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蒼の血(アビスのち)  作者: 凪さ
第一章 訓練生編
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謎の能力と無限花

広場に、師匠(漣)、柊、瀬音の三人が駆けつけた。横たわる氏原と陵雅、そして真っ二つに裂かれた中級蒼の死体を見て、柊と瀬音は息を呑んだ。


柊「あ!氏原達いました!」

師匠「何!早く向かうぞ!」


柊「氏原、大丈夫か」

氏原は平然と起き上がった。「大丈夫だ。あれ?何でいるんだ?」

柊「中々帰ってこないから見にきたんだ」


瀬音は安堵で泣きそうになった。「陵雅、大丈夫?」

陵雅は起き上がり、驚きに目を見開いた。「瀬音!大丈夫だ!何でいるんだ?瀬音は無事だったのか!」

「僕は無事だよ!途中で柊達に会ったんだ!」


師匠は中級蒼の死体を見つめた。(師匠:!。これ蒼じゃないか。死んでるのか。まさか……あいつ(氏原)が?いや、他にやるやついないか……)


師匠「お前(氏原)、あれ(蒼)をやったのはお前か?」

氏原「俺とあいつ(陵雅)です。てか何でいるんですか!」


師匠は、眠る陵雅を見て驚きを隠せない。(師匠:まさか上部数人いても倒せない中級蒼を、上部とたった二日目の訓練生で倒したとは。この訓練生……一体何者だ?)


疲労で眠りに落ちている陵雅を指し、師匠は言った。「もう夜になる。こんな時間から山を降りるのは危険だ。今夜はうちに泊まれ。あいつ(陵雅)も忘れんなよ」



皆は師匠の家に着き、夜ご飯を食べていた。陵雅はぐっすり眠っている。


氏原「師匠の家、ほんと懐かしいぜ」

瀬音「氏原さん、来たことあるんですか?」

氏原「訓練生の時に、柊とよく修行してたことは言ったよな?その時によく泊めさせてもらってたんだ。修行の後の飯は本当に美味かったぜ」


瀬音「護界院からここまで来るのほんと遠かったですからね」

氏原「だろ。でも不思議だったんだよな。師匠や柊から会いに来る時は簡単にこの家に辿り着けんのに、俺から行く時はどんだけ歩いても辿り着けねぇんだよ」


柊「そんな事してたのか」

氏原「ああ。お前が修行場に来るのを待ってたりとかもあったな」


師匠は静かに笑った。「来れるわけないだろ。当たり前だ」

柊「ですね」


「どう言う事だ?」瀬音も身を乗り出した。


師匠「この家の周りには、迷い花を植えてるんだ」

瀬音「迷い花?なんですか?それ」

師匠「迷い花っていうのはそのまんまの意味だ。この家の付近に来た者を迷わせ、永遠に着けなくする物だ」


氏原「そんな花あんのか!!」

師匠「ああ。貴族になった者は御頭様からある物を見せてもらえるんだ。本当は貴族と元貴族の間でしか知る事のできない話だが、その本には無限花と呼ばれる、何度踏まれても誰も水を一切やらなくても枯れる事が無い花の情報が書いてあった。迷い花もそれに通じるものがある。だが、迷い花は効果が効かない相手がいる」


氏原「効果が効かない相手?」

師匠「迷い花のある場所や効力を知ってる者だ。漣にはこの花のことを言ってある」



話は、夜ご飯の最中に本題に戻った。


師匠「そうだ。それより、さっきのことだ。どうやって中級蒼なんか倒したんだ?」


氏原は胸を張る。「さっきも言った通り陵雅と俺で頑張ったんですよ。まだ俺の事訓練生の時の強さだと思ってます?」

師匠「お前が強くなった事は分かる。だがそれでも中級なんて相手に出来る強さじゃない。ましてや一緒に戦ったのが訓練生になってまだ月日の浅い**あいつ(陵雅)**だぞ?」


氏原は、陵雅の異変を報告した。

「そういや、まるで気配を感じなかったんですよね。あと映像?とか言ってました。涙も流してましたし気持ち悪かったのか急に吐き気も催してました」


師匠の目が細くなる。「気配を感じなかった?」

氏原「はい。何回も攻撃したんですけど、途中から俺だけでなく蒼も陵雅の気配に気付かなかったらしくて。それが勝因ですね」


師匠「気配……か……。映像と涙、吐き気……」

氏原「あと、蒼が何か思い出したのか、急に男がどうとか喋り出したんです。そしたら陵雅が**その事は分かってる!**とか言ってなんか話してましたね」


氏原はさらに続けた。「陵雅、あの薬飲んでないはずなのに黒血出したんですよ」

柊「出してたな」


師匠は静かに頷いた。「薬を飲まずに黒血をだす……か……珍しいな。そんな奴が、また」

氏原「また?」


師匠「今貴族に**ゆう**って名前の奴がいるだろ。あいつも確か、薬を飲まずに黒血を出せたらしい。御頭様も驚いてたな」


氏原「師匠の知ってる人でも二人か。陵雅、ほんとに謎だな」

柊「謎ですね」

瀬音「本当に何も分からない」



夜ご飯を食べ終えると、氏原と柊は立ち上がった。


柊「夜ご飯食べ終わったので修行して来ます」

氏原「俺もだ!!」

瀬音「早すぎません!?」


師匠「本当にな。あいつら二人は昔からここで修行してたな。漣の後ろをずっと氏原が追っていた。氏原はとにかく体力があるからな。今でこそ二人は強くなったが、それでも漣の方が少しまだ強い」


瀬音「あの二人は本当すごいですね。僕は陵雅の背を追っています!」


その時、寝ていた陵雅が目を覚ました。

陵雅「んん?誰か呼んだか?」


瀬音「陵雅!起きたんだ!」

陵雅「あぁ、なんか俺を呼んでる声が聞こえてよ。てかここどこだ?」


師匠「目を覚ましたか」

陵雅「あんただれだ?」

瀬音「あんたって、失礼だよ!!陵雅!この人は柊さんの師匠だよ!!」


師匠は笑った。「瀬音、大丈夫だ。敬語じゃなくても良い。そのままの言葉の方が真意が伝わる。だが直す努力はしろ」

陵雅「あぁ!」


陵雅は夜ご飯を再開した。「このご飯めっちゃうめぇ!!」

瀬音「氏原さんならもう柊さんと修行に行ったよ」


陵雅「あの人(柊)の師匠なら、あの人が護界院に入った理由も知ってのか?」

師匠「あぁ、知ってる」


陵雅は前のめりになった。「話してくれよ。ききてぇ」

瀬音「僕も聞きたいです」


師匠「長いぞ?」

陵雅「話してくれ!」

瀬音「聞きたいです!」

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