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絡繰異聞  作者: 和条門 尚樹
かくて奏音は拒絶する
6/55

恐ろしい妄想

 ()(のん)の本音からすれば、なるべく、動きたくはなかった。身体(からだ)のあちらこちらに負ったダメージは大きく、動かす(たび)にエラーを伝えてくる。

 後から(あま)()()(おん)に回収してもらおうと、(きゅう)(みん)状態に入ろうとしたその矢先、人間たちに()()こされてしまった。

 (きゅう)(みん)状態に入れば、マネキン(にん)(ぎょう)なり、死体なりに見えるだろうか。そして、願わくばそのまま、どこかに(はい)()してくれれば良い。

 そんな()(のん)の願いも(むな)しく、(だれ)かが(りょう)(かた)を、強い力で(たた)いてくる。()さぶってこないあたり、正しい()(りょう)知識を持っている者の動きだ。直前に、()()()という()(おん)な単語も聞こえていたため、()(のん)(しぶ)(しぶ)周囲を(かく)(にん)することにした。

 ()()()家に、(かく)(にん)を取られては困る。()(のん)は、()()()一族からすれば(はい)()・処分したはずの、つまりは、もう存在しないはずの存在だからだ。

 しかし、目を開けたことを、()(のん)()ぐに(こう)(かい)することとなった。まさかの、(りゅう)(じん)(けい)()(がい)(しゃ)の、しかも社長(おん)(みずか)らに(かい)(ほう)されていたとは、思いもしなかった。

 ……いや、ある意味、目を開けて正解だったかも知れない。(りゅう)(じん)(けい)()(がい)(しゃ)は、後始末もきっちりとする、優良な(かい)(しゃ)だ。もしも目を開けずに、身元不明の死体と判断された場合、最悪、(まい)(そう)されていた可能性もある。

(だい)(じょう)()か!」

 耀(かぐ)()が、()(のん)(かく)(にん)する。()(のん)耀(かぐ)()を見上げ、この場合はどう返事すれば無難なのだろうと、(かんが)()んだ。

 (しん)(たい)(てき)には問題だらけで、全く(だい)(じょう)()ではない。(じょう)(きょう)だって、とても(だい)(じょう)()とは言えない。けれども、人間用の()(りょう)機関に運ばれても、そこでは()(のん)()(りょう)することはできない。

 それどころか、(いっ)(ぱん)(てき)な人間から見れば、オーバーテクノロジーになる自分は、実験対象になって分解される可能性も。そこまで考えて、()(のん)は真っ青になった。

 結論。何が何でも()()さねばならない。人間に(つか)まったら、()(のん)に未来はない。

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