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012

「ルド様、私のことを家族に伝えて下さったのですか?」


「ああ、言い忘れていたね。今日の午後から面会をしたいと手紙には書いてあったな」


「今日の午後ですか」



 忘れてたって……。悪びれた風もないけれど、絶対にわざとでしょう。今日の午後って、もうほぼ午後に近いと思うのに。


 やっぱりルドは家族にすら、会わせたくないのかな。ただ私も恐怖はある。だって家族のことなんて何も知らないし。それに家族が味方とも限らない。


 見た限りでは、虐待とかそういうのはなさそうだったけど。でもいくら体に傷がないからって、精神的なってこともあるかもだし。あー、本とかゲームのしすぎかなぁ。そんな風に深読みしてしまうのって。



「今日、家族に会えるのですか?」


「そんなにうれしいのかい?」


 

 そんなにと言われるほど、うれしそうな顔してなかったと思うんだけどルドにはやや不服のようだ。


 眉間のシワはそれほどないものの、不機嫌さを隠そうとはしない。



「心配しているといけないと思ったからですわ。それに家から侍女を付けてもらえば、もっとルド様と一緒にいる時間も増えますし」


「それはそうだが……」


「ルド様とこれから正式に婚約し、結婚へと向けて行くためにも、たくさんの問題を片付けていかなればいけないのではないですか?」



 ヤンデレルートから抜け出すためにも、サクサク問題を解決していかないと。


 まだルド様が好きとか、結婚したいとか、そういう感情はないけど。少なくとも居心地はいいし、傍にいたいとは思う。


 でもこのルートにいると思うだけで、いつ命の危機があるか分からないからルート変更だけはしないとね。



「婚約……結婚……」


「そうですわ、ルド様。違うのですか?」



 小首をかしげ、ルドを見つめた。



「いや、アーシエの言う通りだな。面会が来たらすぐ通そう。君が家族と会っている間に、僕は仕事を一つ片付けてくる」


「分かりました、ルド様。あまり根をつめて無理しないで下さいね」


「分かっているよ」


「ところで、今日の面会は誰が来るか分かっているのですか?」


「君の弟のレオナルドが来ると書かれていたな」


「弟が、ですか……」



 アーシエには弟がいたのね。義理の~とかじゃないわよね。どっちにしても、微妙なとこが登場するのね。弟ってまたさぁ、敵か味方か分かりづらいし。これだと、記憶がないことを言っても大丈夫とは思えないわね。


 無難な話をしながら、とりあえず経緯だけでも聞き出さないと。でも絶対、頭良さそうなキャラよね。



「弟が来るのに、うれしくないのかい?」



 まるでルドに見透かされている気がした。



「そんなことはないですよ。弟が来るのは、少し意外だったので」


「そうかい? 嫉妬するほど、姉弟仲が良かったから順当だと思うけどね」


「ですが、事が事なので」


「ああ、確かに君の父上が来るのが普通だろうね。でもきっとレオナルドが言いくるめたのだろう」


「困った子ですわ」



 父すら言いくるめるってさぁ。私、全然大丈夫じゃないじゃないの。いきなりそんな人との対決とか、無理ですけど?


 でも姉弟仲は良かったみたいだから、まだ良かったかな。犬猿とかだったら、泣きそうだったし。


 それに今の会話から、両親もちゃんといるみたいね。



「弟と僕はどっちが好きなんだい?」


「もちろんルド様ですわ。弟は所詮、弟です。恋愛と家族愛は別物ではないですか」


「ははは。それを聞いたら、きっとレオナルドは凹むだろうな」


「そうですか?」


「ああ、きっとな」



 んー。そんなに溺愛していたのなら、あんまり他人行儀なのはきっとダメね。シスコンっぽいのかな。


 でも今のところ、優先順位は変わる予定ないし。そこは、追々諦めてもらうようにしてもらわないと。


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