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蒼の血(アビスのち)  作者: 凪さ
第一章 訓練生編
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秘めたる力

俺は、護界衆という男に導かれ、組織のトップである御頭様の部屋へと向かった。


道すがら、俺は謝罪の言葉を口にした。「あの!さっきは大切な会議をつぶしてしまいすみませんでした」

「そのことは今はいいですので早く来てください。御頭様を待たせてしまいます」

護界衆は無駄を省いた静かな口調だった。


御頭様の部屋の前。護界衆が戸を叩く。

「連れてまいりました。戸をお明けしてよろしいでしょうか」

「ああ。かまわない。護界衆はもう仕事に戻ってくれて構わない。陵雅だけ入ってきてくれ」


「という事なのでどうぞお入りください」

「ああ。ここまでありがとな!」

俺は反射的に感謝を口にした。


護界衆は少し驚いた顔をした。「御頭様に言われただけなので」

「それでもありがとな!」

「はい。では」


(護界衆:この世界入って感謝されたの御頭様や侑様以外ではじめてだな)


俺は戸を開け、部屋に入った。「失礼します」

「ああ。よくぞ来てくれた。体は完全に回復したかな」


「はい!たくさん寝させてもらったので!それより、さっきの会議本当にすみませんでした!」

俺は、反射的に畳に土下座した。



御頭様は静かに笑う。「そんな、土下座しなくていいよ。初めてなんだからしょうがないさ」

「いえ。それでも大事な会議だったのに」

「顔を上げて」

「はい……」



御頭様はすぐに本題に入った。「本題に入りたいんだけど、ここのことやどういうことをするのかは侑から聞いているかな」

「はい。全て知っています」

「そうか。それなら話が早い。では明日から訓練生になってもらう」


「訓練生?」

「先ほどあった会議、君と同じように観覧していた者がたくさんいただろう。その人たちだよ」

「あ!その人達か!」


「では終了と言いたかったが、君の力、主である僕は一応知っておく必要があるからいきなりだけど戦えるかな」


「戦うって言ったって俺、何もわかんない素人なんだけど」


「もちろんだよ。そのままの力でいい。終了は『待った』という掛け声ね」


俺は覚悟を決めた。「わかった」


御頭様は立ち上がった。その纏う空気が、一瞬で変わる。

「言い忘れてたけど、勝負は勝負だから殺す気でいくよ」

「え、まじか」


俺はどうするか考えるために、部屋の隅に隠れた。


その時、腹の虫が鳴いた。(俺、そういえば長い時間なんも食べて無かったな。ん?)


周りを見渡すと、なぜか部屋の隅に食べ物が置いてあった。

「なあ御頭様、置いてある食べ物って食べていいのか?」


「いいよ。でも場所ばれないようにね」


俺は目の前にあった菓子を掴み、夢中で口に入れた。

「うっめえー!」


その瞬間、頭上から殺気が降ってきた。


御頭様が飛んでくる。「そんな声出して食べたら居場所ばれるよ」


御頭様は木の棒のようなものに**黒血くろち**を纏わせ、俺を後ろから殴ろうとした。気づいた時には、もう殴られる寸前だ。


「うわ!」


俺はやられると思い、反射的に、黒い棒を奪い取るように手を左から右に強く振った。


その瞬間、俺の手から、黒い何かが出て、俺自身が一気に壁際へ吹っ飛んだ。


陵雅と御頭様は、目の前の現象に唖然としていた。

「なにが起きたんだ……?」



(御頭様:なんでまだ力を持っていないはずの陵雅が黒血を出せたんだ……? さっき食べてものが原因か? まさか屡御るおん? それとも侑と同じなのか?)


御頭様が思考に耽っている間、俺はチャンスを逃さなかった。

(いまだ!)


「おおーーーー!」


御頭様が気づいた時には、俺はすでに目の前にいた。

「やばい」と思い、御頭様はとっさに黒血で陵雅の頭上から叩きつける様に落とし、俺を床に押さえつけた。


「ぐっあっ!、待った!!」


御頭様はすぐに黒血を消した。


「終了ね。聞きたいんだけどさ、どうやって黒血だしたの?」


「俺もわかんねえ、とっさに出たな。俺もしかしてセンスある感じ?」


(御頭様:信じられないくらい稀に見るが、陵雅を勘違いさせないためにいったん黙っておこう)


「いや、そうでもないかな。とにかく君の力は分かった。明日から訓練生としてはげむといい」


「なんだ、センスあるわけじゃねえのか。まあ明日から頑張るわ!」


俺の非日常への憧れは、一瞬の「黒血」の暴発で膨らんだが、御頭様に「そうでもない」と否定され、すぐに萎んだ。だが、これで御頭様への借りは返せた。俺は明日からの訓練生としての生活に、前向きな気持ちを抱いていた。



陵雅は部屋に戻り、無意識に出したあの**「黒い何か」のことをずっと考えていた。


そんなことを考えていると、部屋に護界衆が訪れた。


「失礼します。お話があり訪れさせていただきました」


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