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FLOWER POT MAN 〜ただ植物を愛でていただけの俺が、なぜか魔王と呼ばれています〜  作者: 卵座
第7章 - The Underground Colosseum

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097 - 居住希望者面接①


 やはり部屋が少ないことが悪いと思う。

 おかげでこの寝室は、ほとんどそういう目的の部屋になってしまっている。


「よくない、本当によくない」

「そ、そうですか? でもトビくん……き、気持ちよさそうでしたけど」


 なんの悪気もなさそうに言うメニーナ。

 身じろぐたびに、ぶるんっ、たぽんっ、と波打つ柔らかな胸の白肌を背後から押しつけ、膝の上に俺を抱える。


 もうピロートークのテンションだもの、この人。


 一方、今回の元凶であるフルルはといえば、こちらも満足そうにして着替えを終えたところだ。


「ようやく柔らかくなりましたねえ。これはこれでカワイイですよ」


 などニヤニヤと耳元で囁き、手のひらで内腿をつうっとなぞる。

 そのせいで余計にびくびくと腰が跳ねる。ふたりはじっと目を細めて、その情けないさまを見下ろした。


「お〜、元気ですねえ。もう一回します?」

「し、しない」

「メニーナさん、どうします?」

「えっ? わ、私は……全然、まだできますけど……」


 なんでだよ。

 フルルが本番に参加しない分、今日はメニーナひとりが動きっぱなしだったのに。どういうバイタリティだ。


「いえ、トビくんは、その……ち、ちょうどよくて。サイズ感とか……あ、小さいとかじゃないですからね?」


 挙句の果てに気を遣われ、俺は撃沈した。あなたからすれば大抵の男は小さいだろうよ。



 そんなとき、寝室のドアがノックされた。

 といってもここはクランハウスなので、部外者が入ってくることはない。


 ゆっくりと開いたドアから、シザーが顔を覗かせた。


「おはようございます。もう済みましたでしょうか?」

「し、シザー……もしかして待ってた?」

「ええ、まあ。盛り上がっているようでしたので邪魔するのも悪いかと」

 

 小さく咳払いをして俺たちを見回す彼女は、うっすら顔を赤くしている。


「……あー、ちなみにどこから聞いてた?」

「そうですね、たしかフルルさんの太ももに百回へこへこできたらズボンを脱がせてあげますよ、というくだりから──」

「わかった、もう大丈夫だシザー」

「百回達成する頃にはすっかりとろとろの甘えん坊になってしまったトビくんを皆さんで──」

「シザー、ごめんって」


 もう許してください。

 ていうか最初からじゃねえか。いっそ入ってこられたほうがマシだったわ。


 軽いため息を吐いて部屋に入ってくるシザーは、俺の耳元で「今度は私にも甘えてくださいね」とひとつ耳打ちし、メニーナの隣に座った。


「……ええと、シザーは何の用だっけ?」

「ああ、そうでした。トビくん、このあとまとまった時間が取れますか?」

「時間? いいけど」

「よかったです。トビくんにはぜひ()()に立ち会って頂きたいとお話がありまして」


 ……面接?

 俺が首を傾げれば、シザーはこくりと頷いた。


「都市としての形が段々整ってきましたので、試験的にプレイヤーの居住を受け入れてみようかという話が挙がっています」

「はあ、なるほど。この前の襲撃イベントでも人手足りなかったもんな」

「ええ。防衛力にもなりますし、何より活性化に繋がりますからね」


 それで面接か。

 いいかもしれない。



 そういうわけで少しの休憩を取ってから、俺は街に出た。


 知らないうちにあちこち建物が仕上がってきている。

 建材の繋ぎにはノックスリリィが咲き乱れ、相変わらずゴシックファッション的なビジュアルの都市だ。


 街の中央近くに見える中規模なドームは、たしか闘技場だったかな。

 俺とウーリが模擬戦をしたとき、周囲への被害が多すぎたため、早めに建てたほうがいいだろうという結論になって造られた建物らしい。シザーやフルル、あとタカツキ周辺のプレイヤーたちがよく利用していると聞く。


 そんな街並みを眺めながら、俺は都市設計責任者であるバウクロッツェと合流した。


「どうも、バウさん」

「おはようございますトビさん! いやあ、急にお呼び立てしてすみません!」

「いえいえ、全然ヒマしてたんで」


 生産職たちが会議に使っている集会所も、いつの間にか立派な二階建ての建物に。

 バウクロッツェに案内されて、俺は面接会場予定の小さな会議室に通される。


「じゃあさっそく、希望者さんたちに連絡とってきますねーっ!」

「はい、お願いします」


 さて、面接開始である。



 まず一人目、エルフの女性。

 金髪に長い耳、緑色を基調とした服装、まさにエルフといったアバターだ。


「ジュリアと申します、ぶどう農家です。醸造もできます!」

「……もしかしてワインとか作る人?」

「はい! ウーリさんからお声がけ頂きました!」


 そういえばあいつ、以前にぶどう農園を作ろうとかどうとか言っていたな。

 まさか本当に声をかけていたとは。私利私欲だな、本当に。


「ちなみに赤と白どっちですか?」

「もちろん両方です!」


 よし、採用しておこう。

 居住許可だ。



 お次は二人目、小柄なドワーフの男性。

 膝の上にノームを乗せていて、ふたりおそろいの三角帽を被っている。


「カルボナーラといいます。普段は防具作り、採掘プレイで遊んでいます」


 膝の上のノームをよしよしと撫で回しながら、カルボナーラは落ち着いた口調で言う。


「そのノーム、テイムモンスターですか?」

「はい、〈狂い啼くノーム〉経由です。鉱脈からインゴットを抽出する仕事を任せています」


 ノームってそんなこともできるのか。

 すでにテイム方法が確立しているということにも驚きだ。


 〈狂い啼くノーム〉は今考えてもかなり強いボスモンスターだったと思うのだが、彼は上手いことやったのだろう。


「バウさん、この島って鉱脈あるんだっけ?」

「小規模なものがいくつか! 建築用の素材は毎日採取してるんですけど、それ以外は取りこぼし多いんで……資源を残さず集めてくれるヒトがいたら便利かなと!」


 なるほど、それはたしかに都合がいい。


「それにしても、鉱山系マップが近い場所に住まなくていいんですか?」

「ええ。通常のマップならファストトラベルで簡単に飛べますが、なにせヴェルデブールはトビさんの私有地ですから……ここが今、世界で一番アクセスの難しいマップなんですよ」


 ……まあ、そうかもな。

 水晶竜を倒したら、水晶が無限に採れるエリアまで出来ちゃったし。


「島内で採れたアイテムは島内で消費し、また売却・譲渡する場合には、元素材に変換不可能な状態まで加工する予定です」


 しっかりした人だ、採用しよう。

 ノームもいざってときの戦力になるし。



 面接はまだまだ続く。


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