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翌日。

荷物をまとめて出発しようとしたが、クラドが動くたびに辛そうな様子を見せていた。


「ちょっと待って!ストップ!」


突然の叫びに、私を振り返る一行。


「ここで数日、休んでいきましょう」

「なぜですか?」

「昨日、魔獣と戦った時にクラドが足を怪我したんです」


私の言葉に、クラドの足を見るアデル。


「クラド様、本当に足を怪我されたのですか?」


そんなことがあったのかと、全く知らなかったという顔で尋ねる。


「大したことはない。あのような戦いをして、この程度の負傷なら何でもないさ」

「何でもなくなんてないですよ! 少し休めばすぐに治るかもしれないのに、下手をすれば悪化するかもしれないんですよ!」

「私は普段どちらかの肩を持つことはしませんが、今回はリエン様の仰る通りだと思います。ここを馬車が通るならともかく、今回はリエン様の言葉に従って、数日休まれてはいかがですか」

「……仕方ないな」


私たちが強く押し切ると、渋々ながらも数日休むことに同意したクラド。

騎士だから軽い打撲程度は日常茶飯事なのだろうが、昨日の今日で、あんな戦闘があった後なのに休まずに動こうとするのは、少し無茶ではないかと思った。


結局、私の意見が受け入れられ、私たちは数歩も動かないうちに、その場に再び荷を解いた。


「リエン様、昨日テレサとあっちの方へ行ってみたら、小さな湖があったのですが、行ってみませんか?」

「湖?」


アデルの湖へ行こうという提案。

思わず耳がピクリと動くほど、心惹かれた。

湖に行けば水もあるし、魚もいるだろう。

久しぶりに体を綺麗に洗うこともできるはずだ。


「魚、食べに行きましょう」

「えっ?」

「湖に行こうって言ってるんです。案内してください」


私は口元から垂れそうになる涎を拭い、アデルを先頭に湖へと移動した。


湖に到着した私たち。

その湖は、人の手が加わった形跡が全く見当たらない場所だった。


「わぁ、本当だ……」

「えっへん。どうですか? 私の実力は」


湖を見つけたのは運だろうが、そんなことはどうでもいい。

私はアデルに向かって親指を立てた。


「最高です」


テレサも褒めてほしいのか、私を見上げてきた。

ちょうど気分も良く、思いきり褒めてあげたい気分だった。


「うちのテレサも最高だよ!」


なのでテレサの顔を包み込み、頬にキスをした。

テレサの片方の頬を私の涎でびしょ濡れにした後、私たちは湖畔へと近づいた。

ちょうど湖畔に木も一本生えていて、休むのにもってこいの場所まで用意されていた。

水を飲もうと思い、湖畔へ行って両手を合わせて水に浸すと、水中で泳ぐ魚が見えるではないか!


私は両目を輝かせた。

そう、これだ、これだよ!

魚を捕まえることを考えて、ワクワクしてきた。


新鮮な魚は豚や牛よりも貴重な食べ物だ。

自分の住んでいる近くに大きな湖がなければ、貴族でさえお目にかかるのが難しいほどだったから。

以前、塩漬けにされた魚を買って食べたことがあったが、塩を一袋ぶちまけたのかと思うほどしょっぱくて、泣きながら食べたことがあった。


なのに、目の前で魚が泳ぎ回っているだって?


これは我慢できない。

どうやって捕まえようか?

