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「ふふふ」



 ある意味、これは人生初の女子会だ。


 テーブルにはたくさんのケーキとお菓子、あと果物が並べられている。そして湯気を立てる紅茶には花びらが浮かんでおり、薫りが食欲をかきたてる。これがどこかのカフェだったら、きっと定食屋か何かで夕飯を食べるよりも数倍かかるはず。


 なんて贅沢なんだろう。昼から薔薇のお風呂に入って、次はお茶会。有意義過ぎるでしょう。


 なんだか、一人で仕事をさせてしまっているルドに申し訳なくなってきてしまうわね。なんかルドにもあとで労いをちゃんと考えよう。



「ほ、本当にわたしもココに座っていてよろしいのでしょうか?」



 サラは終始周りを気にしながら、ソファーで小さくなっている。その姿はある意味、小リスのようだ。



「いいのよ。どうせここには他の使用人たちは来ないし。ルド様も夕方まで帰ってこないわ」


「でも、もし殿下がお戻りになられたら……」


「その時は私がサラにお願いして女子会をしてもらっているって説明するから大丈夫よ。ルド様は私にはなにも言わないもの」


「殿下とお嬢様はとても仲がよろしいのですね」



 サラはまるで自分のことのようにうれしそうに目じりを下げた。


 仲が良いか。うん。確かに少し不穏になる時もあるけど、今のところ関係性は悪くないハズ。そうね。このまま他の邪魔が一切入らなければ、ルート移行も簡単なんじゃあないかな。


 いや、もしかするとすでにルート変更しちゃってるとか? それならうれしいんだけどな。



「仲はねー、悪くはないと思うわょ。ほら、毎日一緒にいるし。ただ……恋愛っていうか、好きっていうのが私にはイマイチよく分からないのよね」


「好き、ですか……」


「そうなの。それが難しいのよね。ねぇ、サラは好きな人いる?」


「えええ、わ、わたしですか?」


「そうサラの、よ。ふふふ。なんかその顔、いるのね。ねぇ、誰なのー? 私の知ってる人? ねーねー」


「お嬢様の知ってる人って、だ、だってそれってお一人しかいないじゃないですか!」


「えー。誰かなぁ。わかんないなぁ~」


「だ、ダメです。いぢわるしてはダメなのですよ」


「意地悪じゃなくて、ん-。好奇心」


「どっちもダメですぅ」


「えー、だって」


「だってじゃありません」


「えー」


「えーって言ってもダメです」


「むぅ」



 私に指摘されたサラは、わたわたと落ち着きなく手や足を動かしている。ああ、ヤバい。可愛いわ、この子。



「お嬢様、本当にダメですからね」


「やだ、ホントにサラかわいーーー」


「えーーーー。どうしてそうなるのですか、お嬢様」


「えー。だって、ワタワタしてて、小さいし、小リスみたいだし。すごく可愛いじゃなのよ」


「小リス、ですか?」


「んー、そそ。小リスっていうのは、そうね。小さくてかわいい小動物、ってことね」


「そ、そんな。わたしなど、なにも可愛くなどないですよ。それに、誰よりも美しいお嬢様にそんなことを言われるだなんて」


「可愛いと美しいは枠が違うから大丈夫なのよ。こうなんていうかなぁ、サラを見てると庇護欲にかられるのよね~」


「庇護欲ですか!?」


「そうそう。可愛すぎて、守ってあげたいし、頭をなでたいわ」


「守るって。お嬢様を守るべきは、わたしの仕事なのですよ。お、お嬢様からかわないで下さいよぅ」


「えー。だって本当のコトなんだもーん」


「もーー。えー。じゃないですぅ」


「むぅ」


「そんなに可愛く膨れてもダメですよ、お嬢様」



 サラの顔を赤くし、頬を膨らます姿が本当に愛らしい。身分とか関係なく、きっとモテるタイプね。


 あー、こんな子が妹とかになってくれたら幸せなんだけどなぁ。



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