを見渡しても誰も居ない…、何処だ?何処に居る?


「何処見てるの?コッチ、コッチなのですよ」


「……フム!?」


 声のする方に見上げた瞬間、突然のキス。その娘は樹の枝にぶら下がっていた。


「ウチはバンパイアの黒羽なのですよ、ヨロシクお兄ちゃん!」


 まるで鉄棒をする小学生の様にクルリと回って降り、スカートの裾を摘んで挨拶をした。

 

「お礼は今度ウチに献血のご協力頂ければ良いのですよ」

「それは献血とは言わない」

 

 これでこの闇夢館のメイドが全員揃った。四人中三人は微笑んでいるものの、霞だけはソッポを向いていた。


「こ…今回はこれで退いてやる。だがまだ、わ…我は主殿と認めた訳では無いからな、か…勘違いするな」


 そう言う割に主殿とか言って顔は真っ赤だし、尻尾はブンブンと振られている。


「フ…フン…我はまだ任務があるゆえ失礼する。主殿もさっさと寝ろ、夜は冷えるからな」


 愛想無くズンズンと館の奥に消えて行った。


「……ツンデレ?」

「ハイ、困った事に感情表現が苦手なのです」

 

 



 季節は11月、序章はこうして区切りを迎えた。

 キャラクターは揃った。この広い闇夢館という小さな世界で様々なイベントが起き、時に敵対し、時には手を取り合いクリアしていくのだろう。

 今までの主がそうであったように、僕もまた彼女達が存命の内に人生のエンドロールを迎えるのだろう。願わくば楽しいイベントでありますように。

 

 

「ヨロシクね、その日まで」

「ハイ、旦那様。その日まで…」





 ―セーブしますか?―

   [YES]or[NO]

ここまでが一旦の区切りです。続きはまた後日となります。

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