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一時間目:りゅーげ(3)

 以前俺が「ごちそうさま」は大切な言葉だと言った、それは昔だれかに言い聞かされていたわけで、食べ物に感謝やらなんやらの意味があった気がする。


 そして最近めっきり「ごちそうさま」を言わない妹達に向かって注意してみたのだが、「ごちそうさま」の本当の意味を知っているのか? っと鼻で笑われてしまった。 後々調べてみれば日本の食事後のテンプレ化した挨拶だという、後は、男女がいちゃいちゃとのろけていた場面に遭遇するなり皮肉込めて言ったりするそうだ、知らなかった。 


 まあ、日々の習慣が抜けるわけが無いのだが、今度からは「ごちそうさま」っと言うたび食物への感謝というよりはとりあえず挨拶ということをどこかで思い出しそうで、数年前から進化が止まった俺の爺脳からすれば5年ほど脳が若返った気分だった。


「あのさ、今日、どうだった?」


「何がだ?」


「小学生ぽかった?」


 食器をガチャガチャ音立てながら聞いてくるのがマイクロシスター美黒。


「そうだな、身長、体重、あと匂いは小学生だな」


「死にたい?」


「まあ、七海ちゃんに比べたら活発すぎってとこを目を瞑れば100点だろう」


「それは……友達欲しいし……」


 少し照れ恥ずかしくなったのか、髪を指でくるくるとしている。 どこかの雑誌で書いてあった記憶があるな、髪をくるくるする子はモテル! 男の場合はウザがられる! いや、どうでもいいが。


「他は? 変なとことか、無いかな……」


「そうだな、胸の成長具合とか異常なんじゃないか? 周りの子はもう少し膨らんでたぞ」


「死にたい?」


「俺の死因は睡眠時にきてしまった心臓停止と決めているんだ」


「……はぁ……」


 呆れたように溜め息を付くと、そのまま自室に向かっていた。 それでいい、こちとらあの女教師に絡まれて面倒だったあげく俺の欲しい情報はもらえなかったのだ。


「……あのさ、やーにぃ、ちゅといい?」


「日本語で喋れ宇宙人が」


「…………じゃあ宇宙人って何語話すの?」


「ん? うーむ、火星語とかか?」


「……それじゃあおかしくない? 地球人は人間丸々地球語なんて喋ってないよね? なら、火星も火星語、じゃなくて、日本語、英語、とかみたいに分かれてるんじゃないかな」


「お前火星人だったのか?」


「まさか」


 The・ニート・オブ・MOYUTUKI!!も同じく呆れたように溜め息をつくとあのゴミ屋敷に体の向きを変えるのだった。


「それにしても……どうもちょっと引っかかるな……」


 というのはもちろん火星語とか地球語の話ではない、それは昼間の女教師の話だった、お見舞いをするのを変に引きとめたあげく、七海ちゃんの話をすればすぐ話をそらし、美黒の話を出せばもう書類上坂兎七海ですから、っと返す。 遠回りに美黒と七海ちゃんを遠ざけているような感じだ、七海ちゃんのお見舞いは最初からするつもりだったし、意識不明やらなんやらを知らない振りをしてお見舞いに行ってみるか……。


 自分でも気味が悪いほど落ち着きながら食器を片付け、洗っていく、昔からの悪い癖だ、何か気になったら何も考えずにすぐ行動に移し、結果的にはどうでもいい答えにたどり着くか、分からず仕舞い、稀に返り討ちを食らったりもする。


 今回の答えも同じく結局はどうでもいいことなのだろうが、探偵気取りに動いてみるとしよう。



「あ、そうそうお兄ちゃん」


「ん?」


 マイクロシスターが再来した。


「あの女の人だれ?」


「は? 先生だろ」


「先生の名前なら全部覚えたつもりなんだけど……おっかしいな、新任かな……」


 ……新任を案内に出すか? 有り得ない、ただ美黒が知らないだけだろうか……、考えれば考えるほど頭がごちゃごちゃしてくる、これは今まで体験した気になったことは解決しちゃおう精神が前に出る中で一番色が濃い、何かがありそうだ。

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