魚をどう捕まえるか悩んでいる私の隣に、他の面々が近づいてきた。


「飲み水がここにあるから、魔獣はここに陣取っていたようですね」

「はい」


クラドが何か言っていたが、聞き流した。

すでに死んだ魔獣よりも、目の前の魚の方が重要だからだ。


そんな私の心を察したのか、アデルが目を輝かせるようなことを言った。


「リエン様、今日の夕食に焼き魚はいかがですか?」

「焼き魚?」


魅力的な言葉に、耳がピクピクと動いた。


「はい。よく見ると、ここには美味しそうな魚がたくさんいますね」

「魚について詳しいんですか?」

「あちこち旅をしていたので、こういう場所がある時は動物を狩るより魚を捕る方が簡単で、よく作って食べていました」


ということか。

専門家が任せてくれと言うのなら、お願いするほかない。


「では、夕食はアデルの言う通り焼き魚にしましょう。クラドはどうですか?」

「いいですよ」

「テレサは?」


コクンと頷くテレサ。

これで今日の夕食は焼き魚に満場一致で決まった。


「よろしくお願いしますね」

「任せてください」


夕食の献立が決まるやいなや、動き出すアデル。

周囲を一度見渡すと、葉の幅が広く丈夫そうな草の茎を切り、それらを編み上げた。


あっという間に作り上げられた円形の仕掛け(モンドリ)。


テレサと私はアデルの横で彼が働く姿を見守っていたが、専門家だからか、その手際に迷いはなかった。

そして仕掛けの中に魚を誘い出すための食べ物を少し入れ、水の中に沈めて準備は完了した。


「あとは待つだけです」

「すごいです!拍手!」


テレサと私はアデルの熟練ぶりに感心し、「パチパチ」と手を叩いた。


「仕掛けで魚を捕るのには少し時間がかかります。待つだけですから、その間私は少し目を閉じますね。お二人も別のことをしてきていいですよ」


アデルは日陰のある木の下へと向かった。

一瞬でやることがなくなった私は、テレサを洗ってあげることにした。

テレサには申し訳ないが、これまで洗う機会がなかったせいか、少し汚れていたからだ。


「テレサ、お姉ちゃんと一緒に洗おうか?」


私はテレサの手を握り、水が浅い場所を探して移動した。


「さあ、手を高く挙げてみて」


私はテレサの服を脱がせ、きれいに体を洗ってあげた。

水の温度もそれほど低くなく、洗うのにちょうどいい加減だった。

テレサが一緒に洗おうと言ってくれたが、私は後でゆっくり洗うと言った。

最近あまりに時間に追われるように生きてきた気がして、一人だけの余裕を持ちたかったからだ。


「こうして洗うと、お姫様みたいだね。可愛いわ」


テレサをきれいに洗ってあげると、その姿が一層明るく見えた。

気分的な問題ではなく、実際に髪の毛も少し明るくなり、肌からも子供特有の輝きが放たれていた。


「おや?これは誰だ。私の知っているテレサかな?見違えたよ。すごく綺麗になったね。私が知っていたおチビちゃんはどこへ行ったのかな?」


洗っただけで見違えたテレサの姿を見て、からかうアデル。


「そろそろ仕掛けに魚がいっぱいになっている頃でしょう、行ってみましょうか」


私たちは湖に沈めておいた仕掛けを確認することにした。

アデルが水の中に沈めていた仕掛けを持ち上げると、体がふらついた。


「すごく重いな」


そして仕掛けをひっくり返すと。

中に入っていた魚が地面に溢れ出し始めた。


+1 魚。

+1 魚。

+1 魚。

+1 魚。


積み重なっていく魚。


「すごい!」


地面に積まれる魚を見て。

美味しく食べる想像に、自然と満足げな笑みがこぼれた。


急いで薪を積み、火を起こした。

そして木の串に刺した魚を火のそばに立てておいた。

ジワジワと焼けていく様子をしゃがんで見守っていると、香ばしい匂いが鼻腔を刺激した。

その匂いに思わず唾液が溜まる。


「もう焼けたかな?」


こんがり焼けた表面。

これくらいなら火が通っているだろうと思った私は。

串を一本手に取り、大きくかじりついた。


「もぐ、もぐ」


香ばしく脂ののった味が、口の中でファンファーレを鳴らす。


「美味しい!みんなも来て食べてみて」

「もう焼けましたか?」


私は手で地面を叩きながら言った。


「ええ、ここに来て座ってください」


今までどこにいたのか分からないが、「スッ」と近づいて座るクラド。

私たちは焚き火の周りに座り、それぞれ串を一本ずつ手に持って焼き魚を食べた。

あっという間に一匹を平らげた私は、骨を「ポイッ」と投げ捨て、すぐに次の串を手に取った。


魚がたくさん捕れたので、たくさん食べてもまだ残っていた。

お腹がいっぱいになって、ぽっこりと出た気がする。

食べ終わると眠気が襲ってきた。

少し、目を閉じてみようか。

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