次の夢では
「やぁ、お嬢さんこんにちは」
「ここはどこ?」
私はお布団の中で寝ていたのに、なんで真っ白い空間に居るんだろう?それにこの人は誰?
「疲れているだろうお嬢さん。ほら、お菓子でもどうかな?」
「駄目です。寝る前に歯磨きしちゃったし、こんな時間に甘い物食べたら……」
私はとても美味しそうなお菓子を断った。様々な種類のお菓子があり、目の毒だ。
「お菓子は駄目か。なら聴きたい音楽はないかな? どんな音楽でも聴かせてあげられるよ」
「音楽かぁ、あんまり興味ないかな。お気に入りなんて曲もないですし」
色んな楽器などが出てきていたが、名前すらわからない。
「それじゃあこの中の宝石はどうかな? どれも綺麗で君にピッタリ!」
「ごめんなさい。私こういうアクセサリーってすぐ失くしたりするからもったいないのでいらないです」
オシャレでイヤリングをしても片方すぐに失くしたし、腕時計ですら私は失くす女である。なのにこんな宝石は貰えない。
「難しい難しい。マッサージはどうかな? ここのマッサージは特別で、効果として疲労回復に記憶力強化、素晴らしい効果が盛りだくさん!」
「マッサージは誰が?」
「僕だよ?」
「見ず知らずの男性に、それもマッサージ師というわけでもないのにされるのはちょっと……」
これは普通の反応だと思う。
それからも彼から何かを提案されては私は否定するのを繰り返し続け、数時間は経過しただろうか?彼も私も疲れてきた。
「こちらから質問しても良いですか?」
「良いとも」
「なぜ初めて会った私に何かあげようとしたり、しようとしたりするのですか?」
「それは君が僕の家に入ってきたからさ」
「家?」
「そう、ここは僕の家」
この真っ白い空間が家。それは良いとしてもそれでなんでこんなことに?
「私があなたの家に入ってしまったとしても、なぜ物を渡そうとする必要が?」
「お客さんが来たらおもてなしするでしょ? 今までも僕はそうしてきたよ。君が初めてだよ、こんなにおもてなしが難しいのは」
「あなたは私のことをお客だと思っているんですか?」
「そうだよ」
「はっきり言っておきますが、私はお客ではありません。そして、今まで私みたいにいきなりあなたの家に現れた人もお客ではありませんよ」
「え! そうなの!」
「偶然ここに来てしまっただけで、迷子みたいなものですね。これからは気をつけてください」
私がそう言うと彼は落ち込んだ様子だった。
「また来てくれるって言ってたのにな。悲しいな」
「物目当てで完全に騙されましたね。もし仮に来たとしてもそれも偶々ですよ。そして来たよというフリをする筈です」
「そんな……」
「あれ? 私薄くなってますね」
「今まで来た人がいなくなる時と同じだ」
なるほど、ようやく帰れそうですね。
「それではさようなら」
「待って!」
「なにか?」
「よかったら、またここに来てくれないかな?」
「それは分かりません。来られるかもしれませんし、来られないかもしれません」
「そ、そうか……」
「しょうがないですね、手を出してください」
「う、うん」
私は彼の手を握りしめた。
「名前は今度会ったら教えます。その約束をここでしましょう。もちろんあなたの名前も教えていただきますからね」
「うん! そしたら約束をあげる」
「それではおやすみなさい」
その言葉と同時に私は目が覚めた。寝たのになぜこんなにも疲れているのか。
布団から出るのが少し億劫……もう少し寝てもバチは当たらないでしょう。
「やぁ、お嬢さん! 約束をあげるよ」