不毛な議論
「あのさぁ、こないださ。聡となに話してたの??」
あ、ケン太くんだ。相変わらずなんか黒猫だ。でも、おおよそ私の前でだけだけどね。
かっこいいからモテるのにね。
あ、図書委員のバッチつけてる。図書委員だったんだ。
「ケン太くんおはよう。こないだっていつ??」
「図書館にいた時たまたま見つけたからさぁ」
今も私たちは図書館にいて、さっき借りた本を返したばかりで教室に戻ろうとしていた時だった。ケン太くんはなんだか不機嫌そうだ。
「結婚がどうとか、恋がどうとか」
「うん、あれはただの議論ていうかディスカッションだから気にしなくていいよ」
「そういうのは恋話っていうんじゃ・・・」
「いやぁ、私たちはそういうなんか議論が好きでね、特に深い意味はないんだけどね」
「そういうのを馬鹿っていうんだよ」
「だとしたら私たちは生まれつき馬鹿なんだね~」
ケン太くんに気を遣ってできるだけニコニコしていたがかえってじろじろ見られてなんか怪しまれているようだった。
「うん、なんていうかお互いに本を読み合っている感じ、さっき借りてたのも心理学の本だし。今誰と誰が付き合ってる、とか誰と誰が恋仲~とかゆう話題でもちきりで、他の子の考えることがよく分からないから人とそういう意見を交換したことがなくてね」
「僕人のことなんかどうでもいいけどな」
「いや私たちも結局のところは人のことなんかどうでもいいんだよ」
これは本当のこと。