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第三話

かぐらside

放課後は部活にでるのもめんどくさくなったので、みなみがいる美術室に足を運ぶ事にした。


「どう、みなみー。順調?」


ノックもせずにガラガラとドアを開けて私は尋ねた。


みなみはそんな私に注意するでもなく、キャンバスから顔をあげると


「ほどほどに順調かな?」


と、言葉を返した。

果たしてそれは順調なのだろうか。


それにしても殺風景な部屋だ。美術室といえばでお決まりの石膏像は、ちょこんと一体だけ窓際の棚にのっている。美術室独特の絵の具の匂いもみなみが毎日欠かさず換気をしているからか匂わないし、キャンバスもみなみが使っている一個しかない。


本当に申し訳程度しか、美術室の要素がない。普段使っている机が、いつもみなれた教室とそっくりな部屋に、規則的に配置されている。一見しただけじゃ空き教室と区別がつかない程度には、特別教室ならではのものがないのだ。


「そーいえば夜空の絵ってどんな感じなの?みせてよー」


「ん?いいよ。この真ん中にあるのが月で……」


みなみは詳しく説明してくれたのだろうが、あいにく私はそこまで星に詳しくないし、興味もない。だから、みなみが口にした言葉の大半は呪文のように聞こえたし、頭も理解する事を拒絶していた。みなみが話すのをやめたので、説明が終わったんだなと思った私は


「…っへー……そうなんだ……」


と、口にしてみる。だが、長い付き合いだからなのか私の思っている事はすぐに見破られてしまった。


「かぐら興味ないでしょー?また適当に返事してるよ。そんな興味ないものをまじまじと見てて飽きたりしないの?私、かぐらのそういうところ、ある意味で尊敬するよ」


飽きないも何も、


「そりゃまぁ、私はみなみの一番のファンだからね」


意味はわからずとも好きだから飽きたりはしないのだ。それに、私は昔からみなみの描く絵が好きだった。みなみの描く世界では、全てが生き生きとしていて、希望という名の光に満ち溢れていたからだ。


でも、最近のみなみの絵は変わってしまった。生き生きとはしているのに、どこか生きることを放棄してしまっているような、そんな複雑な心境になる絵なのだ。私は絵の事に詳しい人間じゃないから断言はできないけれど、そんな気がする。


読んでくださって、ありがとうございます。


感想などいただければ幸いです。


学生の皆さん、今日で夏休みは終わりですよ?

宿題は済ましてありますか?

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