二話
「付き合ってるの?」話しかけてきたのは同じクラスになった山野芽依。「付き合ってないよ。」大輝が答えた。莉星が安心したように「そうなんだ。あ、あのさ桜井さん放課後校舎裏来て。」美世の返事を聞かずにどこかに行ってしまった。放課後になり、体育館裏に行ってみると、芽依がもう待っていた。そしていきなり「もう大輝くんと2人で話さないで」直球に言ってきた。「えっ?なんで?」美世は動揺している。「私、大輝くんが好き。桜井さんは良いでしょ、だって桐山さんがいるんだから」芽依が笑顔にして言った。「なんで知ってるの?というかもう怜音いないよ。」「なんでって私、桜井さんたちと同じ小学校だけど。」同じ小学校!?私いつも大輝と怜音といたから気づかなかった。でも私には友達がまだ少ない。ここで大輝を失うとこれからの3年間つらい。「大輝と山野さん付き合うのは良いけど、私はいつものように大輝と2人で話すよ。」「ふーん、じゃあどうなっても知らないよ。」「えっ?」芽依が強い口調で去って行った。翌日、いつものように大輝と2人で話していると、芽依が「大輝くん、あっちでみんなで遊ぼう?」「良いよ。美世もいっ……。」大輝の言葉をさえぎるように芽依が「みんないこー。」教室に1人残された美世は昨日のことを思い出す。(どうなっても知らないからね。)芽依はわたしと大輝を離そうとしている。私、いじめられてる……?
休み時間が終わった。みんなが教室にぞろぞろ入ってくる。大輝が「ごめん、1人にして。」大輝が深く頭を下げた。「大丈夫だよ。ねぇ放課後遊ばない?ちょっと話したいことがあって。」「良いよ。じゃあ美世の家行くね。」2人が話しているところを芽依が睨んでいる。そして心陽が、「ねーねー大輝くん今日の放課後遊ばない?」「ごめん、今日は美世と遊ぶ約束してるからまた今度よろしく!」そしたら芽依が「え〜、桜井さん大輝くん譲ってよ〜。ねっ良い?」芽依が圧をかけてくる。「だめだよ。今日は美世。休み時間遊んだでしょ。」芽依は私のことを睨んでから友達のもとへ行った。「さようなら」学校が終わり大輝が私の家に来た。「話したいことって何?」美世は芽依と体育館裏で話したことを全て大輝に話した。「美世はいじめられるかもね。でも大丈夫、俺はずっと美世の味方だから。」大輝は優しい声、顔で話してくれた。「ありがとう。」美世は安心した顔で大輝を見た。
翌日、大輝と2人で通学していると学校付近で心陽に会った。「2人で一緒に来てるんだ。ねぇ大輝くん、私とも家近いんだから次から2人で一緒に行こ!桜井さん良いよね?」芽依に従わなければ何をされるかわからない。でも先に大輝が少し怒ったように言った。「通学は美世と行くって決めてるから、ごめん。」美世も頭をさげ、校門に大輝と歩いて行った。「ちっ。覚えてなさいよ。」芽依は舌打ちをして2人をじっと見つめている。芽依は表には出していないがとても美世に嫉妬している。
〜入学式から2ヶ月が経った。〜
美世たちがいる中学校は1年生にキャンプに行くことになっている。新しいクラスで仲を深めようっていうのがキャンプに行く理由。まぁ、他にもたくさん理由はあるけど。そして今日、キャンプでの班を決める。班の決め方は自由。でも先生たちからの条件がある。班の人数は6人で、3人は女子、もう3人は男子。班になれるのは同じクラスの人だけ。で、今日の3限目までに決めなければならない。今日の休み時間でキャンプが楽しみになるかが決まる。美世、大輝、芽依の運命が決まる。