第16話 Save Point-2《……そして日常へ》
「…何のつもりです?」
槍と化したデッキブラシは三人が作り出した結界で阻まれていた。
「成程…ではこれからもワタクシ共々末永く宜しくお願いします。」
深々と一礼して踵を返す魔妃。そしてその行動と自分自身が理解できない三人がいた。
「ぁ…あう…こ、これは…」
「べ…別に助けたとか、そんなんじゃ…」
「ク…、あの女狐め…」
魔妃は最初から主を手に掛けるつもりなど無く、ただ三人は試されていたのだった。
「皆さん、罰として[お掃除]お願いしますね」
振り向きざまに魔妃の残した言葉、その意味を瞬時に理解する事になる。
「掃除…ねぇ…」
「何か無駄な動きが多いと思ったのですよ」
「まぁ、手間が省けたというか、増えたというか…ヤレヤレだ…」
魔妃がデッキブラシを振るっていた辺りにはバラバラになった黒い塊…そして新たに湧き出る黒い影達…。それらに向かい沙美は鋭い爪、黒羽は超音波、霞は剣撃と各々の力を奮い続け、やがて朝を迎えた。
「ハァ…ハァ…もう無理ですぅ…」
「流石に疲れたのですよ」
「ク…お前達、気合いが足りん…と言いたいが我も精進が足りぬようだ…」
とてつも無い魔妃の魔力を防いだ後の夜を徹する戦闘は自分達の主人を護りながらではかなりの疲労を伴った。…が、ただ怠いのでは無く、有る種の達成感の様に清々しい物だった。
「…あ、ご主人様寝ちゃってますねぇ…」
「アハハ…この主殿ときたら根性が据わってるのか、単なる虚けなのか…」
「取り敢えずお部屋に運ぶのですよ。そしてついでに添い寝するのですよ」
「いや…流石にソレは…」
三人力を合わせれば疲れていても何とかなるものだ。ただ運び終えた瞬間、睡魔の手に落ちはしたが…。目覚めた瞬間、主の雄叫びが館内に響き渡った。
それからの闇猫館はというと気恥ずかしさからかメイド一同総ツンデレ状態だった。互いに牽制仕合ながらも隙をついてデレる機会を伺いモーションをかけている。
ここに闇猫館魔王討伐メイド隊が結成され、大いなる目的に向かって行くのだった。
危うし主の運命は如何に…?
―あるぇ…?
ここまでお読みくださり有難うごさまいます。
まだ続きはございますが《ハコニワRPG》はこれにて第一部閉幕となります。
色々と修正せねばならない箇所がありますが、不慣れなもので放置しています。
投稿日は未定ですが、妄想出来次第《第二部》として再開いたしますのでその節は宜しくお願いいたします。




