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蒼の血(アビスのち)  作者: 凪さ
第二章 修行編
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瀬音の訓練

瀬音(勝てばいいだけ)


瀬音は黒血の出し方を教わったばかりだが、勝利への執念が、一瞬で完璧な具現化を可能にした。


瀬音(鋭く、細長く、武器になるくらいの大きさ、硬さ)


シュン!!


瀬音の手には、以前は脆く弱々しかった黒血の剣ではなく、武器として通用する硬質な剣が出現した。


瀬音(最初はうまくできなかったけど、出来た……!)


相手も同じように剣を具現化させたが、すぐに剣を消し、素手で物凄いスピードで突っ込んできた。


瀬音「あっ!」

瀬音(剣を消した……!?それに……速すぎる!!)


次の瞬間、瀬音は地面に倒れ、身動きができないように押さえつけられていた。


シュン!


相手は消していた剣を再び出し、瀬音の首に触れた。


??「ここまでか」


瀬音は叫んだ。「くっそ!!くっそ!!くっそ!!」


??「待った。と言わなければ剣で殺される。どうする?言うか?」


(瀬音:身動きできない以上、黒血の剣を振ることも、相手を攻撃することも、逃げることもできない……)


瀬音「待った……」



??「そうか。このまま放してやりたいが、玉をあげる条件がある」

瀬音「負けたら玉をあげないルールじゃないんですか……」


(??:こいつ、そういや戦闘前は敬語だったのに、戦闘中だけ感情的になった。戦闘で性格変わるのか)


??「負けたらなんて一言も言ってない。結果によってと言った。お前、訓練生のはずなのにあんな簡単に、しかもかなり質の良い黒血の剣を出したな」


瀬音「出しましたが……」


??は身を乗り出した。「お前は必ず強くなる。だから弟子になれ」


瀬音「で、弟子!?」

(瀬音:何を言ってるんだ……この人……)


??「弟子になればこの玉を渡す。もう周りにはほとんど玉はないだろ。それにここは山の中、もうすぐ蒼も出てくる。いい提案だと思うが」


(瀬音:確かにこの人の言ってる通りではある。残り二つが手に入らないのは事実。そして、この人の速さ……確実に強い)


瀬音「わかりました。弟子になります」


??「そうか。では持っていけ」


瀬音は玉を受け取り、訓練を終わらせた。


??「弟子になったんだから修行をするぞ、明日朝またここに来い。来なかったら護界院まで行くからな」


瀬音「わかりました」


(瀬音:あの人、なんだったんだろ。でもあの速さ、確実に強い、あの人の弟子になればあそこまで速くなるのかな、ほんと何者なんだろ)



翌朝、瀬音は再び修行の場所へと向かった。


??「来たか。昨日言い忘れたが俺を師匠と呼べ」

瀬音「あなたが来いって言ったんですよ。わかりましたよ」


師匠「最初に戦った時、形、硬さを見事に作ったな。もう簡単に出来るのか?」


瀬音「上部の方に出し方を教えてもらったんですが、まだあそこまで完璧にできませんでした。あの時は偶然です」


師匠はニヤリと笑った。「なるほど。防御術ぼうぎょじゅつ血壁けっぺき


師匠の指示と共に、黒血でできた、厚く強固な壁が出現した。


瀬音「えっ!!」


師匠「自分で黒血の棒を作ってこの壁を壊せ。剣じゃないぞ、棒だからな」


瀬音「こんなの……いつ終わるんですか!」


師匠「安心しろ。壊せない程ではない。何週間もすれば壊せるだろう。これは一撃一撃の強さをあげる修行だ」


瀬音「何週間!?」


師匠「まだ他にスピードをあげたり、黒血をうまく使えるようにする修行だってある。まだまだ最初だ。全て終われば実践。俺と戦った後に最後蒼と戦う」


瀬音「終わる気がしないですけど……」


師匠「終わる気がしないのは当たり前だ。最後まで行けば確実に俺と同じ強さになれる。そこまでの道のりだ」


(瀬音:師匠と同じ強さ……あの圧倒的なスピード。それが手に入るのなら……!)



瀬音は黒血の棒を作り、修行を始めた。


ドン!! ドン!! ドン!!


全力で棒を叩きつけるが、血壁はびくともしない。


瀬音(いくら叩いても壊れない……。全力で叩いてるけど、いつになったら壊れるんだ……?)


昼休憩。


師匠「どうだ?壊せそうか?」

瀬音「不可能ですよ」


師匠「なんで僕なんですか?」


師匠は自信満々に言った。「お前は才能がある。必ず強くなる。だからだ」


瀬音はその日の間ずっと叩き続けたが、結局血壁を壊すことはできなかった。


瀬音「はー……。結局壊せなかった……」

師匠「また明日も来い」

瀬音「はい」


瀬音の終わりの見えない修行が始まった。彼はまだ知らない。この師匠こそ、彼が心の底で求めていた、自分の可能性を最大限に引き出す存在なのだということを。

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