小学生代理(1)
※コメディを混ぜつつ少々のシリアスを混ぜ合わせ少々ブラックかもしれません、ほろ苦いカフェオレを思い浮かべながら読んでいただくとタイトル詐欺を意識しないかと思います。
-プロローグ-
冬という季節でありながら、我が妹は頬を薄紅色に染め、火照ったような、あと数十秒で泣き出しそうな瞳を俺に向けてきていた、しかも上目遣いで。
それもまた周囲に人がいたとしたら十中八九で誤解を招き今にも通報されそうなシチュエーションを醸し出している。なぜなら、先程言った表情的変化に加え、腕を胸の前で組み、いかにも誰かに胸を鷲掴みにされました、とでもいいたげな格好である。
もっと言えば、都内の一般人100人に聞きましたアンケートで、100人中100人が同じく、この人は実の兄でありながら、実の妹に性的なイタズラをしたであろう、っと一語一句違わず言い出しそうなまでに。
「ど、どうなのよ……」
そんな空気の重みをわざと取り払うかのように口を開いて見せたのが、言わずもがな、我が妹。
とっさに答えが浮かばない、どうなのよ。っと言われたところでどう返していいものか……。
「そうだな……分からん、んなこと聞かれたの初めてだし」
まあ、自分でも冷静に答えれたほうだと思う、というか、自分で自分を褒め称えるべきだろう。
「ちょ、そんな曖昧……、私だって勇気出したっていうのに」
もじもじと体をよじらせながらさらにモーションを増やす、我が妹。
勘弁してくれ、これはもう兄と妹のイケナイ恋の物語フラグである。
「だ、ダメだ! 俺とお前は血が繋がっている……ッ!!」
「は……?」
「いや、ボケてみたんだが」
「……こっちは真面目だってのっ!!」
「げふっ……!」
いやぁ、まさか小学生に戻りたい、だなんて真顔で言われて、今日は4月1日だっけ、とか考える前にボケ返すのが道理、ということでボケ返したわけだが、どうもボケ路線云々の前に、妹はそこはかとなく真面目だったらしい。
なんて思考を頭の中で漂わせつつ、自慢の不良妹の蹴りを見事鳩尾に食らい、鞭のようにしなる茶色のツインテールと、スカートの中の薄水色で三角形というとある布を目で記憶しながら、だんだんと意識が薄くなって――――――。