20
奇襲を受けて以来、神の産物を探す一団に何度か出くわした。
皆、見知らぬ者を警戒している様子だったので、互いに簡単な挨拶だけ交わして通り過ぎた。
そうして移動を続け、次の村に到着した。
「どなたか、いらっしゃいませんか?」
だが、村の様子がおかしかった。
村の正門は破壊され、人影は一つも見当たらない。
「アデル、ここはいつ頃来たことがあるのですか?」
「去年来た時は何ともなかったのですが……一体どういうことなのか……」
予想外の光景に、アデルも混乱しているようだ。
山賊が猛威を振るっていると聞いたが、村が落とされたのだろうか?
だが、もし自分が山賊なら、村をここまで破壊せずに拠点として利用したはずだ。
「一度、入ってみましょう。」
スルスルッ――
剣を抜くクラド。
弓に矢を番えるアデル。
私たちはクラドを先頭に、村の中へと進んだ。
戦闘の跡なのか、破壊された建物や通りには乾いた黒ずんだ血がこびりついていた。
村を見渡しながら、クラドが口を開いた。
「妙ですね。確かに戦闘の跡はありますが……山賊と戦ったようには見えません。」
「私は戦闘については詳しくありませんが、大柄な種類のモンスターの仕業ではないでしょうか。ここを見てください。」
そう言って、アデルは崩れた建物の一部を指差した。
「ここを見てください。木を引っ掻いたような爪跡があります。」
本当だ。
何かが引っ掻いたような跡がある。
さすが、狩りもするというだけあって目ざとい。
「熊の爪跡に似ていますが、私がモンスターだと思う理由は二つ。一つは、この跡が熊より二倍は大きいこと。二つ目は、いくら守りが手薄だとしても、熊に落とされるような村はそもそもアトラス山脈には存在しないということです。」
確かに。
私も山で暮らした経験があるから熊については多少知っているが、木の削れ具合から見て、熊より少なくとも二倍は大きいのではないかと思えた。
そしてアデルの言う通り、熊に落とされる程度では村を形成することすらできなかっただろう。
「もしかすると、魔獣の仕業かもしれません。」
「魔獣か……以前ここに来た理由も、仲間たちと魔獣を討伐しながら修行を積むためだったのですが、その間に新しい個体が現れたのかもしれません。」
魔獣はモンスターより上位の種に分類され、
中には魔族よりも強い個体がいるほどだ。
魔獣がどのように生まれるのかは不明だが、有力な仮説の一つは、
モンスターが特別な条件を満たすと、魔獣へと進化するというものだ。
その時、ガタゴトという音が静寂を破った。
アデルは音のした方向へ矢を構え、
クラドは剣を手にしたまま慎重に動いた。
「誰だ。姿を見せろ。三つ数えるまでに出てこなければ敵と見なす。一、二……」
クラドが三を数え終える前に、一人の人間が崩れた建物の下から這い出してきた。
小さな女の子だった。




