98話 失われた逸話
こちらの作品は、小説サイト「カクヨム」の方で最新話を更新しております。
是非そちらでもお読み頂けると妹達が喜びます。
「それで、どうやって戻りますの?」
カンッ!
「転移で……戻れる……でも奴らはたぶん……もういない」
キンッ!
「何としてもアーシェを救出しませんと」
カカンッ!
「そうだワン、でも匂いもないワン」
カンッ!
「どうやって探すニャ。まだ国内にいればいいニャ。国外は無理ニャ」
キンッ!
「なんか普通に馴染んでますわね……」
「命拾いしましたワン」
「来てくれて助かったニャ」
「間に合った、とは言い辛いですがお二人が無事で何よりです」
「アーシェを助けることが出来ませんでした……でも必ず助けてみせますわ!」
「お願いするワン!」
「それにしても、あれはいつ終わるのでしょうか?」
そう言って皆が視線を向けた先には、剣を交えるイクスと剣神アレスの姿があった。
「いい反応だ娘。やはり我の妻に」
「無駄口を叩く余裕があるようだ。だがこれはどうだ?」
そう言ってイクスは一度距離を取り、突進しながら剣技を放つ。
「九星一閃!!」
イクスが放った斬撃は一振りで9つの斬撃を放つ技だ。
「面白い!!」
しかし、剣神アレスはイクスの技を一瞬でコピーして、同じ技で相殺した。
「イクス、そろそろ時間が惜しいです」
「ふぅ。まぁこのくらいにしておいてやる」
「威勢の良い娘達だな。まとめて嫁にしてやってもいいぞ」
「寝言は寝てから仰ってください。あなたには聞きたいことがあります」
「うむ。面白い剣を見せて貰った礼になんでも答えてやろう」
イクスは直感で分かっていた。アレスは強き者の言葉以外に耳を傾けないと。
故に出会ってから今まで剣で語り合っていたのだ。自分の存在を認めさせるために。
「あなたもアポカリプスの一員ですか?」
キュウカの確信を質問により、場に緊張が走る。
返答次第ではこの場でアレスと戦うことになるからだ。
「否。我は彼奴らとは関係ない」
「知ってはいるということですね」
「如何にも。我々は彼奴らの対となる者だからな」
「対となる者……?」
「我の他に神の位を得た者に会ったことはあるか?」
「ありますわ。私の師匠は弓神アルテミスですの」
「老ぼれの娘か。神話大戦の世を生きていない若造だな」
「神話大戦とは……?」
聞いたことが無い話が次々と出てきて困惑するシスハレナイン。
「鍵なのに知らされていないか。まだ少し先の話ではあるがな。担い手の覚醒が遅れているのか?」
「すみません……何を言っているのかわかりませんのでご説明頂けますか?」
「すまない、考え事をしてしまったようだ。神話大戦とは、簡潔に言えば勇者と神の戦争だ。勇者と神については?」
「勇者については知っていますわ。お兄様に聞き及んでおりますので」
「世界の全てを喰らい尽くして、神をも喰らい自らを神とする。それを支持する集団がアポカリプスだ」
「アポカリプスは……勇者のための組織だというのですか?」
「如何にも。今でこそ巨大な組織であるが、本物はイクリプティクと呼ばれる12人の星しかおらん」
「12人の星……先ほどの集団は11人でした」
「兄さんが私達を助けるために、一人倒したんじゃなかったっけ?」
「ほう。人の身で星を殺す者がいるとはな。その者は今どうしている」
「兄さんは今は……意識が無いのです」
「何があった」
キュウカが代表して、アレスに事情を説明する。
本来であれば初対面の者を信用して話すことは危険だが、アレスのことは何故か信用出来ると感じた。
「なるほど……お主らはうみへび座の巫女ということか。孤独な者を覚醒させなかったのは正解である。あれが目覚めれば世界はやり直しの道を辿っていただろう」
「やり直しですか……アルファも言っていた、この世界のシステムですね」
「システムという言葉に聞き覚えはないが、想像していることは間違いではない。それで、お主らはどうしてここに?」
「アポカリプスに友人を攫われたので救出しようとしたところ、転移させられてしまいました」
「ほう。アポカリプスが我の元にか……なるほど」
「どうかしましたか?」
「何でもない。お主らがうみへび座であるならば、恐らくアクベンスだろう」
「確かに、アレイ王子はイクリプティクと思われる者からそう呼ばれていましたわ」
「確証がないが、その娘は無事だろう。それよりも、お主らにはやってもらいたいことがある」
「出来る限りのことはしますが、兄上とアーシェの救出が最優先ですよ?」
「構わん。お主らには、この世界に散らばっている神の位を得たものに会って貰う」
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