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4.地球世界の崩壊

2000年代の地球に似た世界に住む男子高校生視点

 その日、僕はいつものように学校に向かっていた。

 スマホでニュースを確認しながら、友達とLINEで他愛ないやり取りをしていた。その中に、最近やけに空が赤く染まる現象が続いているという記事が目に留まったが、僕はあまり気に留めなかった。

 ここはいつもと変わらない平凡な日常だったはずだ。


「今日は暑くなりそうだな…」


 青空が広がり、蝉の鳴き声が耳に心地よい。夏休みが近づいていて、僕たちは期末テストを終え、ようやく一息つける時期に差しかかっていた。

 そんな朝、僕は予感など微塵も感じていなかった。


 教室に着くと、友達がいつもの席で話していた。


「おはよう、聞いた?なんか最近、地震が増えてるってさ。母さんがそればっかり心配してたよ」

「マジかよ。またでかい地震とか嫌だな…」


 僕は友達の言葉を軽く受け流した。地震が多いって言っても、今までも大したことない揺れだったし、大騒ぎすることじゃないと思っていた。


 その日は、普通に授業が進んでいた。2時間目の数学の授業中、突然みんなのスマホから耳障りな警告音が鳴り響いた。少しして校内の放送がノイズ交じりで響いた。


「こちらは校内放送です。緊急地震速報が発令されました。生徒の皆さんは落ち着いて行動し…」


 放送が途切れると同時に、教室全体がぐらりと揺れた。これまで感じたことのない強い揺れに、教室中が一斉にざわついた。


「うわっ!これはやばい!」


 先生が大声で指示を出すものの、揺れは収まるどころか、ますます強まっていった。僕はとっさに机の下に潜り込み、周りの友達も同じように身を隠した。

 ガラスが割れる音、物が落ちる音、そして外から響く車のクラクションと叫び声がした。それらが混じり合い、恐怖が一気に押し寄せてきた。


「こんな...こんな地震、今まで...」


 クラスの女の子が震え声でつぶやく。

 揺れは何分も続き、まるで地球が割れるのかと思った。

 突然、揺れが収まったかと思うと、今度は窓の外が異常な光景に変わっていた。空が赤黒く染まり、太陽が見えなくなっていたのだ。そして、空からは巨大な閃光が降り注ぎ、地面が裂けていくのが見えた。


「なんだよ、これ...」


 誰かが呆然とつぶやくが、僕も何も答えられなかった。

 目の前の現実が信じられない。巨大な閃光は学校の外にある街を次々と飲み込んでいき、地面が陥没し、建物がまるで砂の城のように崩れ落ちていく。


「逃げろ!早く逃げるんだ!」


 先生の叫び声が耳に届いたが、僕たちはすぐには動けなかった。足がすくんで、ただその場に立ち尽くしていた。

 数人が動き出し、それにつられるように教室の外に出ると、廊下はすでに傾いており、天井が崩れ始めていた。


「こんなの...ありえない...」


 僕は無我夢中で階段を駆け下りた。学校が崩れ落ちる音が後ろから迫ってくる。とにかく必死だった。周囲は悲鳴と破壊の音に包まれていた。

 外に出た瞬間、校舎の上部が轟音と共に崩れ落ち、あたり一面が瓦礫と化していた。


「母さん...父さん...」


 僕は心の中で家族の無事を祈りながら、学校からできるだけ離れようするみんなについていくことしかできなかった。だがどこへ行っても同じ光景が広がっていた。街全体が崩壊し、ビルが倒壊し、車が炎上していた。


 地震が収まった後、しばしの静寂が訪れた。その静寂の中で、僕は自分の鼓動が早まっているのを感じた。

 これから何が起こるのか、全く分からない。でも、今はただ、この静けさを味わうしかなかった。


 そして、最後の一撃とも言える現象が起きた。

 爆発音や悲鳴が鳴り響く光景にすべてを諦めようとしたとき、赤く染まる空に無数の流れ星が現れた。

 次の瞬間、衝撃波と共に地上を焼き尽くすかのように、あらゆるものが消えていった。

 僕は吹き飛ばされ意識が遠のき、すべてが白い光に包まれた。



 次に目を覚ました時、僕は広大な草原に立っていた。地面は柔らかく、風が心地よく頬を撫でていく。周囲には建物は何もなく、僕と同じように呆然とした人や泣き崩れている人が何人もいた。


