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A.えねみー

「ムツカイシイ顔していますね」


「……時に鼎よ、自分以外のものが全て信じられなくなってしまったことってあるか?」


 それは鼎に向けた言葉というより、独り言を発するように呟いた。


「は、はぁ……?」


 先日、萌月と下着を買いに出かけ映画とかで見る真っ黒で長い外車を見かけ、さらにそこから美黒が登場し、首をかしげていたところに萌月からのまさかのカミングアウト。


 自分の知っていた情報と萌月が口開いた情報、両方を合わせてみても内容はギトギトとしていてそれだけでも異常と分かる、仮に七海ちゃんが本当に亡くなっていて、嘘の手紙で美黒を身代わりのように七海ちゃんとして登校させる、それをさせているのが坂兎の人間、桜光小学校もグルだとすれば何をどうすればいい? 今すぐ止めさせるべきだと、他人事に言ってしまえば済むのだが、坂兎、という存在は調べれば調べるほどそれはどれほど大きく黒い存在か分かる、萌月曰く、下手にこっちが動けば『事故死』させられる危険もあるそうだ、だからまずは、何故美黒が七海ちゃんの代わりをする必要があるか調べてみたら? っと妹に助言を貰ってしまった。


 とはいえ、そう簡単に調べられるわけが無い、ネットを使えば噂や嘘を含め、僅かな情報を得ることはできるが、鵜呑みにするわけにはいかない。


「あのー? 大丈夫でしょうか? 健全な高校生なら放課後ということでテンションが上がるに上がり、100円片手にゲーセンに走るべきじゃないですか?」


「今時の高校生がみんなそうならばゲーセンは大繁盛だな」


「それとも、今から歩道橋の下にでも行ってエロ本でも探しますか?」


「中学生か」


「んー……えい!」


「いでっ!?」


 ふと空を仰ぎながらどうしたものか、っと考えていると、鼎に背中を張り手されてしまった。


「元気だして。そのほうがかっこいいですよ!」


「訳の分からないこと言いやがって……」


 一歩引いて考えれば、まだ坂兎が危険というわけではないはずだ、確かに黒い部分が多く、美黒を利用しているかもしれない、ただ、利用している今のうちなら萌月がいう『事故死』までには行かないだろう。


「ではでは、私はこれで! バイバイです」


「ああ、またな」


 鼎に別れを告げ、自宅を目指す、今日の晩御飯はそうだな、親子丼にしよう。





 もうそろそろこの学校に慣れてきたかな、っと思う今日この頃。


 最初は小学校っていうと抵抗があったし、低身長を武器にして小学3年生をやり直すなんてバカみたいで嫌だったけど、七海ちゃんは今も頑張ってる、病気治ったときに友達がいっぱいだときっと嬉しいはず。だから頑張るって決めた。 それに、七海ちゃんにはお世話になったもの、私が……あの時、もう死んでしまいたいと思ったとき、一緒にいてくれて遊んでくれて、立ち直らせてくれたから……。


 みんなにはちゃんと私の親友で病気の子がいるって話して良くなったらみんなでお見舞いしようとか、興味も持ってくれている、全部上手く行ってる。うん。


 けど、最近ちょっと不安だ。 真っ黒なスーツにサングラスの男の人達が数人で車に乗せてきて、行く店とか、お世話になった人とか、嫌いな人とか聞いてくる、昨日なんて車椅子になった白い髭を生やしたおじいさんが私をジーっと見つめて、「七海か?」って何度も聞いてくるし、夕方には周りに偉そうな人を連れた、30代くらいの男の人が「坂兎七海、我が娘だ」とか訳の分からないこと言ってきてつい「はい」って答えちゃったけど……。 なんか怖いかも。


 それにしても七海ちゃんは病気大丈夫かな……前内緒で病院近くまで行ったけど、黒いスーツ着た男の人が駄目だって言ってきて行かせてくれなかった、なんだかな、桜光小学校ってめんどくさい。


 でも、七海ちゃんの為に頑張らないとね。

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