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絡繰異聞  作者: 和条門 尚樹
かくて歯車は集う
38/55

天音の迎え

 再び(けい)(かい)()を上げた()(のん)に、(ふう)()()()んだ。

「シオンって、(だれ)

 ()(のん)(とっ)()()(おん)の様子を(かく)(にん)した。まだ耀(かぐ)()(はな)()んでおり、(ふう)()の問いは聞かれなかったようだ。

「ご自身で調べれば(いか)()でしょうか。情報屋なのでしょう?」

「だから、知ってそうな人に()()みしてるじゃない」

 ()(のん)()(ぜん)として反発した。

「私が、貴女(あなた)に、()(おん)のことを話す? (じょう)(だん)(ほど)(ほど)にしてくださいな」

 しかし、(ふう)()(あきら)めずに食い下がる。

「でも知り合いなのよね? 私と見た目が似ていて、よく分からないけどアナタを経由しないと届かないっていうのは聞いたわ。それなら、アナタに話を聞くのは、当然のことじゃなくて?」

()(おん)の話か?」

 耀(かぐ)()との相談が終わったのか、()(おん)が口を出したので、(ふう)()はここぞとばかりに()(おん)にも同じ問いを投げかけた。

「そうよ。シオンって(だれ)なの? って聞いてたのよ」

(ゆく)()不明の妹だ」

 さらりと()(おん)は答え、(ふう)()(あた)えられた情報を(ぎん)()している間に()(のん)に告げる。

()(のん)(あま)()にぃを(むか)えに行ってくる。せっかくの機会だし、まとめて(あま)()にぃの思考プログラムも(せい)()に見てもらおうって話になった。別視点なら、もしかしたらバグの原因が(わか)るかもしれないし」

「わかりました。お気を付けて」

 ()(おん)が飛び去るのを見送りながら、()(のん)はそっと、(となり)に立つ耀(かぐ)()の服の(すそ)を、(にぎ)りしめた。

「どうした?」

 (やわ)らかな表情で(たず)ねてくる耀(かぐ)()に、()(のん)の心が()れる。そう、もし耀(かぐ)()()(おん)の事情を話したら。けれどもそれは、耀(かぐ)()をますます()()むということだ。

 散々、(から)(くり)()の事情に()()んでおいて(いま)(さら)な話ではあるが、()(おん)のことは(さら)に解決が難しい。ああ、それでも。

 本来なら、()(おん)()(おん)(しょう)(だく)を得て話すべき(こと)(がら)(わか)っていても。

耀(かぐ)()さまなら、救い出してくれるのでしょうか」

 (すが)ってしまいたい。その思いが、()(のん)の口を軽くした。

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