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絡繰異聞  作者: 和条門 尚樹
かくて綻び始める
19/55

耀夜の懸念

 アンジェというハンドルネームとその後の告白が(しょう)(げき)(てき)すぎたため、何故(なぜ)(とびら)()(じょう)したのかといった問題が()()んでしまったと耀(かぐ)()が気付いたのは、(はっ)()の部屋を去ってからだった。

「アンジェ、があんなお(じょう)ちゃんだったなんて、ビックリっすね」

 (せい)()などは、まだ(おどろ)き覚めやらぬ様子だ。

「そんなにアンジェは有名か?」

「そうっすね、有名なアンジェもいるっす。今回のように、テロの情報を提供してくれるアンジェは、(たま)にテロが起こるよりも早く警告をくれることもあったんで」

「他に有名なアンジェはいるか」

(もち)(ろん)

 (せい)()はあっさりと答えた。

「個人で(つう)(はん)してるハンドメイド作家のアンジェも、ハッカーの間では有名っすよ。あのザイオンサーバーに個人サイトを置くって、一体どんな(うら)(わざ)を使ったのかって、有名な電脳七不思議の一つっす。そっちなら、あのお(じょう)ちゃんでも()()(かん)ないっすけど」

「ふむ」

 ふと、何かが引っかかったような(かす)かな()()(かん)があり、耀(かぐ)()(あご)に手を()えた。

(はっ)()何故(なぜ)、そんなとんでもない情報から私たちに明かした?」

「社長さん?」

(せい)()。少し、()(ちゃ)(たの)んでも良いか」

 (くら)(ひとみ)耀(かぐ)()()()されるように、(せい)()(うなず)く。

「セキュリティシステムの(かん)()を強化してくれ。ここで(はっ)()()(のが)したら、大変なことになる気がする」

「大変なこと、っすか」

「もしここで手を(はな)してしまったら、あの子は二度と、私たちの前に姿を現さないような気がしてな」

 かつて他人に(たよ)れず、人間不信になりかけた耀(かぐ)()(かん)が、(はっ)()(あや)ういと(うった)えかけてくる。重大な情報を()えて明かしたのは、(ため)しているのか、それとも、もう二度と関わらない代わりの()()(やげ)のつもりなのか。

 いずれにしても、かつての(おのれ)(ほう)彿(ふつ)とさせる(はっ)()を放ってはおけない耀(かぐ)()は、(はっ)()を直接(かん)()するのも難しいため、(せい)()(たよ)ることにした。

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