「ここは…どこなんだ…?」


 僕は混乱しながらも、足元を確認したり、周りを見渡したりした。知っている人がいるかどうかさえわからない。

 ただ、今までの日常が消え去ったことだけは確かだった。


 僕が見知らぬ場所に放り出され周囲の混乱に包まれている中、突然目の前に光が差し込み光る球体が現れた。球体は光を失うと老人に変化したように見えた。

 老人は非常に落ち着いた表情をしており、その姿はどこか神秘的で、現実離れした雰囲気を感じた。そして、老人は静かに、そして何も言わせないような声で話し始めた。


「ようこそ、我々の世界へ」


 その声には不思議な力が込められているようで、周囲にいる人々もその場で立ち止まり、老人に注目していた。


「お前達は、私が救済した者たちだ。悪しき者によって元いた世界の神は破れ、世界は破壊されてしまった。しかし、お前達の神の願いにより、私がこの新しい地で再び生きる機会を与えた。これからの生活はお前達次第だ。ここで好きに生きるがいい。私はそれを見守ろう」


 老人が淡々と僕たちに何が起きたのか説明していく。

 どうやら老人はこの世界の神様で僕たちを助けてくれたらしい。


「これからどうすればいいんだ?母さんは?父さんは?」


 僕は胸の中に渦巻く恐怖と不安を押し殺しながら、震える声で呟いた。

 老人は僕の言葉を拾ったのか穏やかに、しかし無感情に答えた。


「ここでは全てが新しく始まる。お前達が持っていた物や、知っていたものはもう存在しない。だが、君たちには新たな可能性が与えられた。

 私は君たちを見守り、時には助けを与えるかもしれない。だが、最終的には君たち自身がこの世界をどう生きるか決めるがいい」


 僕の隣にいた中年の男性が、震える声で尋ねた。


「神様。どうして私たちなんですか?なぜ私たちが選ばれたのか、理由はあるのですか?」


 神様は冷静に答えたが、その声は無情で、冷たく感じられた。まるでただの規則を伝えるだけのように。


「お前達は選ばれたわけではない。これは単なる運命の巡り合わせだ。過去に何があったかは関係ない。ここでの新しい人生をどう生きるか、それが全てだ」


 ということはここには犯罪者だった人もいるってことだろうか。

 周囲の人々も不安げな表情を浮かべていた。


「元の世界に戻れる方法はあるの?」


 誰かが静かにつぶやくと、神様はそれを聞いても表情を変えずに答えた。


「元の世界はもう存在しない。それは理解してくれ。今はこの新しい世界で生き延びることを考えるのだ」


 僕は必死に考えを巡らせるけど、恐怖や不安で頭の中は混乱していた。


「ここで生きていけるのか?何をすればいいんだ?」


 誰かが言った言葉に神様は少しだけ柔らかい表情を浮かべるが、神様の目は冷たい。


「生きていくための方法はお前達自身が見つけるしかない」


 その後も周りの人からの質問にも丁寧に老人は答えていった。

 質問が出尽くしたのか少しの静寂が訪れた。

 すると静寂を切り裂くように男性の声がした。


「女神様この世界に魔法はあるのでしょうか?」


 ほとんどの人が僕も含め何をこんな時に言ってるんだという感じで男を見た。

 男はすごく興奮してるようだ。

 それに老人に向かって女神様ってどういうことなんだろう。僕にはわからないだけで老婆なのだろうか。


「お前の言う魔法と同じようなものも存在する。この世界にはお前達人間と呼ばれる生命体以外も生息するようになる。その者たちにはお前の考えているような魔力というようなものが必要な者もいるのだ」


 それを聞いた男はとても喜んでいるように見えた。家族や友達、住むところも食べ物すら無いのに。

 普通なら漫画やアニメを見て憧れてた魔法が存在すると言われれば喜ぶかもしれないが、今の僕には、不安だけが心の中で膨れ上がっていた。

 これからどうなるのか、全く予想もつかないという恐怖が、冷たい手で心臓を掴んでいるようだった。


「私は必要な時に助けを与えるかもしれないが、すべてはお前達自身の努力次第だ。新しい世界を築く力は、お前達の中にある」


 神様がそう言い終わると、老人は再び光に包まれ、静かにその姿を消した。

 その場には、不気味な静寂と共に、何とも言えない不安感だけが残った。

 その後、場は一気に混乱に包まれた。叫び声が飛び交い、泣き叫ぶ人、状況把握に努める人、知り合いの名前を呼ぶ人。恐怖と絶望が、その場にいる全員を飲み込んでいった。

 僕はその中の神に祈る人を見て、さっき現れた神は本当に信じいいのだろうか?騙されているのではないか?となぜか疑問が頭の中で浮かんでは消えていた。

 そして長い混乱の後、スーツを着た男性が声を出しみんなをまとめだした。何をしたらいいかわからない僕のような人達はその人に従い、ここで生きていくためにとぼとぼと歩き出した。

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