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蒼の血(アビスのち)  作者: 凪さ
第二章 修行編
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陵雅の新たな師 第二章 突入

護界院。御頭室に、貴族の**ゆう**が静かに現れた。


侑「お話があるとの事で参りました。戸を開けてよろしいでしょうか」


(侑:一体、御頭様が僕に何を?)


御頭様「単刀直入だが、陵雅の事を見てもらいたい」


侑は驚愕に目を見開いた。「どういう意味でしょうか?」


御頭様は重い事実を口にする。「実は、君が連れてきた陵雅、君と同じく黒血を薬を飲まず発現した」


侑の心臓が激しく脈打った。「……!?。そんなはずは……!あれは、私の家系の者しか発現しないはずでは……!」


(侑:ありえない。僕の体質は、一族に伝わる秘匿された異能のはず。外部の人間が、薬無しでそれを発現するなんて!)


御頭様「だからこそ、今の所彼の事がなにも分かっていないんだ。君の家系だけのはずの力だ。だから、君になら何か分かることがあるかもしれない。陵雅の修行を見るついでに観察してほしい」


侑はすぐに跪いた。「御意」


御頭様は、謎の多い陵雅を、同じく謎を抱える侑に託すことを決めた。



その頃、陵雅は心地よい眠りから覚めていた。


陵雅「あー、よく寝たな」


すぐに護界衆が訪れる。「陵雅様、御頭様がお呼びです」


御頭室に入った陵雅に、御頭様は告げた。「これからは、同じ訓練生と訓練するのではなく、貴族の侑と共に訓練してほしい」


陵雅「え、侑と?」


(陵雅:あのやけに強そうな貴族か。まぁ、退屈しなくてよさそうだな!)


「まぁ、分かったぜ!」


部屋に戻った陵雅を瀬音が迎えた。


瀬音「あ、どこ行ってたの?陵雅」

陵雅「なんか、いきなり御頭様に呼び出されてよ。これからは侑と共に訓練してほしいって」


瀬音は顔を輝かせた。「あの貴族の侑様!?そんな人に訓練してもらえるなんて凄いよ!」

陵雅「まぁ、そうなのかな」


(瀬音:陵雅は本当に運がいい。あの貴族様の指導を受けられるなんて、僕の想像を遥かに超えている!)



訓練の時間。陵雅は侑の元へと向かう。


陵雅「侑!」

侑「陵雅、覚悟はいい?」

陵雅「侑の訓練きつそうだけどやってやるぜ!」


侑は静かに本題に入った。「僕が知ってる情報では、黒血を使うことは出来るけど無意識にしか出ないって聞いたんだけど」


陵雅「あぁ、なんか出る時と出ない時があんだよな、」


侑「柊さんにどんな教わり方したの?」「出す物をイメージしたら使えるって」


侑は頷き、陵雅の過去の失敗の原因を理解した。


侑「陵雅、今から僕が言うやり方でやってみて。黒血を出すときに、出すもののイメージをするんじゃなくて、作りたい物の手の持つ感覚を想像するんだ。滑らか、ざらざら、太い、細い、硬い、柔らかい。とかね」


(陵雅:柊さんのとは少し違うな。でも、感覚か……)


陵雅(触り心地は、ザラザラで、太くて、硬い……)


陵雅「はっ!」


シュン!


陵雅の手から、黒血の剣が出た。


陵雅「あの時一回も出せなかったのに、なんで!」

侑「やりやすい方法が人によって違うのかもね!」


(侑:なるほど。彼はイメージではなく、触覚というより深い感覚に訴えかけることで発現できる。確かに、これは特異な体質だ)



侑「黒血を出せたなら、ここからはとにかく実践だね」

陵雅「侑と戦ったら俺やられるだろ、」

侑「自分より弱い相手と戦うより、強い相手の戦う方が実力は伸びていくんだよ」


(陵雅:確かに。あの強さ、一度でも触れてみたいと、俺の心が叫んでる)


侑「戦う前に、ひとつ言うことがある。戦うときに、わざわざ触り心地を想像してたら敵の攻撃に間に合わないよね」

陵雅「確かにな」


侑は続けた。「だから、戦闘中は黒血の事を自分の手の一部だと思うんだ。相手を切ろうと思ってもわざわぞ剣を出すことを想像する時間なんて無い。正直剣じゃなくてもいい。相手を切れる鋭い物を想像すればいい。形に拘らず、機能に拘るって事だよ」


陵雅は目を見開いた。「確かにそうだな。相手の攻撃を防ぎたいときに盾を想像するんじゃなくてあくまで壁を想像したらいいって事だよな」


侑「そう!それを戦闘中にまるで全ての攻撃を手で行えると思ったらいいだけ!」


陵雅「言ってることはわかったぜ!」


(陵雅:斬りたいなら刃。防ぎたいなら壁。その都度、機能だけをイメージする。面白い!これなら、実戦でも間に合う!)


侑「なら戦ってみる?」

陵雅「あぁ!」


二人の戦闘が、今始まろうとしていた。

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