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黒い。雛罌粟の花(3)

 携帯からはもう機械音しか聞こえなくなり用済みとなった携帯を閉じる。


「……ふぅ」


 行くところの無くなった意識を周りに散らせてみれば、まるで瑞山家は無人であります。っとでもいうように静まり返っていた。


 萌月はきっと布団にでも潜ってこの件を考えているだろう、美黒は……。


 あの放心状態といい付着した血、先輩のこと、精神的にダメージを受けているはずだ、当たり前のことだが放ってはおけないな。


 ポケットに放りこんだ携帯からピーっという音が漏れる、充電切れだろう。


 そんなことは気にせずに俺は部屋に向かった、美黒の部屋に。


「入るぞー」


「……」


 わざと音を立てるように入室し、辺りを見回す、相変わらずの女の子らしい部屋。だが、先ほど来ていた血まみれの服はだらしなく脱ぎ散らかしてあり、血生臭さを放っていた。


「おい、美黒」


「……みゆちゃん、大丈夫かな」


 美黒は勉強机に伏せたまま呟くように言った。


「どうせ食らった弾くらい素手で引っこ抜いて傷口に唾でも付けているだろう、あの人じゃそれで完治はありえるかもしれんな」


「七海ちゃんは……」


「間に受けているのか? あの子が亡くなっていれば坂兎の会社が危ういとかなんとか、あの会社が残っている以上、七海ちゃんは無事だろう」


「……」


「だからしっかりしろ、再会した時にこんな調子なら七海ちゃんもお前を心配するだろ」


 元気になれ、というのが無理な話だ、先輩が弱っていく姿を帰り道ずっと見ていたと思うし、火の無いところに煙は立たぬ、そういうことくらい美黒でも分かるはずだ。


「……言える範囲でいい、今日何があったのか話してくれないか?」




 -数時間前『輝山みゆ』-


 まさか弥一の妹がそんなことになっているとはな……それに話を聞く限りもし美黒ちゃんが襲撃されるとなれば、勘だが、明日か明後日遅くて今週内には来るはずだ。


「というのに弥一はまったく……」


 相変わらず危機感が足りていない、あいつに護身術を教えてくれっと言われたとき、お前には才能が無いっとフッてみせた理由がコレだ「危機感」平和ボケしている私達が言うのも少し何か欠ける物があるが、これが無いのと有るのとでは戦闘という面で強さの差が出てしまう。


 ……そんなことはどうでもいいか……引き受けた以上、美黒ちゃんの護衛はしっかりと務めさせてもらおう。


 私は桜光小学校へと向かう、まだ日は真上にある、小学校へ直接襲撃としても目立ちすぎるから避けるはずだ……いや、そもそも常識の通らない連中だったな。


 最悪の場合も想定して足を速める、一昨日、暴力団と喧嘩をしたばかりで右拳と左足首が若干痺れるが、この程度寺での修行よりはマシだ。


「……あの黒い車は」


 ふと、不自然なものを見つけた、どうやって入ったんだ? っと首を傾げるレベルで狭い路地に停車している黒い外車である。 きっとビンゴだろう、こういった外車は誰が見ても「怪しい」の一言だろう、乗用車を使えば目立つことも無いだろうに、バカな奴等だな。


 学校に急ごう、美黒ちゃんを見つけて監視、待機しておかなければ間に合わない場合もあるからな。


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