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絡繰異聞  作者: 和条門 尚樹
かくて暴かれるのは
30/55

幽霊の追手

(おも)(しろ)いことに首を()()んでいるわね」

 (あい)(さつ)もそこそこに()(がお)で言う、長い(はく)(はつ)に、(あか)(ひとみ)の女性。情報屋、(ふう)()は、(きょく)(たん)に色素の(うす)い少女だった。

「あー、まあ、そうっすね」

 対する(せい)()の歯切れは悪い。(ふう)()(おう)(えん)(たの)んだ後、事態は(みょう)な方向に大きく動いてしまった。今となっては、外部から来た情報屋の存在は、情報(ろう)(えい)のリスクすら(はら)んでいる。

「アンタんとこの会社が自分から事件に()()んでいくのは、いつものことだけど。今回は、大当たりだったみたいよ?」

 何せ、(から)(くり)()(にお)いがするからね。にっこりと()(がお)で告げる(かの)(じょ)は、果たして何処(どこ)まで今回の真相に近付いているのか。

「やっぱり、(から)(くり)()っぽいっすかー」

「だって、あまりに犯人の情報が消されすぎているもの。(から)(くり)()(かか)えの(ゆう)(れい)でもなきゃ、そんな(ごう)(いん)()()はできないわ。で、アンタんとこの社長さんが、現場で拾ったっていう女の子が、(あや)しさ(ばつ)(ぐん)だと私は思うのよね。あの子は絶対、(ゆう)(れい)と知り合いよ」

 (ゆう)(れい)(しょう)される、(から)(くり)()の三人目。知り合いどころか、当人でしたと(のど)(もと)まで出()かったのを()()み、(せい)()は首を(かし)げて見せた。

「そんなにアンジェの(じょう)ちゃんは、情報が無かったっすか。(ふう)()ちゃんのツテを持ってしても?」

「ええ。(もら)った写真から(けん)(さく)しても()()()(みつ)()にしか行き着かないけど、アイツはそもそも男だし。アンジェなんて割とありがちなハンドルネーム、中の人を(しぼ)ろうとしても、余計に(なぞ)が深まったわ。特に、ハンドメイド作家のアンジェと情報屋のアンジェ。私から見たら(ゆう)(れい)一味と大差無しよ」

 おお、大正解。と、口に出せず、内心で(はく)(しゅ)する(せい)()

「ふふ、考えれば考えるだけ、調べれば調べるだけ(めい)(きゅう)入りするこの件は、私にとってもすごく興味深いの。せっかく(ゆう)(れい)(しっ)()(つか)めるのだったら、私は(あく)()にだって(けん)()を売ってやるわ。だからね、(せい)()

 アンジェの使っていた客間に案内してくれるわよね。

 (ふう)()の言葉は、()(はや)(よう)(せい)だった。ついでと言わんばかりに(せい)()()きつけられた無機質な耀(かがや)きのことも(あわ)せれば、立派な(きょう)(はく)とも言えた。

「何つう(ぶっ)(そう)なもんを持ってきてるんっすか」

「あら、レディの(かばん)の中身を(せん)(さく)するのは、(しん)()(てき)ではなくてよ?」

(おれ)、別に(しん)()じゃないんすけどねー」

 姉の()()()を見習って少し(きた)えておけば良かったかと思っても、(せい)()にとっては後の祭り。

 大げさに(たん)(そく)すると、(せい)()(ふう)()を連れ、(はっ)()にあてがっていた部屋へ向かった。

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