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蒼の血(アビスのち)  作者: 凪さ
第一章 訓練生編
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柊と氏原

氏原「柊、最後の戦闘、いくぞ」

柊「ああ!」


上級蒼は、二人の動きを鼻で笑った。「あれ?なんか僕の事倒そうとしてない?そんな簡単にやられるわけないじゃん。てか君(柊)に関しては背中刺されてるけどどうするつもり?」


「うっせえな!」


氏原は罵声を浴びせると同時に、上級蒼に向かい一気に飛翔した。上級蒼の背後に行き黒血で背中を刺そうとすると同時に、柊も背中の黒血を抜き、前に走り振り返り、上級蒼の腹に刺そうとした。


しかし、上級蒼は一瞬で少し離れた場所に移動していた。その背中と腹には、黒血による擦り傷から血がわずかに滲んでいる。


上級蒼は、その血を見ながら、まるで楽しんでいるかのように言った。


「君たち、さっきあんな戦闘して君(柊)に限っては思い切り背中刺されていたのに、まだこんな体力あったんだ。久しぶりに傷つけられたよ。それも貴族以外に。貴族に傷つけられるのも五十年ぶりくらいなのに、貴族以外に傷つけられるのほんと何年ぶりだろ、百?二百年ぶりかな。久しぶりにこんな腕のいい貴族でもない護界衆と戦ったな。さっきはさっさと倒そうと思ったけど、やーめたっ。久しぶりに楽しも!」


(氏原:やっぱ上級、はえーな)

(柊:なんて速さしてんだよ)


二人の護界衆は、その速度と実力の差を痛感していた。



その頃、逃げ出した訓練生たちは、必死に走って護界院本部にたどり着いた。


柱にもたれて寝ていた男を見つける。

逃げ出した訓練生一「え、この人……護界衆……?不審者?」

逃げ出した訓練生二「しかも柱にもたれて寝ている……?」


訓練生は、恐る恐るその男を触った。すると、その男は目を覚ました。


怪しい人「え、君たち誰……?てか、なに?……」

逃げ出した訓練生三「あの護界院の方ですか?」

「うん、そうだよ。……え、まさか授業の生徒?だったっけ?。他の人が担当してるはずだけど……、とにかくすぐ行くよ!!」


逃げ出した訓練生三「授業の生徒?……担当?……まさか、護界衆上部の方ですか?」

怪しい人「え、うん。そうだよ。上部の**勘解由小路かでのこうじ**だ。てことは僕の担当生徒ではない?、なら誰?」


「訓練生の者です!」

護界衆上部(勘解由小路)は困惑する。「え、でもこの時間って授業中じゃなかったっけ。なんでこんなたくさんの訓練生が?授業放棄した担当は罰則食らうよ?担当だれ?」


訓練生は必死に訴えた。「助けてください!!訓練中に上級蒼が出て上部の方二人がやられました!!」


勘解由小路は即座に状況を理解した。「え、まじ?場所は?」「訓練用運動広場です!」


「わかった。上に行ってくるから後は任せて」


勘解由小路はすぐさま御頭様の部屋へ走り、状況を報告。御頭様はすぐさま医療部隊長と、近くにいる貴族(大)に出動を命じた。


(助けは、来る。問題は、間に合うかどうかだ)



俺は、戦力外通告を受け、瀬音ライトという訓練生を守るために、二人から距離を取って状況を見ていた。


俺は瀬音に話しかけた。「おお!お前名前なんていうんだ?俺は陵雅」

瀬音「**瀬音らいと**だよ。君、まだいたんだ!さっき上部の人と話してたからてっきり逃げろと言われてたんだと思ってた」


俺は氏原に言われたことを伝えた。

「戦うな、戦力不足だって言われてよ、戦う代わりにお前守っとけって言われてよ。ほんっとひでえよな。戦力不足まではっきり言うか?」


瀬音は冷静だった。「そりゃ戦いに入れさせないでしょ、相手上級だよ?僕からしたら進んで蒼と戦おうとする君の方がすごいよ」


「でも上級蒼倒せないのに下級蒼なんか倒せねえだろ」


「確かにそうだけど、君はセンスあるからいいじゃん。上部の人が刺されたとき、すかさず訓練生なのに手に黒血纏って向かっていったじゃん。僕たち訓練生は黒血も出せない人が多いから、いきなり蒼目の前にしても戦うこともできない。君みたいに自分から蒼に挑む人の方が珍しいよ」


(センスがある?いや、御頭様はそうでもないって言ってた。だが、瀬音の言葉は、俺の非日常への渇望を刺激する)


俺は本心を口にした。「でもよ、皆んなを助けるために護界院入ったんだろ?俺はもう、後悔したくねえ。だからやるだけだ」


その一言は、瀬音の心にも響いたようだった。



柊と氏原は、俺たちが話している間もずっと戦っていた。


上級蒼「ほんと君たち強いね!」

(柊:あの擦れ傷の後、一撃も入れれてない)

(氏原:ああ、やっぱ上級、早すぎる……)


氏原「もう俺たちの体力も限界だ、あれするぞ」

柊「だな」


上級蒼は、二人の消耗を見抜いていた。「そろそろ体力無くなってきたでしょ、さっきから速度落ちてるし」


氏原は無理に声を張った。「何言ってんだ、まだまだあるに決まってんだろ、本当の勝負はこれからだ!」


柊と氏原は、残っている体力をすべて使い、二人で力を合わせ、上級蒼への集中攻撃を仕掛けた。


「おお!速度上がったね!」


その瞬間、俺と瀬音の目には、上級蒼の黒血の黒の軌道のほかに、わずかに青色の軌道の線が見えた。


陵雅「なんだ?あの青」

瀬音「なんだろう、わかんない」


だが、青の軌道の線は一瞬で消え、二人とも見間違いだと思った。

「あれ、さっき見えた気がしたのに見えねえ」

「だね、何だったんだろう。見間違いかもな」




柊と氏原による集中攻撃が終わると、上級蒼はさっきより傷が増えていた。


上級蒼「なんでこんなに攻撃を食らった!」


柊はギリギリ片膝を地面につけながらも立っていた。しかし氏原は体力が限界で呼吸も荒く、地面に倒れていた。


柊「倒すといっただろ、どうだ上級」


上級蒼は、勝ち誇ったように言った。

「どうだと言われても、確かにさっきより傷は増えたけど、そっち一人戦闘不能じゃん。もう潔く死ねば?貴族でもないのに傷を入れるなんてよく頑張ったしほめてあげるよ、けどどの道君たち二人じゃ僕にはどう頑張っても勝てないでしょ。あきらめるべきだよ。あ、もしかしてプライドの問題?自死するくらいなら殺してほしいってこと?しょうがないな、いいよ、殺してあげる!じゃあまずは立てないほど辛そうな君(氏原)からね!」


上級蒼は、倒れている氏原に向かって飛んでいき、黒血で首を潰そうとした。


(氏原:ちっ。こんなとこで終わんのかよ……、あとは任せたぜ柊)

(柊:氏原がやられる!……守らないと!……でも足が動かない……動けよ足!!……くっそぉ!!……)


俺の目の前で、再び、誰かが死ぬ――。

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