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93話 兄のいる時間 ハーピ

こちらの作品は、小説サイト「カクヨム」の方で最新話を更新しております。

是非そちらでもお読み頂けると妹達が喜びます。

 ルドの部屋のベッドで寝ているハーピとルド。


「う〜ん……」


「……」


「いやぁっ!!」


「……」


 ハーピは突然声を荒げて起き上がる。


「やっぱり……ルドのことには干渉出来ない……」


「……」


 夢を現実にする力でルドが元に戻る夢を見ようとしたが、見えない力に阻まれて成すことが出来なかった。


「ルドの手掛かりもわからないし……」


 あわよくば未来を見てルドがどうなっているのか、何がきっかけで目を覚ますのかも見ようとするが何も見えない。


「どうすればいいの……だいふくさん……」


 抱いていただいふくさんに語りかけるが、答えはない。


〔ハーピ姉さん……ごめんね、辛いことをお願いしちゃって……〕


「大丈夫だよ。ルドの為だもん。私頑張るっ」


「……」


〔兄さんが隠してる物の手掛かりでもわかるといいんだけど……〕


「んー……過去を見れればわかるかなぁ」


〔過去……それだっ!! この世界のシステムは過去の記録をしっかり保管してたはず……ハーピ姉さんの力は、そのデータを計算された未来を見る力だと仮定するなら、過去のデータにアクセスすることも不可能じゃないかも!!〕


「データ? アクセス?」


〔うーんと、私と協力すれば兄さんの過去を見に行けるかも知れないってこと!!〕


 アルファはルドに生み出される前から魂が同一化されていた為、過去に何があったか全て把握しているが、あくまで主観的な一面しか見ていない。


 ハーピに過去を見てもらえば、客観的に過去を見てもらえると考えた。


「本当に?? やる!!」


〔よし! それじゃやってみよう!!〕


 ハーピは再びベッドに横になり、眠りにつく。

 アルファは眠っているハーピの精神力をコントロールして、システムに潜り込ませた。


 —————————————————————


〔あれは……ルド!!〕


 精神だけを過去の記録に飛ばしているハーピが見たものは、敬愛する兄の幼い頃の姿だった。


〔ハーピ姉さん、聞こえる?〕


〔うん! 聞こえるよ!〕


〔よかった! 上手くいったみたいだね! どれくらいの時期かわかる?〕


〔うーんとね……ルドが小さい!! でもそんなに小さくないよ!〕


〔となると……中学級くらいの時期かな?〕


〔友達と何か話してるみたい!〕


〔わかった!! とにかく兄さんの気になることがあったら何でも言って!〕


〔うん! 任せて!〕


 宙に浮いている精神をルドの方に近付けて、友人との会話を聞く。


「明日はシスハーレさんの妹さん達が入学してくるんですよね?」


「そうだ……やっと……やっと妹達に会える!!」


「意外な一面ですよね。学年トップの成績を誇るシスハーレさんが、こんなに妹さんが好きだなんて」


「違うぞマイン、間違っている。好きじゃない愛してるだ!」


「それ聞くの50回目ですよ……それにしても本当に楽しみですね」


「あぁ。俺も忙しくなる」


「え? 何でですか?」


「妹達の姿を撮らないといけないからな」


「取る? よくわかりませんが……目に焼き付けるということでしょうか?」


〔ねぇねぇアルファ、ルドは何を言ってるの?〕


〔私が探してる物のことだね。実は兄さん、みんなに隠れてみんなの姿を魔法で隠し撮りしてたんだ……こんな風にね〕


 そう言ってアルファは一枚の写真をハーピの精神に見せた。


〔おうち!〕


〔これは今私が撮った物なんだけど、兄さんはこんな感じでみんなの日常を切り取って保管してるんだよ。それが兄さんを起こす鍵になると私は踏んでるんだ〕


〔そうだったんだ……知らなかった!〕


〔多分キュウカ姉さんくらいしか知らないんじゃないかな! 他の姉さん達には言ってなかったみたいだし〕


「違うよ、それじゃマインに面白い魔法を見せてあげよう」


 そう言ってルドは自動撮影魔法を使い、空間にマインの姿が写った画像を投影した。


「す、すごいですね! これは……僕じゃないですか!」


「こんな感じで、ある時の景色をそのまま保管することができるんだ」


「なるほど……思い出などを形に残すということですか! 素晴らしい魔法ですね!」


「ちょっとコツがいるんだけどね。ただ、問題なのは容量なんだよなぁ」


「要領? 大きさですか?」


「そそ。一杯撮る予定だからそれを保管する場所が必要なんだ、魔力を溜められる何かがあればいいんだけど」


「確かに……難しい問題ですね。でもシスハーレムさんならそんなに苦労しないじゃないですか?」


「どうしてだ?」


「だって皆さんが知り得ないことを沢山知っていますから」


「なるほどな……参考になったよ」


〔この話からは何もわからなそうだね〕


〔う〜ん、そうかな?〕


〔ハーピ姉さんは今の話で何かわかった?〕



 わかったというほどのことではないが、物を隠すのに打って付けの場所に心当たりがあるハーピ。


〔ルドしか使えない……亜空間〕


〔……それだぁぁぁぁぁ!! ありがとハーピ姉さん!! あっ、今の時間に戻すよ!!〕


 意識が遠のいていくのを感じるハーピ。戻る前にルドの体に触れる。もちろん肉体がないので触れられたわけではないが。


 勘違いかもしれないが、懐かしいと感じてしまう温かさがあった。


(ルド……待ってて——)


長い作品になりますので、よければ【ブックマーク】してお楽しみください。

またページ下部の【☆マークで評価】していただけると、ハジけるほど喜びます。


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