97話 剣神アレス
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是非そちらでもお読み頂けると妹達が喜びます。
「死んだはずの貴方が何故ここにいるのですか」
「それは、愛しの妹に会いに蘇った? って言った方がかっこいいかな?」
「ふざけないでください! 死んだ人が戻ってくることはありません!」
「ふざけてるわけじゃないんだけどね。ちゃんと宰相には暗殺されたし」
「アーシェが今の貴方を見て、どう思うでしょうかね?」
「きっと喜んでくれる。僕らは愛し合ってる兄妹だからね」
「歪んだ愛ですわね……」
「君達だって、同じだろう?」
「貴方と同じにしないで頂きたい」
「同じさ。覚醒しようとしている彼を無理やり押さえつけて人に戻そうとするなんて。君達は運命を捻じ曲げて兄という存在を守ろうとしている。それと僕のやってることにどんな違いがあるんだい?」
何も言い返せないシスハレナイン。
「アクベンス、無駄口を叩くな」
「ごめんね。彼女達ならわかってくれると思って」
「理解されたところで意味はない。巫女は巫女としての使命を全うするだけなのだからな」
「それもそうだね。それじゃ、そろそろ行こうか」
「待ちなさい!! アーシェを返して頂きます!」
キュウカが支配の力をアレイに使用する。
「へぇ、流石は巫女だね。ここまで精神力を使いこなすなんて。だけど——」
しかし、支配の力を持ってしてもアレイの動きを止めることは出来なかった。
「残念だけどそんなちっぽけな力じゃ僕達を止めることは出来ないよ」
「これならどうですの」
指をパチンと鳴らしたジーコ。すると、アレイに向かって精神力で生み出された矢が、アレイの死角から迫る。
「残念。もうちょっと期待していたんだけどね」
矢はアレイに直撃する寸前で動きを止めてしまい、そのまま消えてしまう。
「ハァ!!」
「食らうデス!!」
「避けてみてよ」
間髪入れずにイクスが刀で斬りかかり、サンキが拳で殴りかかり、ウドが銃を発砲する。
だが、そのどれもがアレイに届くことはなかった。
「何度やっても無駄だよ。今日は大人しく帰るといい」
「ちぇっ、僕は全員殺してもいいと思うけどなぁ」
「アルレシャ、養分として使える者は残そうって言われたばかりじゃ無いか」
「勝手に話を進めて貰っては困りますわ。まだ終わっていませんわよ」
「いいや、終わりさ」
その時、シスハレナインの足元に魔法陣が浮かび上がる。
「これは……強制転移!?」
「このままでは! シロ!」
「だめ……対転移魔法が……すぐに無効化される……」
「僕達の手足となって働いてくれるというなら歓迎するよ。君達の兄が目を覚ます方法だって知ってる。アポカリプスは人手不足だからね」
「アーシェ!! 必ず助けに行きます!!」
アレイの言葉が最後に耳に届き、そのまま強制的に転移させられてしまったシスハレナイン。
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辿り着いた場所は、見覚えの無い森の中だった。
「ここは……どこですの?」
「わからない……ヒュトラ王国では無いことは……確か……」
「何か不気味だね。静かすぎない?」
「それは森ですから静かなのではなくて?」
「それにしてもさ、小鳥のさえずりも聞こえないよ?」
「聞いてみる……」
静まり返った森でシロが自然の声を聞く。
「ここは……誰かの住処みたい……」
「住処? こんなところに人が住んでるのですの?」
「うん……アレス……って人が住んでる」
「1人ですの? 変わり者ですわね」
「変わり者で悪かったな」
突如声がする方を向くシスハレナイン。そこに強靭な肉体に多くの傷をつけた男がいた。
「あなたが……アレスさん?」
「如何にも。自然の声を聞けるとは面白い」
「ありがとう……」
「アレスさんはここに住んでるのですか?」
「そうだな。ここで日々修行をしておる」
その時、イクスが瞬足でアレスへと迫り斬りかかった。
「ちょ、イクス! 初対面の人に斬りかかったら失礼だよ!」
しかし、アレスは地面に落ちている枝でイクスの斬撃を止めていた。
「ほう、いい腕の娘だ。我の妻になる気はないか?」
「無い。既に身も心も全て兄上の物だ」
「それは残念だ。ならばチャンバラで楽しむとしよう」
アレスがイクスを引き剥がすように枝を振る。勢いでイクスは飛ばされるが、空中で半回転して上手く着地した。
「我は剣神アレス。お主の剣を魅せて貰おう」
ニヤリと歯を見せるアレス。だが、笑いが溢れてしまったのはイクスも同じだった。
バトルジャンキーの会話が始まる——
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